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卒業生インタビュー(森塚さん)

料理の道に進みたいと思いながらも、8年間ずっともやもやしていた森塚さん。料理をやりたいという気持ちを初めて形にできた1年になった。長く待ち望んでいたものだからこそ、自身の中にこみ上げてくるものが沢山あったそう。(聞き手:受入コーディネーター 恒光)

1年間お疲れ様でした。まずは、今の気持ちを教えて下さい。

私が島に見学に来た時、「陶芸やりたいです」と勇木さんと話していて、それを実際にやらせてもらえて、勇木さんに有難うございましたって伝えて。それに対して、「コロナだったらやれるやれないがあったとしても、自分がやりたかったら、きっとどちらにしてもできたと思う」っていう勇木さんの言葉を聞いた時に、自分がやりたいと思ったらできるんだなって、実感として感じた一年で。

というのも、島食の寺子屋を見つけた時も、自分がそういうものを探したいって強く思っていた時で。私はずっと料理関係の仕事につきたいって想いはずっとあったんですけど、行動に移そうと思ってもそれがなかなか実を結ばなかったり。

そういう想いがあったからこそ寺子屋を見つけた時に、ただ料理学校で勉強するだけじゃなくて、生産者との関わりの大切さとか、野菜ってどんな風に育っているんだろうってことの方を、すごく大事にしたいって。

自分のなかで生活していて感じていた部分を、すごく具体的に言葉にしていて、それを行動に移していて、それが学校としてあるっていうことを知れた時が本当に嬉しくて。

寺子屋を知った時は、仕事も順調な時期だったんですけど、その中でもやりたいことを優先したいという気持ちがあったので、やっぱり見学に来ようと思いました。

実際に来てみて、自分の思い描いていたことができそうだなって、なんとなく感覚として感じれたのが、島に初めて来た時の第一印象で。
きっと自分の想像できないことも、一年間の間であったとしても、たぶん良かったと思える年になるだろうし、そういう一年間にしたいなっていう想いがあって、入学を決めたというのがあります。

すみません、喋ってて、なにを質問されたか忘れちゃいました。。(笑)

今の気持ちを聞かせてくださいっていう、ざっくりとした質問だよ(笑)

勇木さんに最後の挨拶をした時に、最初の頃の気持ちが蘇ってきたなと。
あぁ、本当に一年が過ぎたんだなっていうのを、感じました。

それまでは島を離れるという感覚が本当になくて。
終わりが見えてきているにも関わらず、また明日も会えるという感覚がどこかしらにあったので、淋しさという感覚もなくて。

ただ、「これが最後だね」とか「もう会えないんだね」とか、人から言われて初めて感じるというか。あとは、やっぱり勇木さんの言葉が心に刺さってしまって。

泣きそうで危なかったです。。(笑)

勇木さんのどの言葉で泣きそうに?

「自分がやりたかったのだから、きっとどちらにしてもできたと思う」っていうのが、島食の寺子屋への入塾を決めた時の感覚そのものだなって。

島食の寺子屋に入るという決断をして良かった?

人生のなかで決断をすることって、今までいくつもあったんですけど。会社に入るとか転職するとか。

人生の中で自分はこれをやりたいと思ったことをする決断をして、やっぱり良かったなっていう。気持ちと行動が連動したなっていうのが、これが本当に初めてです。

今って何歳だっけ?

27です。。(笑)

決断としては、早かったのか遅かったのか、どうなんだろう。

自分にはこれ位がピッタリなんだろうなって。
入塾してからもそれは感じていて。

たぶん恵まれた環境で高校を卒業して、自分でお金を払わずに寺子屋で学んだとしたら、ここまでの良さを感じられなかっただろうなと思います。

私の場合は社会人経験を8年間させてもらって、なにか納得がいかないまま、目の前の毎日を過ごしていて。でもその時が無駄というわけではなく。

でも、あとで振り返ったときに、どこかしら後悔することがあるんだろうなっていうのがあって。後悔するのを分かっているのに、後悔する道に進んでいるっていう自分も、すごく嫌で。

今の自分にはベストだったんじゃないかなと思います。

来島見学のときは、どういう風に海士町のことを感じていたの?

