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『伊豆の踊り子』『雪国』

『伊豆の踊子』は、鬱屈とした思いを抱えていた旧制高等学校の「私」が、一時の旅行を通して踊子に出会ってちょっとした心の変化を感じる話。

主人公と踊子の交流や淡い恋心的なストーリーがありながら、別れは旅らしく呆気ない。

呆気なくしないとつらかったから呆気なくしたのかもしれないが。

「私」が鬱屈とした思いを抱えている詳しい事情が書かれていないのも、この作品の旅人のようなさっぱりさに一役買ってる。

一方で『雪国』はかなり後味の悪さを感じる終わり方。

主人公は一応島村という男性だが、実際は駒子と葉子という対象的な2人の女性だ。

駒子は幼馴染の行男(危篤状態)と婚約関係にあり、彼の治療のために芸者になったと噂されている(本人は否定)。

葉子は行男の現在の恋人である。

駒子は行男の病にも死にも向き合わないが、葉子は献身的に介護して行男の死後は墓参りを欠かさない。

しかしこの対象的な2人はなんと不気味なことに友達同士である。

最後葉子は事故死し、その亡骸に駒子が縋りついて終わる。

なんとなく2人は生と死をかたどってるような気がする。

結局のところ駒子も葉子も、自分のポリシーに従って生きた、ということなのでしょう。

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