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【先人の理論】鳥の目、虫の目、魚の目

今回は視点を変えることの比喩表現、
「鳥の目、虫の目、魚の目」について投稿します。
よく知られている比喩を用いた理論ですが、お役に立てると嬉しいです。


どんな理論?

視点を変えることは、私たちの日々の仕事や人生にどれだけ大きな影響を与えるのでしょうか?
『鳥の目、虫の目、魚の目』という比喩は、私が管理職を経験しながら何度となく振り返ることのあった言葉の一つでした。

「鳥の目、虫の目、魚の目」という比喩は、ビジネスや組織論、さらには教育などさまざまな分野で使われており、だれが最初に提唱したのかは分からないけれど、一般的に広く使われる思考法として浸透しています。

鳥の目;広い視野から物事を見る視点です。
鳥のように視座を高いところに置くと、全体像が俯瞰して、長期的な視点や全体の流れ、トレンド、構造を把握することを意味しています。
その結果、戦略的思考や計画の立案に役立つというものです。

虫の目;細かい視点から物事を詳しく見る視点です。
虫のように小さな視野の視点で、現場や具体的な部分、細部を注意深く観察し、ミクロな要素を理解するという意味です。
その結果、日々の業務遂行、詳細なプロセスに焦点を当てたアプローチができるというものです。

魚の目;流れの中で状況を捉える視点です。
水の中を自由に動き回る魚のように、変化する環境や時代の流れを敏感に察知し、柔軟に対応することを意味しています。
その結果、流動的な状況の中で、適応力や柔軟性が発揮できるというものです。

この比喩の理論は、リーダーや意思決定者が全体を俯瞰しつつも、詳細や変化に敏感に対応することが求められる複雑な現代のビジネス環境において、非常に有用なフレームワークとされています。

私が思うこと

私がこの比喩に初めて遭遇したとき、ふと思い出した言葉がありました。
それは、ずいぶん昔、管理職になりたての夫に届いた上司からの年賀状に書いてあったメッセージです。
(今のご時世で考えたら、上司から年賀状ってありえないですよね💦)
「先を見る目、足元も見る目、今年も期待しています」

当時、私は夫の会社を寿退職した直後くらいだったと思います。
「ふーん、管理職ってそういう目線で仕事するのかぁ」
と呟き、いい感じの言葉だなと思っていたことを思い出します。

「鳥の目、虫の目、魚の目」の比喩に初めて接したとき、
「先を見る目」が「鳥の目」、「足元も見る目」が「虫の目」なんだな、と理解し、
夫に年賀状で送られたその言葉が、まさに管理職としての視点の違いを端的に表しているのだと感じました。

実は、今回、この理論を取り上げようと思ったのは、
当時の私の「ふーん、管理職ってそういう目線で仕事するのかぁ」の感覚が
戻ってきたきっかけがあったからです。
そのきっかけは、日経ウーマンのコラムにあったリサーチ結果でした。

有料会員限定の記事なので、ここで引用できないのですが、ざっくりと解説すると以下のような内容でした。

「女性が管理職になりたくない理由は、管理職になってからの悩み事と一致していない」
「管理職が見えている世界と、管理職になる前の人が見えている世界は違うようだ」

といった感じでした。
そこで、夫に届いた年賀状の言葉と、「鳥の目、虫の目、魚の目」という比喩を思い出しました。

管理職になる前の人が一番見えにくいのが「鳥の目」だと思います。
「鳥の目」で見るには、最初に視座(目線の高さ)を上げて視野(見える範囲)を広げるという行動が必要です。
例えば、自分の身長で見える視野は、せいぜい数十メートル、でも、スカイツリーやあべのハルカスなどの〇〇タワーの展望台から見ると、一気に数十キロ先まで見える、というと分かりやすいでしょうか。

仕事において、〇〇タワーの展望台に上るということは、「経営者目線」で仕事を考える、ということになるわけですが、これがなかなか理解しにくい。
管理職という立場で「組織の目標設定」をして「組織としての効果測定」をきちんとしたときに、初めて「あぁ」となるポイントで、ここが管理職になる前の人が一番見えにくい、というポイントになるのだと思います。

私が初めてリーダー職を引き継いだ時に「リーダーにとって大切なことは?」と聞かれて「大局観かなぁ~」と言ったのは、私にとっても自分が管理職になる前は見えていなかった景色が見えていたからなんだろうなと思います。(この質問をした方は、素晴らしいバランス感覚の方でした)

そして、「虫の目」ですが、これは逆に管理職になってしまうと、ついつい忘れがちなことかもしれません。
先ほど私が引き継ぐときに大事、と伝えた「大局観」を大事にしすぎると、あっという間に見えなくなる・・・というものです。

ちょっとした部下の不満が聞こえてきて、「まぁ、いっか」と「しばらく様子を見る」という名の後回しをした結果、退職や休職につながる、なんていうこともあれば、様子を見た結果、小さな課題発覚だった課題が雪だるまのように膨れ上がっている・・・なんていうこともありました。
”おおごと”になる前に手を打つ、ということをやろうと思うと、「虫の目」も大事ですね。

最後の「魚の目」は、現在管理職をしている人にとっても一番見えにくい目線じゃないかなと思います。

時流には、色々あります。お客様視点のビジネスの世界の潮流を見るのはもちろんですが、会社員の場合は、社内の時流というのもあるよなぁ、と思っていました。
そして、他者が流れに乗れていないのはよく見えるけれど、一番よく見えていないのは「自分が乗れていない」ということかもしれません。

こうなってくると、管理職云々ではなく、一個人としての「冷静な目」を、どれだけ持ち合わせているか?という話になってきます。

私自身も自分自身の立ち位置が「流れに巻き込まれている」ときは、自分の感じていることがすべてになってしまうので、なかなか難しいよな、と思っていました。
そこにあるのは「一生懸命」な気持ちがあるからかな、と思います。
一生懸命やればやるほど、見えなくなるのが「時流」。ときにはリラックスして自分の立ち位置を確認するということができるかどうか?なのかなと思います。

ここまで色々と連ねてきましたが、結局は
「自分の中で視点をどれだけ多く持ち合わせることができるか?」
ということが、成功のカギになるのかな、とも思います。

「管理職の目線」のテーマでしたが、管理職に限らず、様々な視点をもつことこそが、自分の行動や考えを選択できる、という幸せな毎日を獲得できるのではないかと思います。

皆さんへの問いかけ

ご自身の中にどんな視点・目線を持ち合わせていますか?
その視点・目線をうまく活用できていますか?

ぜひ、現在の仕事で使っている視点を振り返ってみてください。
『鳥の目』で大局を見失っていないか?
『虫の目』で細部を確認しているか?
『魚の目』で状況を察知できているか?
少しだけでも、時間を取ってみてくださいね。


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