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【撮って損なし】トラッキングショットの魅力

こんにちは。京都の映像屋です。
前回からの記事が思ったよりも読んで頂けて、同業者はもちろんデザイン会社の方、PRの方に好評だった内容のようです。素直にありがたいです。
初めましての方もぜひぜひ読んでください!

私はその名の通り京都の映像屋です

さて、自分はもともと料理とかの写真を撮る仕事をしていましたが、2018年ごろから映像制作を本格的に始めました。右も左も分からなかったですが、多くの失敗を重ね細々続けた結果、今ではBBCやYahoo!やNHKと言った名だたるクライアントの映像コンテンツに携わるようになりました。
(↓ポートフォリオみてくださいね)

noteを始めた理由は、制作に悩む同業者の方や、新しく映像を始めたい方/始めたばっかりの方に知識を共有できれば、と考えています。友人に簡単に動画の作り方を教える機会があったのですが、案外喜んでもらえたのでnoteを使って発信しようと思い立ちました。

本日はトラッキングショットの重要性について


本日は自分がドキュメンタリー撮影時にほぼ毎回撮る「トラッキングショット(特に背後から)」の良さと重要性について書きます。というより語ります。

まずはこちらの動画をご覧ください:


映画などのフィクションでも見られるよく見られるこのトラッキングショット。

発音よくいうとTracking Shot。

文字通り被写体を追従(Tracking)するショットです。


ドキュメンタリーでも横や背後からついていって、、というのは見なくもなく、常套手段と言っても過言でないですが、今回はこれを一工夫して丁寧に撮影することで、いかに【映像のクオリティを上げられ】そして【編集に役立つ】のか撮影&編集両面での良さを解説したいと思います。

それではいってみましょう。
はじまりはじまり〜。

印象的なエスタブリッシングショットとして利用できる

エスタブリッシングショットとは、街全体の引きの画、部屋の様子、家の外観、時刻を表す時計、夕焼けetc...などそのシーンの場所や時間などを表すショットのことを言います。要はシーンのセットアップができるモノ、ということです。

実はこのエスタブリッシングショットがめっっちゃ大事です!

Fixの画でドーンと入るよりかは、歩いている画から始まったりすると入り方が印象的になりますよね。先の動画でいう1:34あたりのような足元の画から入ろうものなら、それだけでシーンの入り方が印象的になります。

※足元から入って「ん?」とさせながら…

全体が分かるようにする

微々たることですが、案外こういうことが大事だったりすると思います。

ちなみにこれは映像自体の始まり(オープニング)にも言えることです。

今回の動画でもオープニングの映像がかなり印象的に出来たと思うのですが、これがFixの画から入ったとしていたら、、、いかがですか?

このようにトラッキングショットはエスタブリッシングショットとしても効果的に使用できるため、現場では積極的に狙いにいくのも良いと思います。ただ着いていくだけ、、でも使えますがどうせなら少しスパイスをかけても、良いかなと思います。

駆け出しの映像製作者の方にも挑戦してもらいたいショットの一つです。

よりシネマチックになる


続いて、これはスタビライザーやジンバルを用いたケースが主にはなるのですが、圧倒的にシネマチックになります。上記の動画も多くがジンバルを用いたものになりますが、手持ちでトラッキングしたものとその差は歴然です。


自分の好きな映画もトラッキングの長回しが多いので少し贔屓目かもしれませんが、、笑

主にこういうのです↓


ドキュメンタリーというと手持ちもしくは三脚で固めて、、という撮り方が主流ですが、ちょっとこういう少し飛び道具的なものがあるだけで大きく印象が変わるでしょう。

臨場感が変わってくるので、余裕のある方はぜひスタビライザーなどでかっちょいいショットを狙っていくのもおすすめです。

しかし!ワンオペ製作者の方はご存知の通り、ジンバルやスタビライザーを持ち出しての撮影は時にしんどい時も…。かっこいい映像が撮れるのに越したことは無いと思いますが、その前に最低限必要な映像を抑えることの方が大事です。


準備に時間がかかって撮れなかった、、、だと本末転倒なので、撮る方法の優先順位をしっかり考えましょう!

