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4月「出会い」

こんなにもたくさんの出会いをした4月は、これまでもこれからもないと思う。
 
 目に映る景色が美しすぎて、自分に起きていることが幸せすぎて、これは現実なんだろうか、と実感がもてない瞬間が何度もあった。

 大きな変化と濃い毎日に頭も心もぱんぱん。キャパシティオーバーと消化不良を起こしながらも、出会う全てを味わって楽しみたい!と欲張っている。

〈崎地区で出会った美しい風景〉

【自然、食材との出会い】

 これまでで一番自然を感じ、関わり、向き合い、味わった1か月だった。

 毎日のように散歩をして、景色や草花を見た。食べられる野草は全て食べた。一度しか過ごすことのできない季節を、精一杯感じたいと思っている。

〈海士町で出会った植物〉

 授業でも、たくさんの自然の恵みをいただいた。授業初日にはワカメ、2日目には山に入ってワラビやクロモジの花を採ったり、つくしやよもぎを摘んだりした。生産者さんや地元の方にお世話になって、大根やカブを収穫させていただいたり、岩牡蠣の養殖を手伝わせていただいたり、タラの芽、木の芽、筍、ふきなどを採らせていただいたりもした。
 4月下旬からは、船から水揚げされたばかりの魚を仕入れるところから授業が始まっている。
 野、山、海から生命をいただいて、私たちは生きていることを実感する。

〈4月に出会った食材〉

 旬は待っていてはくれない。ほんの少しの間しかとれないものもある。短い旬のものにも、絶対に出会わせようとしてくれる恒光さん。快く受け入れてくれる地域の方や生産者の方。自分たちでとったものを食材としてどう扱うかを教えてくれる先生。多くの方と自然のおかげで、充実した毎日がある。感謝の気持ちをもって学んでいきたい。

【仲間との出会い】

 1年間を共に過ごす仲間は9人。年齢、性別、出身、これまで学んできたことや仕事など、ばらばら。全く違う道を歩んでいたのに、好きなことや感じ方が怖いくらい同じときがある。海士町で暮らし、島食の寺子屋で学ぼうと、同じ時に決断して集まった私たちは、似た価値観をもっているのかもしれない。

 授業の日も休みの日も、ほとんどの時間を共に過ごして、たくさんの初めてを共有している。感動するのも、苦戦するのも、成長するのも、みんなと一緒。うれしいし、心強い。
 
 出会ってまだ1か月なのに、みんなとはずっとつながっていたいと思う。まだ始まったばかりなのに、別れるのは辛いと考えてしまうくらい、大きな存在になっている。

 みんな優しくしてくれる、助けてくれる、喜ばせようとしてくれる、一緒に考えてくれる、一緒に楽しもうとしてくれる。大好きなみんなと過ごす毎日を大切にしたい。

〈出会ってすぐ大好きになった先生とみんな〉

 住み慣れた地元、13年間続けた仕事から離れた1か月前。どんな日々を送るのだろうと、未知の世界に飛び込むことに不安と期待で心が落ち着かなかった。

 食材がとれる自然や生産する現場とつながって料理をすることが夢で、島食の寺子屋で学ぶことを選んだ。授業初日から、「来てよかった」と思えた。毎日を過ごせば過ごすほど、その気持ちは強くなる。自分のしたかったことが毎日できている。大好きな仲間と毎日一緒にいる。

 今の自分を表す言葉は「幸せ」。毎日、そう思う。この場所に、ここにいる人たちに、ここにある文化や伝統に、出会えて幸せ。

 これからの日々も、たくさんの出会いを重ねていくだろう。その全てを楽しんで、吸収して、成長したい。
 1年後この島を出るとき、夢に向って「始めの一歩」を踏み出せる自分になれるように。

今の自分(右)と1年間の抱負(左)を表した作品 私の書は左から2列目の真ん中

(文:島食の寺子屋生徒 小松)