撮影こぼれ話。(大好きな手)
夏に撮影させていただいた、テンペラ画の佐藤先生に依頼された撮影のお話。
美術学生で、佐藤先生に習っているみさきさん。
みさきさんは2017年のアートフォーラム「命ざわざわ」で、前岐阜県美術館館長の古川先生と堂々とパネルディスカッションしていた。
作品も知らないし、あまり話したことがないので撮影前にzoomで打ち合わせをすることに。
zoom画面に映ったのは凄いカッコいい天井!
今どこからzoomしてるのか聞いてみると
「家です‼️」
凄い変わったオウチだなあ・・・
と思いながら、絵を始めた経緯など根掘り葉掘り聞いてみる。
お母様が音楽の先生(パフォーマーでもある)なので、合唱を習っていた。合唱に力を入れたいので両立出来そうな美術部を選んだらすっかりハマってしまったという経緯。今は合唱していない。
「築120年ほどの家が大好きで、ずっと家の絵を描いていました。」
築120年!
確かに素敵な家だ。いつなくなるかわからないから、絵で残しておきたいという思いだった。
しかし今回出展する作品は「手」が沢山かいてある。
「手フェチなんです」
風景などを描いていたときに、ふと家や風景以外も描いて良いんだ・・・と気付き大好きな手を描きはじめた。
「手って、その人を表すじゃないですか。」
確かに「手」ってみんなそれぞれ違うし、特徴などもさまざま。
1時間ほどヒアリングし、撮影の説明をする。
しかし。
築120年の家や、となりの畑も行ってみたいけどまだ油断出来ない状況。
彼女はまだ大学生で、前期がほぼリモート授業になってしまい、後期もまだ通学の見通しが立たないとの事だった。
いくら依頼されたとはいえ、不安な気持ちになるような撮影は行ってはならない。
自宅は諦め、またまたいつもお世話になっているお寺で、日本家屋っぽくお庭も美しく見える場所で撮影することにした。
自宅やお庭は、彼女自身に撮影してもらいデータを送ってもらった。
彼女はドンドン描き進め、カメラが回っていない間も手を止めず黙々とペンを走らせる。
彼女はボールペンと水彩を使っていた。
最後はカメラずっとまわしたまま、二人で座り込んで雑談。その雑談にも彼女の魅力が沢山つまっていた。
アートフォーラムが始まって、お母様と来てくれた。お母様はパーカッショニストというのを聞いていたのでその事も聞いてみた。すると、私が撮影していたダンサーさんの先生をしていたと聞いて驚く。
今回発表した作品はジャンルはバラバラだけど、全部なにかしら繋がりがあって面白い。
そんなに全部無理して出さなくても・・って思われたかもしれないけど、どれも関連があったので全て発表したいという強いこだわりを持っていた。
自分の好きなものを描いていいよ、とさりげなく教えてくれたピュアな彼女。とても小柄だけど描く佇まいが凛々しい。
映像はYoutubeで公開しています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?