見出し画像

【カミズによるワークショップレポート】あなたにとっての「死」とは何か

2022年5月に開催される展覧会「Masking/Unmasking Death 死をマスクする/仮面を剥がす」

アーティスト カミズは、ミャンマー国軍によるクーデター以降、多くのいのちが失われる現実を目の当たりにし、一人ひとりの顔をかたどったマスクを制作してきました。
ミャンマーから本展会場に届く100のマスクには、鎮魂の祈りと、生の証、死の真実が刻まれています。
彼らの生、そして死とは、どのようなものだったのか。
いま生きている、わたしたちにとって「いのち」とは何か。

本展の会期中、アート・セラピストでもあるカミズとの対話を通じて、自分にとっての「死」に向き合うワークショップを開催します。
ワークショップでは、カミズがインターネットを通じてミャンマーから展示会場に現れ、「生」と「死」について問いかけます。
参加者は、自らの中で考えを巡らせ、白い仮面=マスクに問いへの答えを描き出します。

2022年4月、本展に先駆けて行われたタイガーモブ株式会社によるオンラインプログラムに4人の展覧会スタッフが参加し、カミズによるワークショップを体験しました。
4人とカミズ自身が書き留めた「わたしにとっての“死”」についてのメモを、ここで紹介します。

大切な人の死の直後、どうしてこんなに涙が体に残っているのかと思うくらい、悲しくて毎日泣いていられました。でも、長期的にみると、大切な人の死は生きるエネルギーを与えてくれると思います。天国に友達がいると、死んでも終わらないいのちを感じることができ、心強くこの世を生きていける。

死に向けて生きるのが生きることだという気がする。死んだ後、わたしが愛する人に、なるべく多くのものを残したい。食べるものがなければ、わたしを食べて1日でも快適に過ごしてほしい。

生まれる前の世界は怖くないのに、いったん生まれた後の死後が怖くなるのは不思議な感じもする。生きる者同士が、意識や感情同士が出会うことが生きることなのかもしれない。 死が来るとそれが宇宙のシステムの中に戻っていくのかもしれない。儀式はその変化を受け入れるためのもなのかもしれない。

パートナーと弟と友たち。病院でなく家か日の当たる落ち着くところ。生前葬でもいいかも。葬儀はみんなが好きなことやるパーティーにしてほしい、ワールドミュージックかけたり、ライブしたり。どうにかして世界中の人をつなげたい。日本なら火葬→樹木葬。できるなら墓地ではなく庭とかの木の下に埋まりたい。

死に方をコントロールすることはできないのだと知っていても、自分がどのように死んでいくのか想像するのが、わたしはとても好きです。静かな場所で、わたしを愛する数人だけが周りにいてくれる、そんな簡素な死がいいです。一切の悔いも欲も執着もなく、残される人たちに負担をかけることもなく、この人生を後にしたい。

あなたにとっての「いのち」とは何か。
そのあなたにとって、100のマスクに込めて届けられた「生の証」と「死の真実」とは何か。

作品を、展覧会をより深く体験する手がかりとして、ぜひご参加ください。


カミズによるワークショップ
日時:2022年5月1日(日)、5日(木)、10日(火)17:00〜19:00
場所:東京藝術大学大学美術館 陳列館
出演:カミズ(アーティスト)
参加費:無料
言語:ビルマ語・通訳なし(5月1日)、英語・日本語通訳あり(5月5日、10日)
参加方法:事前予約制(各回15名)
展覧会、イベント詳細はウェブサイトをご覧ください

頂いたサポートは、打ち合わせ時のコーヒー代として、私たちの創作活動の励みとなります。 Your support supplies our team with an extra cup of coffee to boost creative energies. Thank you!