見学のときに、勇木さんと宮崎さんにお会いしたのが大きかったかもしれないです。

情報とか価値観って、色々な価値観があると思うんですけど。
軸が自分の中にあるというか、自分の中の幸せとかの芯が、皆さんあるように見えて。

「なにが良い」とかを、周りに左右されず、自分らしさをすごく持たれている方だなと、すごく魅力にも感じて。それを案内してくれた恒光さんも、その良さを感じているから案内してくれたんだろうって思いました。

もともとホテルに宿泊予定だったのに、宮崎さんのところの民泊に急遽変更になって、なんでだろうと思って。民泊が初めてだしちょっと心配だったけど、初めての場所で初めての人でも、こんなにも居心地が良いって言ったらあれですけど、すごく安心感があるというのが不思議な感覚でした。

島に来る前から、割と入塾は決めていた?

8割方は決まっていましたね。
自分がやりたいことと合致しているなって、日頃の写真を見ていて感じていたので、よっぽど実際の印象とか環境が悪かったとしても、どちらにしても行こうとは思っていたんですけど。

島全体とか人が良いっていうのが印象的で。「こんにちは」とか「どこから来たの?」とか。通りすがりの人が、そんな気軽に声をかけて下さるのも初めてだったので。でも、そういうのって本来あるべき姿なんだろうなって。

本来こうあったら良いなって自分の中で思っていたものが、島の中には沢山あるんだろうなと思って。それで、そういうのを流さずにキャッチできるような自分になりたいって思いました。

実際に寺子屋に入ってみて、想像と違ったり悩んだことはあるかな?

性格の話になっちゃうんですけど、私は組織の中で物事を進めるのがやりやすいタイプで。周りから求められている方向に沿って行動していくのは得意なんだろうなと思っていました。

でも島食の寺子屋は、自分の思ったことをどんどん言っていって、それをどんどん取り入れていくよってスタイルのところで、そういうのが初めてで。

恒光の求めている主体性はもっと敷居の低いものだったんだけどね(笑)

でも、今まで本当にやってきたことなかったんですよね。
そこで分かったのが、「自分のこと知らないな」って。
それが結構これまでコンプレックスだったんですよ。

他の生徒を見ていたら、主体がすごくあるように見えて。
自分の思ったことをすぐに言葉に変えられる。
言葉に変えなくても感情がすごく伝わってくるのがすごくあって。
たぶん、そういう人たちの方が向いている学校なんだなっていうのが凄く感じて。

だから、本当に「自分は何をしにきたんだろう」って悩む時期があって。今日得た食材でなにをするとか、これとこれを組み合わせたら面白いんじゃないかとか。そういうのがなかなか出てこない。

誰でも思いつきそうなことは思いつくんですけど、これやってみたら面白いとか単純に気になったことっていうのが出しづらいんだなっていうのが、この1年を通して課題を感じたというか、もやもやしたポイントでした。

最終的に自分らしく取り組むことは、ひとつかふたつはできましたか?(笑)

んー、自分らしいこと?

えー。。。(笑)

そうですね。でも、自分は土を触ることが好きじゃなかったにもかかわらず、土を触れるようになった自分がいて。好きというわけではないですけど、意外に嫌いじゃないんだなって。

本当に嫌いだったら、なにも手をつけないかも(笑)

でも、なにか興味が湧き始めたというか。

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最初の頃の森塚は、畑をやりたいっていうよりかは、畑をやるためにはどういう段取りがいいのかっていう、ちょっと仕事っぽく畑をやっている印象があって。でも、夏前頃からか「畝立てといえば森塚」って思えるほどに、畝立てを楽しんでいた印象。

