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監査パートナーの私は、どうやって窮地を乗り越えてきたか【監査ガチ勢向け】

修羅場は人を育てると言いますが、渦中ではそんな余裕はありません。
ボロボロになりながらどう乗り越えてきたか、振り返ります。


てりたまです。
監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めました。

自分のキャリアを振り返ってみると、七転八倒。ボロボロになりながら、よくこれだけ長く続けられたものです。

どんな窮地に立ってきたか

私の身に降りかかった(私がしでかした)窮地は、だいたい3つに分類できます。

監査法人の本部方針とクライアントとの板ばさみ

パートナーは、所属する監査法人の方針に納得がいかなければ、法人内で議論します。その結果歩み寄れなければ、法人の方針に従う必要があります。個人名でサインしますが、監査契約の当事者は監査法人です。

段取りが悪く、クライアントに迷惑をかける

必要な監査手続が段取りよく進められていないことが判明し、監査の終盤などで唐突に手続を実施せざるをえないことがあります。対応するクライアントに大迷惑をかけてしまいます。

内外の検査で厳しい指摘を突きつけられる

通常、検査は監査が終了してから受けますので、作成済みの監査調書をベースに戦うしかありません。特にクライアントに影響するような指摘は避けたいところです。

窮地の乗り越え方

乗り越えたのか、叩きのめされたのか分かりませんが、とにかく窮地をどのようにサバイブしたか。いくつかポイントがあります。

自分が一生懸命もがく

当たり前ですが、簡単に解決しないのが窮地です。
監査チームで対応するとは言え、パートナーである自分がオーナーシップをもってことに当たらなければ解決までたどり着けません。

よく「脳みそに汗をかくくらい考えろ」と言われます。
さんざん手を尽くして時間もかけて考えて、もう無理、というところからまだ考えます。
さんざん考えて問題が脳内に充満している状態になると、机やPCから離れても無意識に考え続けています。帰宅途中、食事中、入浴中などに、ふっ、と思いつくのです。

よく経験したのは、「これまで考慮していなかった選択肢を思いつく」ことです。
カラカラのぞうきんを絞って絞ってひねり出した最後の一滴に、答えが隠れています。

10年後は笑って思い出せると考える

窮地におちいると、いろんなプレッシャーに押しつぶされそうになります。
押しつぶされてしまうと問題解決には至らないばかりか、自分の心身に取り返しのつかないダメージを与えてしまうかもしれません。

そんなときは、目の前のことしか見えずパニックになっています。そこで俯瞰して事態を見ることができれば、ちょっと気持ちが楽になります。
その方法が、「10年後は、きっと笑って今を思い出すことができる」と考えることです。

もう少し詳しく以前のnoteに書いていますので、ご参照ください。

結局、誰かが助けてくれる

自分一人で乗り越えてきたかのように書いてきましたが、いつも誰かに助けてもらっています。

  • 監査チームのメンバーが、パニックになった私を差し置いて進めてくれる

  • 本部が手助けしてくれたり、助け船を出してくれる

  • クライアントが新しい選択肢を提示してくれる

  • 家族が普段通り接してくれることで救われる

おそらく、一生懸命何とかしようとしていたから、見るに見かねて助けてもらっていたのだと思います。
もう少し上手に自分から頼ってもよかったかもしれません。

おわりに

実は、実体験をベースにした例を盛り込もうと、過去の「窮地」「修羅場」を書き出してみました。ところが、どれもこれも生々しすぎて断念。
そこで思いっきり抽象化したのが「どんな窮地に立ってきたか」の3つです。

書き出したリストを眺めていると、ほろ苦いを通り越して、当時の激辛が口の中によみがえってきます。
迷惑をおかけした方々、助けていただいた方々には申し訳ありませんが、そんな一つひとつが私をかたち作ってきたと感じています。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはTwitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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