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朝から鎌倉で3Dプリント〜技術利用の多様性〜

朝、いつものように子供を保育園に送り届けた時のこと。保育園仲間と子供を送るタイミングも一緒になり、たまたまお話したいことがあったので、そのまま歩きながら話すことに。気がつくと僕は、初めての3Dプリントをしていました。

何が起こったのか

保育園仲間との話が尽きなかったので、その方の職場まで歩くことに。その間に、その方の職場で朝行われているイベントに参加してみないか?という提案をしていただいた。

着いた場所はファブラボ鎌倉(下記写真)。デジタルを介したものづくりやその学びの場であり、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタルファブリケーション機器が揃っている場所です。(詳しくはこちらファブラボ鎌倉)

僕はその日の朝行われる朝ファブというイベントに参加したのでした。朝ファブに参加するとデジタルファブリケーション技術を体験することができます。参加するためには、ファブラボ鎌倉のメインテナンスを一緒に行います。そこで、朝からファブラボの庭の落ち葉集めや草むしりを行いました。しかも初めてお会いする老若男女様々なお友達と一緒に。

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3Dモデルの設計とプリントを初体験

庭掃除が終わると、3Dモデルの超基礎の設計を学び、その設計物を3Dプリンターで現実世界に出力しました。設計の仕方を教わったのは約30分ほど。ソフトウエアはかなり直感的に使えるもので(今回使用したのはTinkerCAD)、簡単なものであればすぐに設計できました。3Dプリントをするのが初めてだったので、とてもシンプルなものを設計し、3Dプリントしてみることにしました。

設計したものや3Dプリントの出力設定にもよりますが、僕の設計したもの(高さ10 mm×幅70 mm×奥行き30 mmのキーホルダー)を出力するには約40分かかりました。その間、プリンターの機構や造形物を作る樹脂の種類や特性、気をつけるポイントなど様々な情報を共有してもらいました。特に樹脂の種類とその特性、それによる造形物との相性や気を付けるポイントがとても興味深く、多くの疑問に答えてもらいました。

デジタル技術によるモノづくりと聞くと、非常に正確に思った通りのものが作れるイメージがありました。しかし、自身の使用する機械の精度や樹脂の特性、出力の設定によっては、デジタルデータを正確に出力することが難しいこともあります。例えば、小さな構造物や構造物の複雑さや細かさによっては、3D設計したものを思った通りに出力できない場合があります。その時は設計を見直したり、出力のパラメータ設定を変えたりして、実験する必要があります。思い描いたものを現実の世界に出力するためのノウハウの蓄積がとても大事だということもわかりました。

ファブラボを体験して、面白いと思った点

まず、デジタルファブリケーション技術を使える施設が自然環境の多い鎌倉にあるということ。地域との関わりや環境に対してアクションするようなプロジェクトもあり、デジタルファブリケーション技術を通して環境を考えることの出来やすい環境なのかもしれません。また、それらプロジェクトが蔵という施設の中で行われています。蔵の中で新しい文化が醸成されていくような面白さがあります。

次に、こんなにも簡単にデジタルファブリケーション技術を自分が使えるようになること。今やデジタルファブリケーション技術も一般個人が扱えるまでになってきており、非常に使い勝手の良いソフトウエアやデジタル機器が豊富に存在しています。簡単なものであれば自分の発想したものがデジタルを介してある程度すぐに現実世界で手に入れられます。思い通りのものを作るためには試行錯誤することが必要になる場合もあるので、必要なもの、欲しいものの出力だけでなく、そのプロセスまで楽しめる人には非常に向いているかもしれません。

最後に、ファブラボという場所に年齢が様々な仲間が集まって、学びを促進しあえているという点です。学校のように一定の年齢幅の友達に限定されるのでもないし、職場のように上下の関係があるわけでもありません。年齢の違う友達が共通の興味関心の元集まって学びあいができるのは、自身のコミュニティの幅も広がるし、とても刺激的なコミュニティのあり方だと思います。

技術利用の多様性

デジタルファブリケーション技術の始まりは短時間に欲しいものを安価に作り出し、ラピッドプロトタイピングを回し、効率化を促進するのことだったと思います。そーいえば、スペインのサグラダファミリアに行った時に驚いたのは、サグラダファミリアの設計を行う時にも3Dプリンターを駆使していたことです。サグラダファミリアの地下の工房には大型の3Dプリンターなどのデジタルファブリケーション機器がたくさんありました。たくさんのプロトタイプを作っては検証を重ねる様子は印象深かったです(下記写真2017年当時)。

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デジタル技術のような近代技術は古い文化や自然環境とは乖離していくように短期的で近視眼的な効率性を重視するようなイメージがあります。一方で、ファブラボの活動をみると、そのような技術の使い方に多様性を与えているように思えます。あったら良いけど世の中に売られていないものを作ることや、自分しか持っていない愛着あるものを作るなど、その技術が個人に降りてきた時、効率性重視では無い技術使用の方向も出てきたように思います。新しい技術に紐づいている効率性重視のイメージは技術自体が持っている問題ではなく、技術の使い方の問題だと再認識させられます。

ファブラボ鎌倉は、海や山の自然環境や寺社仏閣のような古風な文化が存在する鎌倉に多様な人を集めて、デジタル技術の使い方に多様性を与えることで、文化に新しい風を吹き込んでいるような感じがします。

自分の興味関心との関係性もこれからどんどん模索していけたらと思います。

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