#1839 脳は倉庫ではなく工場である
外山滋比古氏の『思考の整理学』は名著中の名著である。
今の学校教育は、自力で飛ぶことができる「飛行機人間」ではなく、自力で飛ぶことができない「グライダー人間」を大量生産していると看破している。
子どもたちには「教科書」が与えられ、その内容に沿って、教師の力により強制的に勉強をさせられる。
そんな受け身の勉強ばかりをしていたら、「グライダー人間」になってしまうのも無理はないだろう。
学校教育がこのような「グライダー人間を量産する」構図になっているのは、「脳は倉庫である」と勘違いしているからである。
教科書の内容に沿って、基礎から順番通りに教えていけば、「個別具体的な知識は脳に全てインプットされる」と信じ込んでいるのである。
そんなことは「不可能」なのだ。
脳に記憶できる情報量には限りがある。
脳は「倉庫」ではないのである。
百歩譲って、知識を大量に脳に記憶できても、それが何に活用されるのか?
「グライダー人間」は知識を暗記することに終始してしまい、それを問題解決に活用することはできないだろう。
脳はもっと別の使い道があるのだ。
今の世の中は、パソコン、スマホなどの機器が充実している。
そのような機器に必要な情報をストックしておけばよいのである。
では、脳はどんな働きをすればよいのか?
それは「知的生産」つまり「工場」の役目を果たせばよいのである。
「情報を貯める」のではなく、「考えを創り出す」役目を重視するのである。
パソコン、スマホなどの機器を「工場」として活用し、そこにある情報を使って、「脳」で知的生産をしていくのである。
脳を「工場」として働かせることが、本質的な使い道なのである。
このような考えをもち、学校教育の在り方を見直さなければいけない。
四則演算をひたすら勉強させても、知的生産ができる人間には育たない。
漢字を筆順通りに書ける勉強させても、脳を「工場」として使える人間には育たない。
学校教育は、脳を「倉庫」ではなく、「工場」として使える人間になれるよう、そのカリキュラムを刷新する必要があるのだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?