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#9 「テーマコミュニティ」と「ローカルコミュニティ」

地縁的な繋がりを基盤とする従来からの地域社会(ローカルコミュニティ)に対して、興味関心を基盤に人が集まる「テーマコミュニティ」が注目を浴びている。

身近なところで言うと趣味やボランティアのサークルがこれに当たるし、ネットの世界は大抵テーマコミュニティだ。

現代の人々の繋がり方は、かつてのローカルコミュニティを中心とするものから、テーマコミュティに近づいている事は間違いない。
生まれや生活の場所に縛られることなく、人が繋がることができるということは、自分の意思で活動場所を選択できるということであり、それだけ個性が尊重されるということでもある。そのコミュティが自分に合わなかったりいやになったりしたらその関係から抜ければいい。

けれども、テーマコミュニティばかりが理想とばかりも言えない。

趣味や嗜好で人が活動場所を選ぶとなると、同じような人が集うことになる。だから自分の思考を修正されたり、拡大させたりする機会が乏しくなり、結果的に独善的な信念に支配されるリスクも高まる。
仕事で学校教員の集まりに出席すると、その場所が文字通り「先生」的な思考法に支配されていることが多い(ように私は感じる)。

同じ仲間で、同じことばかりをしていたらいずれ停滞してしまう。人が自分の考え方を修正して成長していくためには、自分とは異なる考え方を持つ他社の存在が不可欠だ。

かつてのローカルコミュニティでは、窮屈な側面はあっても、年齢・仕事・性格・趣味・才能・嗜好など、ある程度の多様性が図らずも成立していた。現在は色々なコミュニティがあるが、その中の人間関係は案外平板なのではないだろうか。

これからの地域のあり方を考えるために、そこで紡がれる人間関係の多様性と共通性をどうバランスされたらいいのか。またそうした場をどのようにデザインしうるのか?

これは実践的にもとても面白い課題だ。