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【本の紹介】誠実な組織(ロン・カルッチ著 弘瀬友稀訳)

今回は私が読んだ本「誠実な組織」を紹介します。
Kindle Unlimitedを購読されている方は、無料で読めますよ。



どんな本?

「誠実な組織」と聞いて、
「いいな、そういう組織」と思う人と
「うーん窮屈?」と思う人がいるかもしれないですね。

かつての「売上至上主義」から、
世の中の風潮としては大事とされることが明らかに変わってきており、
この本「誠実な組織」が登場したり、
SDGsやパーパス経営などもその潮流の一つかなと思います。

この本では、戦略的組織改革とエグゼクティブ・リーダーシップに関するコンサルティング会社を経営する著者が、15年の研究と3200件以上の企業インタビューを行い、組織やビジネスパーソン(特にリーダー)の「本当の誠実さ」に必要なものを説いた本です。

「誠実さとはきれいごとか?」という問いかけの章から始まります。
本書のタイトルからいきなり否定??という始まりですが、
「不誠実」であることが、組織の業績にまで影響する事例を取り上げ、
なかなか反論のできない「誠実な組織であること」の大切さを語ってくれています。

そのあとは組織における4つの誠実さをそれぞれのパートに分けて構成し、論じられています。

まず「アイデンティティにおける誠実さ」を、個人(従業員個人)と組織のパーパスなどとのつながりにまで広げて展開されます。

そこから「アカウンタビリティ(説明責任)における公正」を「尊厳」という価値観に踏み込み、
リーダー論ともいえるあるべき姿を訴えられています。

さらに「ガバナンス(企業統治)における透明性」を「意思決定」と「組織の活性」に紐付けて説明されています。

最後に「グループ間の一体感」として組織と人のあるべき姿を論じられています。

組織の本ですが、組織は人から成り立つものであるため、
個人の考えが集団になったときの考え方の変化などを踏まえながら、
誰もが「誠実である」ことへの希望を持ち、
手本となれるような行動を考えさせてくれます。

441ページの本なので、読むのにある程度の時間が必要ですが、それぞれの章ごとに「まとめ」があって、時間をかけながらでも、理解が進めやすくなっています。

私の気づき

この本を読んだきっかけは私の設立した会社名「インテグリティ」つまりは「誠実」、それがタイトルになった本であったからでした。

社名はあり方を発信する重要な言葉であるだけに、「誠実」ってどういうことだろう??は、
様々な角度の意見を耳にして、簡潔に説明できるように理解しておきたい。
また、こういうふんわりとした言語は別の言葉と文章で明確にすることで、さらに自分の中での咀嚼ができます。
この本には、その咀嚼において、とても良い機会をもらえたなと思います。

誠実であるためには、
正しいことを言い(真実)、
正しいことを行い(公正)、
正しい言動をするにあたっての正しい理由(目的)
を持つことが欠かせない。

はじめに より

そう、その通りですよね、と、呟きつつも、
これが難しい、そう思う人は、私を含めて大勢存在するのでは?と、思いました。

となると、次に考えることとしては、「どうやって?」ではないでしょうか?
その答えはエピローグにありました。

誠実さとは学ぶものなのだ。
(中略)
我々すべてに共通して言えることは、容赦なく変わり続けるこの世界において誠実でい続けるためには、失敗からも成功からも学びを得続けなくてはならないということだ。
幸い、誠実さは筋肉と同じで鍛えることができるものである。ただし、そのための努力も不可欠だ。
(中略)
「誠実になる方法を学ぶ最初のステップは、自分の不誠実さに向き合うことである」
(中略)
ほとんどの心理学者がこのように認めている。不誠実あるいは不公正な言動の大半は、利己心によるものではないー自己防衛心によるものだと。
(中略)
この事実に気づくことができれば、そうした驚異の正体を見極め、より誠実に対応できるようになる。コミュニティとしてこれが実践できれば、より誠実な組織を生み出すことができる。

エピローグ より

誠実さは学ぶもの、先天的なものではなく、誰もが獲得できるもの。
とはいえ、学ぶ努力をしなくては手に入れられないもの。

本書にもありましたが、
ついつい「不誠実」にどっぷり浸かってしまうことも、人間の性としてありえる。
(そして業績が悪くなったり、自分の立場を危うくしたりすることになる)

だからこそ、「自分の不誠実さに向き合う」という自分のための学びと努力が必要なのだろうなと。

そして、誰もが持つ「不誠実さ」は利己心ではなく、自己防衛心によるものならば、
その自己防衛心の元となる「恐れ」が何なのか?を突き詰めて、
恐れから一歩踏み出し、希望に変えていくことが「誠実さ」を維持する、つまりは、学ぶことになるのかなと思いました。

そういえば、不誠実と似ているけれど、不誠実とまではいかない言動で「言い訳」というものがあるよなぁと思い、過去の出来事を思い出しました。

以前、お客様の不満に遭遇したときに「これは言い訳になりますが、現状の状態になった理由として説明させてください。そのうえで、どのように対応させていただくかを説明させてください。」とお願いした出来事です。

今、文字にすると「当たり前の顧客への向き合い方だよね」と思う出来事ですが、
あの頃(若き日)の私にとっては高いハードルを越えた瞬間でした。
不満を持っていたお客様ですが、そのとき、きちんと話を聞いてくれました。

「言い訳だけれど」と、お客様に向き合うために自らのマイナス面を晒し、
自己防衛心(この場合は「私達は悪くない」という恐れ)を手放し、
そのうえで対応策を伝えるという行動は、
「この状況をきっと理解してもらえる」「何とか打破したい」という希望を持って、
誠実さを努力で獲得した瞬間だったのかもしれません。

こうやって一つ一つの自分の中での「誠実」の成功体験を積めば積むほど、「誠実」と「希望」がブレンドされて、
「自信」や「信頼」を獲得し、「揺るがない自分」「信頼できる組織」を作ることにもなるのかなと思いました。

おすすめポイント

この本を最もおすすめしたい方は「誠実さ」を自組織に持ち込みたいと考えておられる管理職の方です。
きっと、その気持ちに大きな支援と勇気をくれると思います。

次におすすめしたい方は「誠実って、そんなキレイごとではビジネスは済ませられないよ」と思われている方です。
確かに、キレイごとでは済ませられないこともたくさんあるかもしれません。
私も何度もそう思ったことがありました。
ただ、それは瞬間風速的なものであり、
その先を考えたいときの持続的な考え方として取り入れてみるために
ぜひ読んでいただきたいなと思います。


「誠実さ」を組織に適用していきたいと思われた方、
個人として「誠実さ」を学ぶために「自己防衛心となる恐れ」と
向き合おうかなと思われた方、
その思いを実現できるよう伴走させていただきます。
以下のURLにてご相談依頼してくださいね。
インテグリティ合同会社お問い合わせページ

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