#1273 子どもを見取る技術
授業における子どもたちの「個別最適な学び」を支えるためには、教師による「見取り」が欠かせない。
いわゆる「学習者理解」「子ども理解」である。
これが「個別最適な学び」の土台となり、それがALにつながり、子どもたちの資質・能力の育成につながる。
では、具体的にどのように「見取り」をすればよいのだろうか?
見取るための2つの視点
(1)教師視点で「捉える」
まずは、教師視点で「捉える」ことが必要となる。
教師が「育てたい資質・能力」を明確にもち、それと子どもの現状を照らし合わせる。
そして、子どもの「よりよい成長」を意識する。
教師視点で「捉える」ことにより、子どもの現在地と目指すべき場所がはっきりしてくるのだ。
(2)子ども視点で「探る」
次に、子ども視点で「探る」ことも必要だ。
子どもの言動の「原因」を探る。
※背景、感情、意欲、働かせる見方・考え方、願いなど
それにより、子どもの言動の「結果」が、より鮮明に把握できるのだ。
※表情、態度、発言、記述、成果物、振り返り
見取るための2つのポイント
(1)「現在地」を見取る
まずは、子どもの学びの「現在地」を把握することが重要となる。
現在地を適切に把握できれば、次の指導や支援の構想を練ることができる。
現在地を見取る際は、
①今日のめあて
②成果物
③できていること、できていないこと
④思考方法
⑤話し合いの内容や整理しているもの
⑥考えていることや根拠
⑦理解の度合い
⑧自己評価
などを材料にするとよい。
(2)「向かおうとしているところ」を見取る
次に、子どもが「向かおうとしているところ」を見取る必要がある。
子どもなりの目標を見取り、それに沿う形で教師の指導・支援を考えていく。
子どもなりの目標を見取る際は、
①既習や今日のめあて
②学習材との向き合い方
③これまでの学びの過程
④何を導き出したいのか
⑤事前に考えていたことや個人のめあて
⑥迷いや問い
⑦次の学習につながりそうな表現
⑧反省や次のチャレンジ
などを材料にする。
見取りから指導への流れ
(1)子どもを見取る
全てのスタートは「見取り」である。
これが全ての教育の土台となる。
(2)問いをもつ
次に「問い」をもつことである。
子どもの表現に表れた事実から、「なぜ?」「どうして?」という問いに変換する。
(3)仮説を立てる
そして、「問い」から自分なりの「仮説」を立てる。
「もしかして」「~であるならば」という思考をし、考えられる仮説を立てるようにする。
(4)指導や支援を考える
最後に、自分なりの仮説をもとに指導・支援の方向性を決定する。
むやみやたらに指導・支援を構想してはならない。
「見取り」「問い」「仮説」がもとになることで、適切な指導・支援が実現するのである。
このような流れは、上田薫氏の「カルテの活用」にも含まれている。
①「おや!」という驚き
②「なぜ?」(背景)というWhy思考
③「もしかして」(解釈)というIf思考
この流れにより、子ども一人ひとりを見取り、次の指導・支援を考え、実践に移すのである。
以上、ここまで「見取り」の技術を整理してきた。
「見取り」は教育のゴールではなく、スタートである。
全ての土台である。
適切で丁寧な「見取り」が、理想的な指導・支援を実現する。
ぜひとも、この意識を忘れずに、「見取り」を行っていきたい。
では。
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