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自由の女神

海外に行った経験は多くないが、
ニューヨークの位置は大体わかる。

行ったことがなくても、場所はわかる。
これは本当にその場所をわかっているのだろうか。

行ったことのない土地に足を踏み入れると、
思っていたイメージと違った。ということが多い。

いや、むしろ、行ってみて初めて
その場所を知ることができる。
だから、自分の言葉でそこで体験したことを
堂々と話したくなる。

海外へ行ってきた人のなかには、
限られた時間で観光地を数カ所周っただけで、
その国のすべてを見てきたかのように話す人がいる。
それだけ体験することは大きな影響がある。

私は20代後半になってからボディワークを学んだ。
きっかけは自分の身体の状態が
辛く自分で何とかしたかったからだ。

しかし、ボディワークに出合うまでは、
身体のことには全く興味がなかった。

当時の自分に「腎臓ってどこにある?どんな機能がある?」と
質問すると、きっと答えられない。

身体が辛くても身体のことを知ろうともしなかった。
病院や鍼灸に頻繁に通い続けることを疑いもしなかったのだ。
しかし、多くの人が私と同じなのではないだろうか。

私は身体にも気持ちがあると考えている。
もしそうなら、身体だって身体に興味のない人に
話を聞いてもらおうとは思わないはずだ。

だから、何かの病気になったときに、
身体に意識が向き、
身体からのメッセージを受け取ることがある。

人生で初めてボディワークを受けたとき、
子供の頃から自己表現することを
諦めていたことに気づいた。

それが私の身体を、私の人生を苦しめていた。
自己表現してしまうと家族が
壊れてしまうかもしれないという恐怖があったのだ。

しかし、もう後戻りができなかった。
家族が壊れるかもしれない恐怖より、
自分を大切にすることを選びたくなったのだ。

身体から気づきというメッセージを受け取り、
私は人生が変わった。
あれから10年以上経つが、身体の辛さはもうない。

遥か遠くにあるニューヨークの場所はわかるのに、
最も身近にある腎臓の場所はわからないというのは、
身体が可哀想だ。

幸せを感じるときも、辛いときも
身体はいつも私とともにいる。

身体に興味を持ち、
一度でも身体を体験すれば、
身体は堂々と話を始める。

私は本当にやりたかったことに
気づけるようになった。
身体は人生を開く自由の女神なのではないだろうか。

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