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罪とバツ

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どこにでもある煩悩と傲慢と喪失の物語
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罪とバツ

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2.訴状二年前の冬、それは届いた。

よりによってオレのいない時間に。書留で彼女と娘がいる時間に。裁判所からのスタンプのついた事務的な書面には、申立人としてオレの部下の男の名が記載されていた。

しまった。

「誰なの?あなたなにしたの?」

案外と人間はこういう時、妙なことを記憶している。彼女が顔の前で組んだ指がわずかに震えている。手入れの行き届いた爪がテーブルライトに映えて綺麗に見えた。

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罪とバツ

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1.離婚案外うちは広かったんだな。

昨日まであったものがなくなっている風景がオレの前に広がっている。ソファも、冷蔵庫も食器棚も消えている。それを見て喉から上がってきたのは、ため息に混じった「あー」という変な音だけだった。

昨日の晩、ハンコをついたテーブルは消えているのに、たった一脚、何にもない部屋にリビングセットのオレの椅子がひとつだけ残されている。嫌な女だ。

そんなものに座るのもやりきれず

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