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島食の留学弁当(2022/12/15)

生徒達でお品書きを考える島食の留学弁当企画。今回はお客様からの要望もあり、お弁当のテーマはクリスマス。クリスマスを和食で味わってもらうのは、なかなか想像つきにくいですが、どのように表現していくのか生徒たちに聞いてみました。


今回の留学弁当のお題は「クリスマス」。
和食と重ねるのが難しいお題ですが、どのようにクリスマスを表現する予定ですか?


武井:
まずは色合いで、クリスマスを表現しました。島でとれる食材で、今まで離島キッチン海士で使ったことのないにんにくとかを使ってみたので、洋食っぽい感じを出せたのかなと思います。

佐野:
クリスマスそのものを意識したというよりかは、クリスマスで連想するオードブルでのパーティーっぽい、華やかな食卓をイメージして作りました。
色も、クリスマスカラーは赤・緑・白だけど、それだけじゃなくて紫芋を使って紫とか。あまり食卓でお目にかかれないかなって色を入れてみたりしました。

岩崎:
そもそもクリスマス料理ってなんだってところから考えてみると、キリストの誕生であったりご馳走であったりするんですけど。基本的にクリスマスの文化圏の方々のご馳走はお肉がメインになるんですが、島食でお肉メインは難しかったのでガッツリご馳走っぽいものを出そうと割り切って。魚はいつもお弁当よりもポーションも味付けもガッツリ目にしてみました。

あと、今まで作ってきたものでクリスマスっぽいものはなんだって思い返した時に、卯の花が美味しかったし、スノードームっぽくできそうだなって発想して、そこにパプリカとか星の型とか使って、見た目でクリスマスを演出してみます。無理にクリスマスに寄せることなく、島でできるもので自分たちなりにクリスマスに落とし込めるものを作ってみました。

嶋村:
煮物と蒸物を考える担当で、ビーフシチューとかミートローフとか、そういうものが浮かんできたものの、和食に収めるのは難しそうだなってところで。魚の真薯とか野菜を使ってミルフィーユ状に仕立てみて、なんとかクリスマスっぽくすることを考えています。

4つのコーナーがそれぞれの担当で分かれています。
それぞれのコーナーのお勧めポイントを教えてください。

嶋村:
煮物/蒸し物担当です。
今回ソースを作ってみました。洋食に寄せるポイントで、以前に「引き算」をテーマにしたお弁当を作ったことがあって、なるべく無駄なものをそぎ落としたりといった方向で考えたけど、今回は何かを足すという感覚で、今回はこじょうゆを使ったソースを真薯にかけようと思っているので、それを味わって頂けたらなと思っています。

岩崎:
焼き物・八寸・水菓子担当です。甘いものを多くしたことがポイントですかね。八寸というのは、最初に出てくるおつまみみたいなものなんですけど、水菓子と八寸の間みたいなものを作ってみました。純粋に水菓子なのは、フルーツのキュウイとみかんを入れる予定で。

あとはクリスマスケーキも入れることにしました。それに加えて、安納芋の蜜煮と胡麻和えを用意したんですけど、胡麻和えも果物の柿を使って、そこで甘さを表現しようかと。クリスマスは甘いものを食べたくなるかなって思ったりもして。たぶん甘いコーナーになっています。

佐野:
揚げ物と酢の物担当です。揚げ物は三種類のコロッケなんですけど、個人的には紫芋のコロッケがイチ押しで。生産者の方がお菓子以外にも、紫芋の美味しい食べ方があったら教えてほしいと仰っていたので、コロッケにトライしてみました。

紫芋は、食べてみた時に意外とあっさりしているなと。だから、お肉とかお魚とかと合わせてみたらいいんじゃないかと思いました。断面が綺麗なのも気に入っています。

酢の物に関しては、コロッケが裏漉しもしっかりしてクリーミーで滑らかな食感になっているので、パリパリサラダで食感の違いも楽しんでもらえたらと思います。

武井:
ご飯を担当です。
ガーリックライスを作るんですけど、オリーブオイルを使わずにやってみようということで、にんにくを60度位の低温の油で熱して、自分なりにガーリックオイルを作ってみました。
あと、ご飯を炊くときにローリエとトマトを炊いて入れたことで、オリーブオイルとはまた違う風味のあるご飯にしてみました。

お弁当に4コーナーあって、それぞれのコーナーをそれぞれで考える時に、全体のバランスにおいて心がけたことはありますか?

