専門的なことを専門家でない人に話すときにやってはいけない7つのこと
ずいぶん雑なタイトルですが、誰でも自分の専門分野を詳しくない人に話すことってあると思います。
監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。
会計士として、会計や監査に詳しくないクライアントに説明しないといけないことがあります。
税理士、弁護士などほかの士業はもちろん、企業の中でも経理部門から経営陣へ、人事部門から製造現場の人たちへ、開発部門から営業担当者へ、専門的なことを分かりやすく説明しないといけないことがありますよね。
そんなときに気をつけないといけないことを説明します。
専門的なことを専門家でない人に話すときにやってはいけないこと
❶ 現在地とゴールを明確にしない
どのような状態にある人を、どこまで連れて行かないといけないのか、が分かっていないと確実に迷走します。
どこからどこに行くのか決まっていないのに、移動手段を考えるようなものです。
現在地とゴールを明確にすることを最初にやらないといけません。
出版やSNSでの発信のように、読者が不特定多数の場合もあります。
その場合も、発信のターゲットはある程度イメージできていると思いますので、そこから現在地を想像し、皆さんのニーズ=ゴールを考えます。
❷ 何もかも全部説明しようとする
何から何まで説明しようとすると、相手は消化できず、けむに巻いて終わってしまいます。
ゴールを見据えながら、どこまでの説明が必要か考えましょう。
❸ 専門用語を多用する
専門家同士で話すときは、専門用語を使う方が効率的で誤解も少なくなります。
しかし、専門家でない人に説明するときに専門用語を多用すると、置いてけぼりにしてしまいます。
専門家として専門用語は普段何の気なしに使っているため、使わないようにするためには慎重に言葉を選ぶ必要があります。
❹ 完璧な正確さを求める
正確に説明しようとすると文章が長くなり、書き言葉ではカッコ書きや「等」も多用されることがあります。
また、表現が抽象的になることもあります。
結局、伝わりません。
❺ 抽象的な説明に終始する
抽象的な説明が続くと理解しづらく、理解するためにかなりの負担をかけることになります。
図示したり、設例や具体例で説明する方が頭に入りますよね。
❻ 膨大な情報量を一方的に伝える
得意でないことを延々聞かされるのは苦痛ですし、途中で落ちこぼれるとあとは我慢しているだけになります。
「全部は説明しない」「正確さには目をつぶる」で説明する内容は絞り込めたかもしれませんが、それでも全体が長くなると結局は伝わらなくなってしまいます。
そこで、全体をコンパクトにすることも考えないといけません。
一度に説明してしまわず、途中で切って質問を受け付けるのも有効ですね。
そこで分からないことをフォローできるだけでなく、リズムを変えることで聞き手の集中力を取り戻すことにもなります。
❼ ゴールにたどり着けているか、確かめない
人に何かを伝えることは、簡単なことではありません。
専門的なことを専門家でない人に伝えようとしているのであればなおさらです。
準備段階であれば、❻までで組み立てた説明でゴールにたどり着けそうか、検討します。
難しそうなら❶~❻に戻ってブラッシュアップ。ゴール自体を見直す必要のあることもあります。
口頭で説明している最中であれば、先方の表情や受け答えから、ゴールにたどり着いていただけたのか確かめます。
おわりに
先日、会計を勉強中の方から、「税効果会計が難しい」という話をお聞きすることがありました。
その方はかなり勉強を進めておられるようでしたが、もっと初心者向けに税効果会計を説明するとどうなるか、と考えながら書きはじめました。
その際、詳しくない人に説明するときに気をつけないといけないことを一般論として書き出し、それを踏まえて税効果の説明をしようと思い立ちます。
ところが「気をつけないといけないこと」だけである程度の分量になりそうでしたので、そちらをメインにしてしまおう、と作戦変更。
はなはだいいかげんですが、こんなことはしょっちゅうあります。
専門的なことを専門外の人たちに説明する機会は誰にでもあると思いますので、参考にしていただけると幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。
てりたま
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