空海と最澄の決別
最澄は、密教を身につけた空海に教えを乞いました。
空海も最澄に対して真言密教の入門灌頂を授けました。
密教の経典も積極的に貸し出しました。
しかし、最澄が理趣釈経を貸してもらおうとした際に事件が起こりました。
空海は拒否したのです。
エリートだった最澄は密教の行を修めていません。
大日如来と一体となる経験が密教の習得には必要なのです。
空海は密教を極めるには、大日如来と一体になって超人的な力を獲得する必要があるという理屈だったのです。
とはいえ、さすがに最澄にも立場というものがあります。
六根相似の位になった高僧ですし、天台宗のトップになっていたからです。
最澄は密教の基本ができておらず、そのエリートさが足かせとなって空海とも決別することとなったのです。
結果的に天台宗の弟子を空海のところに派遣して、密教の修行をさせるという形になりました。
それほどまでに止観を極めた最澄でも、全く別ジャンルだった密教は極められませんでした。
見えない世界というのは何か一部のことを極めても他の分野ではダメだったということもあるのです。
幅広くやり、まずは適性を把握していくのも長い修行では大切です。
色々試して、理論を学び、着実に見えない力を開花させていきましょう。
これからも良い記事を書いていきます。