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#190 泣き虫。

 僕は泣き虫。

 幼稚園の頃からずっとそう。いつしか人前で泣くのはカッコ悪いという視点が入り込んできたがそれでも泣き虫。

 堪えはするけど泣きたくなる時はたくさんある。

 おかんは僕のことをよく知っていて、「感受性豊かだからねぇ」って言ってる。

 そう。僕が泣くのは、僕の感情の箱がいっぱいいっぱいで溢れちゃった時だ。

 感情だったらなんでもいい。相手が僕に抱いた怒りだったり、子どもを抱きかかえた時に感じた愛おしさだったり、どうしても勝てなかった時の悔しさだったり、先が見えない不安だったり。

 良い方向の感情も悪い方向の感情も。僕の感情でも相手の感情でも誰かの感情でも。

 とにかく僕の箱がいっぱいいっぱいになったら泣くんだ。

 泣く度に言われた。

 「泣くな。」

 大学生のころ、バイトの店長に激しく怒られた時も泣いたんだけど、卒業式の日にお店に顔出したらその店長から「社会人になったら人前では絶対泣くなよ。」って言われた。

 それから教員の時は絶対に泣かなくなった。というよりその言葉が枷になって泣きたくても泣けなかった。

 そんな生活をしていたら心がぶっ壊れて、自分の感情とは別に勝手に涙が出た。その時は嬉しくも悲しくも辛くも感じていなかったことを今でも覚えている。体が勝手に泣いたんだ。

 その後完全にボロボロになって退職することになるんだけど。


「泣くってダメなことなの?」

 僕の答えはNO。絶対泣いたほうがいい。誰がなんと言おうと泣きたくなったら泣いていい。

 だって素敵じゃんか。

 感受性が豊かな僕の性格は好きなんだもん。辛くて泣く時も確かにあるし、怖くて泣く時もたくさんある。

 でもさ、嬉しくて泣く時もあれば、たまらなく愛おしくなって泣く時もあるんだよ。

 「泣くな」っていう人は自分に都合が悪いからそう言ってるだけだよ。泣かれて困ったり、泣かない人がえらいみたいな構図をつくると得をする人が「泣くな。」を広めているだけ。

 じゃあ泣く人が偉いのかって?

 違う。泣くこと泣かないことは上下を測るものさしではなくて、それぞれに得意不得意があるだけのこと。お互い補い合っていけば良い。

 いっぱい泣く。それって素敵なことだよ。

 だからさ、「泣くな。」って言われている泣き虫たち。

 僕と一緒に胸張ってワンワン泣こう。

 この世界には大号泣したくなるほどの感情がそこらじゅうに広がっているよ。感動して泣いて生きてこ。

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