学生からはじめるモノづくりスタートアップのすすめ:最初の開発設備の準備
モノづくりスタートアップをはじめる上でよく聞かれることのトップ3のうちの一つが「どうやって開発環境を用意したのか?」というのがある。確かにこれは当時私もかなり頭を悩ませた内容である。IT系の開発の場合、極端な話ネットワーク環境とパソコン一台があれば開発環境が構築できるがハードウェアではそうはいかない。特に私が事業をはじめた頃はまだ3Dプリンターが個人でかえるレベルまで普及しておらずもっぱら研究室にあるお高い3Dプリンター(今の格安3Dプリンターより使いづらいし精度も悪い)をこそっと使ったりしていたような時代である。また今は普及しているミスミのmeviy などのような優れた加工品の発注システムもなかったのでもっぱら欲しい部品は自分で作るのが当たり前という考えであった。そんな中くそまじめに機材を全てかったのではとてもではないが当時の数十万円のポケットマネーなどふいてとんでいくわけで私としてもどうしたものかと頭をなやませた。
結論から言うと私の場合は学外に「匠の駅」というものづくりを支援する施設をオーナーと一緒に作り運営をすることで、CuboRexとして生産設備への初期投資を抑えつつ充実したプロトタイプの開発や生産を行っていた。
匠の駅については現在も新潟県長岡市で運営されている。
匠の駅が作られ運営されてきた経緯については過去に記事をあげていたのでそちらを参考にしていただきたい。
今回の私のケースでは地元のものづくり企業の支援者さんとよい縁がつながり、自分にとって当時としては理想とする以上のものづくりの環境を整えることができた。ここでの充実した開発環境の構築がその後の事業を大きくすすめる原動力になったのは間違いない。
ちなみに今回のケースは最終的には今風にいうとものづくりコワーキングスペースだったりFablabと呼ばられる分類にはいると思われる。
会員は月額費用や個別利用料を支払うことでその施設にある機材を自由に使うことができるのが特徴である。機材を共有するので利用の制約はあるが研究開発段階では量産製造と違ってずっと同じ機械を使いつづける事自体がそう多くはないないため共有することの弊害は比較的すくない。有名なところだと秋葉原のDMM.makeがある。実は私もいっときお世話になっていた。
今回紹介した2つの施設はかなり高レベルなものづくりができる施設でありほとんどのこういったコワーキングスペースやFablabはここまでの施設や運用になっていないことにご留意頂きたい。そのため自分の製作したいものがある程度明確であるならば、その製作物が十分につくれる環境か、また会員やスタッフにそれの作り方を指導してもらえる関係性をつくれそうか なども考慮にいれて開発環境を選定する必要がある。他に実は気にすべきポイントとしては運営時間とストレージだろうか。可能なら運営時間が24時間対応しているところが望ましい。開発の進捗状況や展示会前などはデスマーチになることが多いので24時間は無理でも夜遅くまでやっているところがよい。またモノづくりスタートアップの宿命でもあるがとにかくモノを大量に抱えることになるのでストレージスペースが確保可能かは確認したほうがよい。あとは予算と立地次第といったところどうろか
今回の記事ではCuboRexの初期の開発環境を基準にモノづくりコワーキングスペースやFablabについての特性にふれた。
その他にももちろん、自宅でやる方法や大学の設備を使う方法などもあるのでそれらについても別記事で紹介したいと思う。
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不整地産業のパイオニア CuboRexの代表として培ったモノづくりスタートアップのノウハウをベースに他の学生からものづくりスタートアップを…
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