編集の自由度が増す


さて、撮影での良さを記しましたが、次は編集面での良さです。

良いドキュメンタリーとは、ちゃんとシーンの転換があり、話が前に進んで行くもの。
※これについては詳しく別途書きたいと思います。

そのためには出来るだけ多くのシーンが必要となってきて、インタビューの話だけで構成するより、これらシーンの転換があった方がより魅力的なものになる、と考えます。

…そしてこのような編集を経験されたことがある方はお分かり頂けるでしょうが、、編集とはとっても骨の折れる作業。


尺との戦い、情報の取捨選択、面白くするための演出、なんなら音楽のタイミングでも上手くいかないことが多い…。そんなことを考えながら形に仕上げていくのです。そう、言わば編集タイムラインはさまざまな事情がせめぎ合う戦場のようなもの

特にシーンから次のシーンに行く時どうすればかっこよく、そして自然に繋げられるのか、を考えることもしばしば。

しかし!そんな中、このトラッキングショットがあるだけで色々と助けてくれます。


具体的には先述のシーンとシーンの繋ぎ目(要はセットアップのこと)にも使えたり、素材と素材のクッションに使えたり、長めに撮っておけば修正が入った時に優先的に尺を短く出来たり


そう、編集時にかなりこちらの都合よく利用できるもの

纏めると、こういう繋ぎ目やクッション(緩衝材)的な働きをするショットは、時にタイムライン上(戦場)の混乱を解決してくれるものとなるでしょう。


順序立てた編集が可能になる


また、きちんと順序立てた展開で編集するにも、このトラッキングショットのような「どこかへ向かう」映像はあって損はないでしょう。

説明がなくても「どこかへ向かっている」ということは、ビジュアルから一目瞭然。当然シーンのセットアップにも役立ちます。

◯◯という話を聞いた→▲▲へ行く(トラッキング)→■■ということが起こる

というようなイメージでしょうか。順序立てた編集が想像できますね(で、できますよね…?)


ただMicro Docsのように尺が短い場合は、ただダラダラと歩く映像のみを使うことはそこまで効果的ではないのでは無いかと考えます。


尺が短い場合はBrollの使い方をするか、後ろのV.Oなどを載せて編集するなど、最終的な尺に合わせて合理的かつ効果的な使い方を意識することが大事だと思います。

人は背中でも語る

最後に、今までに多くの方の人生に触れて来ました。そこで思ったのは人間、歩き方や後ろ姿にもその人が出ていると思います。皆さん色んなものを背負って日々を生きていらっしゃいます。

やはり後ろ姿、歩き方、足取りは案外その人の心情や普段の考えを写してることも多いので、後ろ姿でしか見られないものもあるはずです。

(因みに個人的に一番後ろ姿と歩き方が印象的だったのは「レンタルなんもしない人」さんです)

直接カメラを向けてお話が出来なさそうなら、歩き方や後ろ姿も見てみましょう。そこから何か見えるものがあるかもしれません。

それを遠回しに伝える意味でも、後ろから追いかけてその姿をぜひ撮ってみてはいかがでしょう。

まとめ:編集面でも演出面でもトラッキングショットは あって損は無い


いかがでしたか?


かなり主観で色々と説明しましたが、編集や演出など複数の面で、トラッキングショットは良い役割を果たしてくれる便利ショットです。

数多あるwebで公開されているドキュメンタリーでも結構見られるので、一度意識して見てみてください。そこから逆算してどう編集されているか、も勉強になると思います!

読み返せば今回は長い記事となりましたが(汗)、読んで頂きましてありがとうございました。

ぜひ他の記事も読んで、感想など教えてください!

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