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卒業生インタビュー(嶋村さん)

1年間を終えて、ひと言感想をお願いします。

嶋村:
いやぁ、怒涛でした。
総合的には楽しかったですけど、乗り越えるべき時期と、穏やかで「ずっとこの時間が続けばいいのに」みたいな時期が交互に来るのが個人的にありました。基本的にはずっと忙しくて、ついていくので精一杯だった。

恒光:
なにに忙しかったのかな?

嶋村:
季節を追いかけるのにも忙しかったし、島食の寺子屋の活動自体も年々ボリュームが増えていっていると思うし。
離島キッチン海士での実践があり、給食センターに向けての魚加工があり、その他にも沢山の課外授業があり。
なんていうか、4月に初心者として入って、初心者として学ぶべき授業とか練習以外のことが沢山あって、いつも「わぁ~」ってなっていました。

島食の寺子屋に入塾するのを決めた頃のことを教えてください。

島食の寺子屋が、立ち上がったばかりで一期生を募集しますくらいの時期の募集記事を読んでいて。
「あー、こんなところがあるんだ、楽しそうだな」って思いながら、なんとなくうっすら興味を持っていたんだけど、自分がそこに行くとは当時はまったく思っていなかったです。

それから4年くらい過ぎて、仕事の方も別の方向に進んでいきたいなと思っていて、ちょうどまたそのタイミングで生徒募集の記事が流れてきて。その時に「もう行っちゃおう!」って思って。

来島見学に来たとき、山羊の赤ちゃんと出会う

他のみんなはただひたすらに料理を学びたいとかだとは思うんですけど、私の場合は今後の働き方とか暮らし方も見直したいなと思っていて。だから、こういう全く別の環境に来て、これからどういう風に暮らしていきたいとかも含めて、今一番興味がある農業とか食とか一次産業とかに関わる場所だなと思って。まずは飛び込んでみようと思って入塾しました。

お米農家さんの台所

実際に入ったもので得たもので想像と違うことってある?

Iターンの人たちが活気があるし、どんどん新しいことをやっていこうみたいな場所なのかなって想像していたんですけど。でも地域の方々の姿勢が思っていたより違うくて。
それは、崎地区に暮らしていたからかもしれないんですけど。崎地区の青年団の皆さんとか、楽しいことは自分たちの出来る範囲でみんなで協力してやっていこうという姿勢が強いなって思って。それに、しかも一時的にしか島にいないような寺子屋の生徒だったりも交えて、楽しく盛り上げていこうというのはイメージしていなくて、ありがたい経験だったなと。

綱引きイベントに急遽参加

一旦は進路を明確に決めずに卒業するけど、どんな風に料理と関わっていきたいですか?

大きな方向性としては、生産現場に近いところで料理ができたらいいなとは。本土に戻ったら、飲食店であれば仕入れくらししか生産現場との接点はないだろうし、そこをもっと色んな職場を掛け持ちするなり、時期的にチェンジしていくなりして。食材を作ることと、料理を作ることと、両方したいと思う。
最終的にやりたいことは、お弁当とか惣菜とかなんですけど、でも今すぐにではなくて。海士町で生産者の人柄も含めて、どういう風に食材が手元に来るのかっていうのを肌で感じられたので。それと似たことを他の地域にいってもやってみたいなって気持ちが出てきて。今の時点では魚屋さんかな?(笑)

魚を捌く日はとことん

魚屋さんか八百屋で働きながら、余裕が出てきたら惣菜とかお弁当にも挑戦していくようなスケジュールかな。週2料理、週2魚みたいな1週間が組めるといいですね。

他のみんなは就職先を決めて島を出るけど、私は島を出るまでは就職先を決めないってことを決めました。島にいる間は、島でちゃんと過ごそうと思って、今しかできない話とか体験とかをしたいなと。

島食の寺子屋らしい瞬間は?想像を越えたことは?

