
【おすすめ品質教育手法】新入社員からベテランまで効果的「FMEA思考訓練」
■この記事のターゲット
・効果的に品質意識を向上させる教育方法を知りたい
・新入社員が眠くならない品質教育をしたい
・故障モード影響度解析(FMEA)の手法を身に付けたい
今回の記事では、
高品質なモノづくりやサービスを支えるうえで最も大切な『品質マインドを効果的に高めることができる教育手法』について述べたいと思います。
講師の座学によるテクニカルな手法や、過去の不具合事例から学ぶという手法もいいと思います。
しかし、品質保証に携わってきた筆者がこれまでにセミナーに参加したり、実際に人を教育してきた経験上、多くの場合が受講者にとって退屈なものになってしまっていると感じていました。
そして、教育受講者の多くの人に『効果的』に品質に対する意欲を向上してもらうには、もうひと工夫必要と常々思っていました。
その教訓から色々と試行錯誤をしてきた結果、現時点で非常に効果的であったと思える教育方法が今回紹介する
『工程FMEA(故障モード影響度解析)を用いた実践的思考訓練』
です。
この教育方法で、受講者を確実に頼れる人材として成長させることができます。
ここでいう頼れる人材とは、
組織のミッションを理解し、組織にとってやるべきことを主体的に行い、自分がやっていることの目的を論理的に説明でき、コスト意識も併せ持つ人。
そして、講師自身の成長にもつながるという一石二鳥。
この手法の特徴は以下です。
工程 FMEAを用いた実践的思考訓練の特徴
◆身近な業務を訓練の題材にすることで、自身の業務プロセスの価値を深く理解することができる
◆定量的に表現しにくい事象を数値に置き換える手法が学べ、さまざまなジャンルに応用できるようになる
◆未然防止の品質保証の手法がゲーム感覚で学べる
FMEAの具体的解説については過去記事を参照いただくとして、ここではこの訓練方法にどんなメリットがあるのかを事例を交えて解説していきたいと思います。
1.工程FMEAを用いた実践的思考訓練の概要
ここでは工程FMEAを用いた思考訓練の概要を示します。
■ 工程FMEAを用いた実践的思考訓練のステップ
①実際に存在する作業を、簡単に指導を受けて実際に行う
↓
②実際に行った作業を細かく要素作業に分解して、リスト化する
↓
③分解した要素作業の故障モードを考える
↓
④故障モードによる影響(機能不具合)を想定する
↓
⑤個々の故障モードに対するリスク度合いを評価する
↓
⑥リスク評価結果から考察、対策立案を行う
工程FMEAの具体的な解説は、筆者運営のブログの無料記事を参照いただくとして、ここからはある事例を基に訓練方法を説明します。
①実際に存在するカンタンな作業を実際に行ってみる
机上訓練のみだけではなく、実際に作業を経験することが今回訓練する方法の醍醐味です。
もちろん机上訓練だけでもOKです。
しかし、効果的に品質リスクを抽出するには、実際に作業を経験しないと見えてこないリスクがあると考えます。
受講者を飽きさせない、眠くさせないようにする意味でも、体を動かすことが望ましいです。
訓練用の題材としては、慣れ親しんだ実際の業務や誰もがイメージしやすい作業とすることが良いでしょう。
FMEAで分析することで、新たな発見が見えてきます。
これまで何気なく行っていた業務や作業から新たな発見があると、「考え方の幅の広がり」を実感しやすくなるというのがポイントです。
ここで考えることは以下の3つ。
1)題材とする作業内容を決める
・あえて細かい作業内容や順序を規定しない(講師は細かい詳細内容は考えておく)
・作業の項目が多くならないようにする
2)作業概要を講師がやってみせて口頭で説明する
・詳細の質問が来ても、あえて事細かに説明しない
3)体で覚えれるくらいの繰り返し回数で、実際に繰り返しやってもらう
・自分の行った作業を後で思い出せるレベルまで
以降のステップを分かりやすく説明するために、ここでは題材を
「遊園地でジェットコースターにお客さんを乗車させる作業」
とします。
この作業で求められるものは「お客様の安心・安全」です。
②実際に行った作業を細かく要素作業に分解して、リスト化する
講師は、作業者の思う通りに自分が行った作業を最初から最後まで羅列してもらいましょう。
大まかでもいいですし、細かく分けても構いません。
作業者個人の思う通りに書いてもらうことがポイントのひとつです。
大まか過ぎると、改めて見直した時に気になるところが出てきます。
逆に、細かすぎるとその後の解析作業が大変ということと、簡単な作業のように見えても多くの掴むべきポイントがあるという気づきを得やすい。
これらのことを、自分自身が気付くということが大切であると考えるからです。
実際にやってみた作業を文字に起こして眺めてみると、改めて気づくことは多いのです。
・一つ一つの作業の目的の有無
・価値を生むのに不必要な動作
・曖昧な指示、または指示そのものが抜けてしまっていること
などが挙げられます。
決められた(と思っている)作業、これで十分と思っていた作業を客観的に見つめ直すと、色々なものが見えてくるということを実感してもらえるのです。
サンプル題材で要素作業を列挙してみます。 (要素作業リスト1)
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