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企業理念の浸透は激ムズ…浸透させるためになにができる?

企業理念はだいだいどの会社にもあります。作るのは簡単ですが、浸透させることはおそろしく難しい。


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

企業理念、経営理念、社是、ミッション、プロミスなどを持つ会社は多いと思います。(ここではまとめて「企業理念」と呼びます)

ところがこの企業理念、額に入れたまま誰にも顧みられずほこりをかぶっているとよく言われます。
作るのはそれこそAIでもできますが、役員や従業員に浸透させ、日々の活動の指針になっている会社はなかなかありません。



企業理念はなぜ浸透しない?

大切なはずの企業理念はなぜ浸透しないのでしょうか?

企業理念を意識しなくても会社は回る

誰も企業理念を意識していなくても、会社の日々の活動は支障なく回ります。

重要な決断をするときによりどころにするべきものが企業理念ですが、「過去はどうだったか」「他社はどうしているか」といった別の軸で判断されてしまいます。

忘れてしまう

就職活動時に会社のWebサイトやパンフレットで見たり、新人研修で唱和させられたりしても、すぐに忘れてしまいますよね。

額に入れて壁に掛けられ、会社のイントラネットのトップページに書いてあっても、いつしか風景の一部に。

真に受けてよいのか分からない

もっと深刻なことは、企業理念を何度も目にしても、そこに書いてあることを字面どおり受け取ってよいのか分からない、ということです。

どんな組織でも、明文化されないルールがあります。
挨拶はどの範囲の人までするのか。
どの程度正直に思うところを話してよいのか。
上司に気軽に相談してよいのか、つべこべ言わずに一人でやり抜かないといけないのか。
新しい組織に所属すると、誰もが失敗しながらそのルールを学んでいきます。

そんなときに企業理念という「あるべき論」を聞かされても、きれいごとのように聞こえるかもしれません。


企業理念を浸透させる方法

そんな企業理念、いったいどうすれば浸透させられるのでしょうか?
少なくとも言えることは、かなりのエネルギーを注ぎ続けないとすぐに消えてなくなってしまうということです。

トップが何度も繰り返し言う

忘れられてしまわないように、経営トップがあらゆる機会を使って何度も何度もしつこく繰り返し言わないといけません。

「あの人また言ってるよ。はいはい、もう分かってますよ」とうんざりさせるくらいになってはじめて「浸透」の入り口に立ったと言えます。

トップの普段の言動と一致させる

「言ってることとやってることが違う」となると、「やっぱりあれはきれいごとで、真に受けてはいけないんだ」と不信感を強めてしまいます。

とは言え、普段の言動を経営理念に一致させるのは、とても難しい。
トップは常に周囲から見られています。企業理念に沿った言動が99あっても、そうでない言動がたった1つあるだけで「とうとう馬脚を現したな」と思われて、99の努力が台無しになってしまいます。

これの応用編で、役員や従業員が企業理念に反する言動を行ったときに、トップがどう取り扱うかも重要です。
もし何も起こらなかったら、「あれはこの会社ではOKなんだ」というメッセージとして受け取られます。

トップのメッセージを中間管理職に薄めさせない

トップがいくら企業理念を繰り返し語り、自らを律しても、その下にいる人達によって簡単に薄められてしまいます。
現場の管理職が一言、「上はああ言ってるけど、現実は違うから」と部下に言ったらどうなるでしょうか? 「やっぱり真に受けちゃいけないんだ」と部下の心に深く刻まれるでしょう。

中間にいる人たちも企業理念を理解し、さらに下の人たちに語り、自らの日々の言動もそれに沿ったものにできるように教育する必要があります。

トップから新入社員まで、企業理念が大事にしていることについては判で押したように同じように考えて行動する。企業理念が浸透しているのは、そんなちょっと気持ち悪いとも言える状態です。


企業理念についてもっと知るために

企業理念とは、会社の存在意義です。
会社の存在意義の明確化が重要であることは、てりたまnoteで書いたことがあります。

また、私自身、ミッションフリークと言えるほどミッションやプロミスなどと言われるものの信奉者です。
監査法人内でプロジェクトを立ち上げるときも、まずミッションを明確にするところからはじめていました。


おわりに

内部統制の土台は統制環境。その中でも最初に挙げられるのが、トップからの明示的・黙示的なメッセージである"Tone at the top"です。
さらに"Tone at the top"のかなめとなるのが企業理念。ここがしっかりしていないと統制環境は有効とは言えず、内部統制全体が危ういものになってしまいます。

企業理念を軸に特徴ある経営を行い、それを組織の隅々にまで浸透させることで、よりよく本来の目的を達成できる企業が増えたらいいなと思っています。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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