知り合いの漁師さんが岩牡蠣満載の箱を突然くれるとか(笑)

岩牡蠣の生産者の方と

この日じゃないともう旬が終わっちゃうからとかで、よく急遽課外授業に行ったりしましたよね、無理くりにでも。そういうのも食材の時期を、取り残されそうになりながらも追いかけて、それでそれをいただいて、その日に料理をしているとか。

卒業制作も留学弁当も離島キッチン海士の料理もそうですけど、島でとれた食材だけで作っているじゃないですかフルコースだったりも。そういうのも、シンプルに寺子屋だからこそできるんだろうなと思います。ここまで厳格にできるところって、やりたいと思っててもできないところが多いと思っています。

卒業製作弁当の盛付

1年の中で印象的だったことは?

4月に入って最初に触った食材が大根で、そこから一ヵ月くらいずっと大根を触っていたと思うんですけど、最初は本当に出来なくて。毎日、手に傷をつくって、絆創膏足りなくなっちゃって、みたいな感じだった。

あとは、自分の中では初心者のことを教えてもらえると思っていたけど、離島キッチン海士が始まると「これをこうやっておいて」ってOJTっぽく言われることが多かったから、そこは質問返しをしながら学ぶって感じでした。最後の方こそ離島キッチン海士は余裕が出てきましたけど、毎回緊張していました。

お食い初めの出張料理をしたことも

課外授業でいうと、椎茸関連は勿論大好きでしたけど、崎地区の稲刈りが最高でしたね。稲刈り自体も初めてだったんですけど、ハデ干しの竹に登ってみんなで海を眺めたじゃないですか。あれが最高だった。うわぁ、よかった~寺子屋だ~って思いました。

ハデ干しのあと

あとは荒神さんのお祭りが個人的に好きだった。雪のなかでみんなで一列になって、大蛇をもって歩いて行く様子が絵画のようで、なんかすごい素敵だなと思って。地域との関わりがすごい好きだったのかもしれない。

荒神さんの綱打ち行事

最初の頃のタラの芽とかも、めちゃくちゃ良かったし、梅仕事をするために私は来たようなものなので、梅の時期は「梅~!!」って思いながらやっていたし。

梅の土用干し

シェアハウスでの暮らしはどうでしたか?

シェアメイトは、家族のような、仲間のような、友達のような、前から知っていたような不思議な感じ。一年しか一緒にいなかったのに、もうすぐ別々の場所で暮らすんだなっていうのが、まだ信じられないです。
みんなでご飯を食べることが多かったので、学校で作っているご飯と、シェアハウスで作るご飯は系統も違って、家庭ご飯だなって感触。家のご飯って、ほっとするんだなって。ずっと食べられちゃう感じ。

これから入塾する生徒に一言お願いします。

私からはなんだろうなぁ。頑張りすぎないでって言いたいかな。頑張るのはみんな頑張ると思います。情報が本当に多いというか。びゅんびゅん、先生からの知識もそうだし、季節ごともそうだし、恒光さんの飲み会もそうだし、色んなことが風となって、とんで来るんですよ(笑)

植物と一緒で、一年の中で元気なときと、充電するときがあるじゃないですか。寺子屋の授業って、やっぱり先生と恒光さんで沢山の経験をさせてあげようって色んなことを準備してくださるし、地域の方もそうだし。やってみようと思えばどれだけでもできちゃう環境なので、それで頑張りすぎると疲れちゃうから、無理しないで(笑)

あとは寺子屋の桜がすごく綺麗だから、ちゃんと目に焼き付けてほしいです!

4月の島食の寺子屋校舎

あと、個人的な想いとしては、島食の寺子屋だけでも色んな出会いとか経験があるけど、寺子屋の授業以外だったり、シェアメイトとも関係なく、一人で色んな人と会いにいってみるのも、また違った出会いの広がり方が違うので、そういうのも楽しんでもらえたらなって思います。

島食の寺子屋は唯一無二の学校だと思います。

一年間お疲れ様でした!
(収録 2023年3月13日@離島キッチン海士)

恵方巻