武井:
作っているときに、食材が被らないように声掛けしあっていました。

岩崎:
ご飯がガーリックライスでトマトベースと聞いていたので、おかずの味付けの濃さだとか、焼き魚にもにんにくを入れて親和性のあるものを入れたりとか、うっすらは意識した部分があります。

前回の留学弁当(9/27)も100食近くあって、当日にかなりバタつきました。
仕込みや当日の仕上げのところで、前回に感じた課題を踏まえて内容や段取りを変えていく部分はありますか?

嶋村:
蒸し物担当としては、真薯は型に入れて一気に蒸せば、あとは切り分けられるというものなので、そのような(一気に大量に作れる)調理方法を選んだのはあります。

あとは、付け合わせでブロッコリーとカリフラワーを結んで花束みたいにしたら、可愛いかなって妄想してたんですけど、工程の関係で調整してやらなくなったりしたんですけど、そこはやっぱり110食という量を踏まえてディスカッションして取捨選択していきました。

武井:
お弁当配達当日のことを考えて、ご飯は当日に炊くだけで済むようにしています。それは前日に茹でたり炒めたりできるものを準備しておいて、当日に混ぜ込む形にしています。そこは100食超をスムーズに進める為に、いつもと違うやり方にしているポイントです。

岩崎:
手間の掛け方を全体的にバランスを見て調整しました。
ずっと付きっきりでいないといけない料理を幾つも並べてしまうと、それこそ時間が足りなくなってしまうんですけど。

蜜煮であれば時間はかかるものの、火をかけながらたまに見てあげるだけでも良かったり。そういう料理を準備している合間に、手の込んだものを作るとか。あとは、水菓子もそのまま入れていい果物は、そのまま入れてみたり。そんな風にしてみてもいいのかなって思いました。

ただ、みかんとかもそのままではあるんですけど、羽をつけたような飾り切りを入れたりしています。クリスマスだし天使の羽をイメージして。今、決めました!

今回、700円から1000円に値上げしてみました。取り掛かる時にプレッシャーはありましたか?

佐野:
アンケートの回答で「値上げしてもいいのに」って声が多かった時のお弁当のボリューム感をイメージしましたね。

嶋村:
単純に1000円を4マスで割り算したら、1マス250円って考えると大丈夫かなって心配だなってところあるんですけど。
ほぼ1品半くらいのものに手間と真心を込めているので、それが食べ応えに直結してくれていると嬉しいです。

武井:
今までやってきたお弁当よりも、仕込みに割いている人数も増えていて、1ますに対して2人とかで取り組んでいるので、考える時間は以前よりかは取れていると思います。

あと、クリスマス弁当という行事食を作っているというのも、作っている側として更に良いものを作りたいなと思うところなので、そこも感じて頂けたらと思います。

岩崎:
箱の大きさは同じなので、ぱんぱんに詰めることを考えました。

最後に食べ手の方に一言ずつ!そして、今年の締めくくりの言葉を。

岩崎:
美味しいお弁当を食べて、良いお年を迎えて頂ければいいなと思います。この1年お世話になった方々もいるので、ありがとうございました。

佐野:
和食からクリスマスを感じてもらえたら嬉しいです。1年間、お弁当を食べてくれてありがとうございました。

嶋村:
何度もご注文頂いている方も多いと聞いているので、私たちの変化ももしかしたら感じ取って下さっているのかなと勝手に思っていますが、今年の締めくくりを感じてもらえたらなと思います。

武井:今回を作ったお弁当でのアンケートもしっかり読んで、年明けのお弁当に反映します!

(収録:2022/12/14 昼休み@島食の寺子屋校舎)


お品書き

【右上】
ミルフィーユ真薯 白菜とこじょうゆのソース 白身魚ミンチ 大根 人参 白菜 椎茸 炒り玉子 花椒
カリフラワー ブロッコリー

【左上】
鰤オイル焼き こじょうゆ 大蒜 パセリ
卯ノ花煮 パプリカ 人参
胡麻和え 柿 ブロッコリー 南瓜
蜜煮 安納芋
崎みかん キウイ
和・シュトーレン風ケーキ 薩摩芋 小豆 南瓜 きな粉

【右下】
3種のコロッケ
・塩麹クリーム 牛すじ しいたけ
・じゃがいも 牛すじ
・紫いも スズキ

ぱりじゅれぱりサラダ じゃがいも 大根 人参 キャベツ
柚子甘酢漬け カリフラワー ミニトマト

【左下】
炊き込みガーリックライス
大蒜 ローリエ パプリカ カリフラワー 白身魚