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Gustave Caillebotte / 床削り × カベルネ・フラン

名画のワインリストというブログを書いています。今回は、カイユボットの回をご紹介します。

本作の舞台は、パリ8区の高級住宅街に居を構えていたカイユボットの邸宅とされる。Rue de MiromesnilとRue de Lisbonneの交差点の角地に建てられた4階建ての邸宅で、今なお現存している。かの凱旋門もそう遠くはない。
父親が事業で成功したことで、カイユボットは画家らしからぬ裕福な生活を送った。絵に映り込んだ壁面の黄金の装飾や手の込んだ窓の格子が、その片鱗を窺わせる。

1874年から1886年までの13年間に合計8回の「印象派展」が開催された中で、カイユボットはモネと同数、ルノワールよりも多い出展回数だったのにも関わらず、その名はというと微妙に地味な知名度な気がします。
それはなぜか?という辺りについても詳しくご紹介しています。

後編は、前編の難さに反するように、リズミカルな文体でワインの正体に迫っていきます。

絵の右袖に視線を遣ると赤ワインが入ったボトルとコップが1つ、自己主張することもなく、ポツンと床に置かれている。何かワインに関する情報が欲しいところではあるものの、今まで以上に何もない。ワインを水代わりに飲んでいた時代とは言え、まさか職人自ら客先に持参したものではないだろう。仮にワインを持参したとしても律儀にコップまで持ってくることは考えにくく、職人であればそこは男らしくラッパ飲み…という方がしっくりくる。

消去法で迫ったワインの正体と、制作年である1875年のフランス国内のワイン事情。害虫フィロキセラによる被害と、一方で、フランス国内のワイン生産量の高さ。

かなりボリューミーで気合の入った回ですので、ごゆっくりお楽しみください。ワインが飲みたくなります、お手元に一杯ご用意してのご高覧をおすすめします!

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