一回でうまくいかなければもう一回やればいいんじゃない?
髪を切りに行き、思ってたんと違うとなりなんだか人生がいやになった経験はあるだろうか?
人生には、思っていた通りにいかないことがある。だからこそ面白いともいえる。ただ、わかっていてもそんな時はなかなかに絶望してしまう。ワクワクしていたからこそ、何か違う感が否めないときの絶望感は半端ない。
だけどそんな時、もう一度挑戦すればうまくいくこともあるかもしれない。
ベトナムのハノイでそんなことできごとがあった。フォーが美味しいこの街で、パンチパーマになることにおびえながら、パーマをあてた時の話だ。
ベトナムのハノイで髪を切った。
それまでバリ島で髪を切って、もはや現地の人より現地人になったりしたこともあったが、今回のカットには別の目的があった。
仕事柄、パーマをあてることが禁止されていた。だから仕事を辞めて世界一周にでたこのタイミングで絶対にパーマをあててやると決めていた。そしてようやくハノイで叶える時がきた。
このころ、僕のパーマに対する執念は異常だった。パーマを当てている男性の画像をネット上で見つけたら、それら全てをスマホのカメラフォルダに保存し、自分でパーマカタログを作るなどしていたわけだから異常者だ。
その自作のカタログの中にはパンチパーマもあった。僕の中ではパンチパーマは絶対にやりたくない髪型だったにも関わらず。
このエピソードは「念には念をいれよ」という言葉の例文として採用していただきたい。
早速、ハノイの美容院を予約。在住の日本人が経営されているサロンだ。ただこのとき、心配していることが一つだけあった。髪の長さ足りるのか問題だ。美容院にいって、相談した結果、パンチパーマしか選択肢が残されていないという可能性も否定できない。
サロンでは「パーマをあてたいんですけど、この長さで行けますか?」と率直に質問してみた。
それに対して、「無理ではないがこの長さだと思ったような仕上がりにならないかもなので、もう少し伸ばした方がいいかもしれない」との返答。
「思ったような仕上がりにならない」
という言葉で僕の頭の中のパンチパーマアラームが発動し、パーマは断念した。ただ、せっかく来てパーマが無理なら帰るというわけにもいかず、カットをお願いすることにした。
それがよくなかった。この時の僕は、パーマがあたらない場合の髪型の明確なイメージを持ち合わせていなかった。そして、髪はそれなりに切りそろえられていた。
結果的に「横を今よりさらに刈り込んで、トップはパーマのためにとにかく伸ばしたい」という注文しかできず、相談のうえ、横の刈り込み部分の幅をさらに広げるという奇策が決定した。
出来上がった髪型はドラゴンボールのウーブそのもの。魔人ブウの生まれ変わりのウーブだ。なかなかマイナーキャラなので、わからない人はぜひ検索して欲しい。
美容師さんを責めるつもりは全くない。美容師さんは僕の質問に的確に答え、僕の注文にできる限りのことをしてくれたのだ。
結果的に、パーマをあてに行った僕はなんとも腑に落ちない感情を抱えることになり、宿に帰ってドミトリーのベッドでひとしきり落ち込んだ。
ひとしきり落ち込んだ後、他の美容院を探すことにした。このままでは気がすまなかったのだ。ハノイには他にも日本人が経営する美容院が何件かあり、そこに電話を入れて受付終了時間ギリギリにそこへ駆け込んだ。
今日あったことの一部始終を話し、なんとかしてパーマをかけて欲しいと伝えた。もはや、パンチパーマも辞さない覚悟である。
すると美容師さんは「全然大丈夫っすよー。これくらいの長さがあればなんとかなります。」と言って、すぐにパーマに取り掛かってくれた。
パーマをかけるロッドを巻く作業はなかなかの難航具合だった。やはり、もう少し伸ばした方がいいという昼間の情報は正しかったのだ。(念のためにいっておくが、僕は昼間の美容師さんを責めるつもりはまったくない)
しばらくして、なんとかパーマは完了し、無事にくるくるヘアーになることができた。念願の初パーマ。
これが僕のハノイパーマの一部始終だ。
僕はベトナムハノイで、「一度失敗してももう一回挑戦することで次はうまくいくこともあるし、一回失敗を味わったからこそ味わえる喜びがある」ということを知った。
パンチパーマを辞さない覚悟でのぞめば、望んだものは最後に手に入るのだ。
この話を、美容関係の仕事につく友達にしたら、「パンチパーマは特殊な技術のいるパーマだから、そもそもパンチパーマになることはなかったけどね。」との返事。
「そういうことじゃないんだよ?この話の肝は」と言ったら
「そもそも髪型ごときで、深い学びに結びつけすぎ。」と言われた。
それ以上、僕は何もいえなかったので、ベトナムのフォーの美味しさを力説することにした。
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