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大人は子どもには戻れない


誰にでも、子ども時代はある。だから・・・

不登校の対応について、どうして大人は間違ってしまうのかについて様々な角度から考えています。
小学生以上の子どもさんであれば、その親御さんは30代から40代が多いのではないでしょうか。
その親御さんの中で、学校に行けなかった、意図して行かなかったという経験がある人はどのくらいでしょうか。なんといっても1学年200万人以上がいた世代です。当時も学校に行けない・行かない子どもはいたでしょうが、割合にするとごくごく少数、1~2%未満といったところでしょうから、だいたいの親御さんは学校に登校していたわけです。
その中には学校が楽しくて喜んで行っていた方もいるでしょうが、もちろん学校は退屈、つまらない、嫌なところ、我慢していかなければならないところ、など不満を持っていた方も多いことでしょう。
だからこそ、です。自分もそんなに学校は好きじゃなかった、キツカッタ、行きたくなかったけれど、頑張って行った!頑張った先に得るものもあった!体育祭、定期テスト、卒業式の時には達成感も味わえたなどなど記憶があることでしょう。
そんな記憶があるからこそ、我が子もできるはずだ!頑張ってほしい!多少キツイかもしれないが乗り越えてほしい!などと安易に思ってしまうのです。これは、普段、あまり子どもさんと接する機会がないお父さんにありがちな思考です。自分の子ども時代を重ねて、我が子にも頑張ってほしいと思ってしまいます。ですがそんな子ども時代の記憶と今の子どもの環境は全く違うのです。過去と同じように育つことはあり得ないのです。

学校は、そんなに拒否したり嫌なところなのか?!

学校に行きたくないと言っているわけですから、子どもさんの話をしっかり受け止めるように聴くご家庭も多いでしょう。
よくよく聴いてみると、「絶対に行きたくない」「とにかく嫌だ」「地獄だ」などと過激な表現で学校に行くことを拒否するわけです。中には以前も書いたようにダンマリを決め込んで何も話さないということもよくあります。
熱心な親御さんならば、学校がそんなに嫌なところなのか??と確かめに行かれるところもあるでしょう。行ってみると、クラスが荒れているわけでもなさそう、先生も人当たりがよくて熱心そう。我が子のことも気にかけてくれているみたいだ、、、何をそんなに拒否しているのだろうか?
特に教室に入ることを恐れたり、不安が強かったりすることにも理解が追い付きません。学校に行けているのに教室には入りたがらない、というのはなぜなのか?友だち関係なのか、いやいや勉強についていけないという我が子の問題なのか?それとも何か知らない出来事が学校であったのか?など疑いだしたらキリがありません。
この過程で、何かクラスで別の問題が持ち上がっていたり、先生の対応が曖昧だったり強引すぎたりすると不信感も募ってくるものです。一体全体、何を信じてよいのか、さっぱり分からなくなってしまいます。特に我が子に対して、なぜ登校を拒否するのか、クラスに入ることを嫌がるのか、検討がつかないのです。こうなると昨日も書きましたが、悪いクセが出て「原因」→「結果」という考え方をあてはめてもそもそも「原因」がないわけだから、本人の性格、つまりはサボりたい、我がまま、甘えてる、精神的に幼い、ということを原因と考えてしまうのです。
親御さんの立場に立つと、理解できないものをそのままにしておくことは気持ち悪いし、何かしら家族として対応する責任があるという気持ちがあることは分かりますけど。まあ、とにかく我が子の行動が理解できないということは苦しいものであります。

相談したら「見守るように」と言われ、、、

我が子のことが理解できない、という状況は焦りや不安につながります。そこで誰かに相談してみることになります。
よくありがちなのは、病院の先生です。頭が痛い、お腹が痛い、夜眠れない、食欲がないなど様々な不調を子どもが訴える場合が多いので病院に連れていくことになります。統計的には平均3か月以内には、どこかの医療機関で受診しているようです。そこで医者に聞きます。子どもは、どうしたら学校に行けるようになりますか?と。でも医者は、病気があれば治るように助言しますが、学校に行く行かないは本人の意思なので病気とは無関係ですから「それはよく分かりません」などという返事が多いでしょう。
すると今度は、学校の先生、スクールカウンセラー、教育相談所にいろいろな電話相談、ネット相談やメール相談など様々な人にできるかぎり相談をすることが多いようです。
その中で最も多い回答は、「見守りましょう」と言われます。酷い相談所になると根掘り葉掘り聞いたあげく、親の育て方に言及するところもあります。それで多くのお母さんたちは傷つくことになります。育て方のどこが間違いだったのかと。
そうでなくても「見守りましょう」と言われて、ハイ、そうですね。と納得できるものではありません。何か親としてできることをして、子どもを早く再登校できるようにしたい、というのが本音ではないでしょうか。
しかし何度か触れたと思いますが、不登校になった背景は1人ひとり違いますので、特効薬ようなコレ!という対応はありません。こういうこともあって、ますます親御さんは、不安や焦りに包まれていくのです。

一筋縄ではいかない「不登校」というものの理解

結局のところ、我が子に対してどう対応したらよいのか、よく分からない。そして身近にいる人に聞いても有効な手立てはなさそうだということで途方に暮れてしまうわけです。
そうこうしている間に、子どもさんとの関係はたいてい悪化していく形になります。登校を促せば促すほどにたいてい悪化します。
どうして、こんな風に子どももそしてご家族も苦しい気持ちになってしまうのでしょうか。
それは、根本原因である「学校」そのものに問題があるからです。一言で言ってしまえば、子どもと学校とが合わないというだけです。
大人の場合はどうでしょう。職場が合わない、病院が合わない、趣味のサークルが合わないなどなど自分に合わない環境であれば、どんどん合うところを探していきますよね。何か有効なことを教えてくれるのではないか、とどんどん相談所を変えていったみたいに。
しかし子どもは、その地域の、その学校に合わない場合、どこか別の学校や場所に、という選択肢はありません。いや、実は公立でなくて私立を選ぶなど選択肢は実はあるけれども、そんなに柔軟に対応しているわけではないですよね。
子どもが学校に行けない・行かないということを本当に理解しようと思ったら、子どもと向き合って、子どもの立場に立って考えるしかないです。しかしそれが大人はなかなかできないです。時間もない、向き合い方も分からない、親子の関係性からして親の言うことを聞かせるのが当たり前だという価値観がある、などなど理由は様々ですけど。特に効率、コスパ、タイパなど経済的な価値観に偏っていたら解決は難しいでしょう。
というわけで、不登校のことが分からないモヤモヤばかりが募っていくのです。