寺子屋に来たら、畑はやりたいって思っていて。
今まで自分がやってきたことのないことをやりたいし。農家さんと話していくにしても、自分が実際にやってみないと対等にお話できないなって思って。その考えがあって、畑は一年を通してやってみたいなと思いました。

なんだか、アグレッシブな内面を持ってるね。農家さんと話す為に「まずは土からだ!」って(笑)

寺子屋の畑では、ことごとく野菜を育てるに失敗したじゃないですか。その時に、自分のなかで初めて感情が湧いたというか。「え、なんで育たないんだろう?」とか「悔しい!」とか。そこから、純粋に「絶対に育てたい」って思うようになりました。

育つまで意地でもやってやるじゃないですけど、そこから徐々に業務っていう感覚が薄れて。どうしても実ったものを寺子屋として調理して、それがいつか料理に変わってお客様に食べてもらえたら一番いいなって思えたんですよ。

その方がやっぱり作る身としても伝える身としても、想いが乗ると思って。

農家さんに質問するときも、「どうしたら上手くいくんだろう?」って悔しさが心の中にあって、だからこそ農家さんからも返ってきてほしい答えが返ってきたんだろうなってすごく感じて。

面白いプロセスだと思う。なんとなくだけど、一般的な「生産者のことを知る」って、相手の話を一方的に聞くじゃないけど、それで「うんうん、それ素敵」みたいな。
でも、森塚の場合は、自分がやってみた畑が上手くいかない悔しさがエネルギーになって、生産者さんに向き合い始めている流れが良い。

上手くいった時の共感だったりとか、上手くいかなかったとしても、こうだよとか。そういうコミュニケーションの取り方が、大事なんだなっていうのが畑を自分でやってみて分かりました。

畑の話ばっかになっちゃったけど、料理の方はどうだった?

私は学校が始まって、割と最初の方に波があって。
というのも、最初はどうしていったらいいんだろうかっていう、周りの不安感に、自分も同調してしまったというか。

そこで自分の軸があったら全然大丈夫だったんですけど。
そうなった時に、どこまでできたら自分は大丈夫なんだろうか?と。

あと、ここまでできたら良いという目標に、自分の中で到達できていなかったので、そこでちょっと焦りじゃないですけど。

どんなことで焦って、どう解決していったの?

大根の桂剥きを、同じ幅・薄さで10分以内に2mをできることが目標って、先生に言われたときに、自分の現時点でどこまでできているんだろうかと。いつも自分の現時点を確認したいという、ソワソワした気持ちが6月位まで続いていたんです。

でも実践授業が始まって、現時点でどこにいるかを考えるよりも、今あるものを積重ねていったら、その先に先生が求めている目標に到達できるんだろうなって考えに、ちょっとずつ変わり始めて。

自信がついてきたのは9月頃。
仕出しとか懐石が重なって忙しかった時に、先生の動きを見て自分は動けるようになったなと感じる時があって。そこから急に活き活きとしてきて。

忙しさについていけている自分が、ちょっと嬉しかったんですよね、その時は。

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言葉を変えると、実践の場で通用しているということかな。

はい、そうです。
なので、これを続けていったら、卒業後に就職した時のイメージが一番湧いたんですよね。

実践授業が始まるまでは、校舎の中で自分たちが好きなものを好きなように作っていたんですけど、別に時間も関係なく、食べてもらう方もいないので、「まあ、こんな感じかな?」となってしまっていて。

それが実践授業では、お客様に時間内にちゃんと提供していくという意味で、明確な部分が多い。。働く疑似体験が、入塾して半年でできているのが、すごく嬉しくて。

実践授業の中でも、先生に聞いて習える環境にもありますし、働く準備が出来るという意味で、ちょっと気持ちが楽になったんですよ。

実践授業のピークを越えて、校舎に戻った時はどんな目標をたててみた?

実践でスピード感を掴むことができたので、あとは精度だけだと思って。

私が一番まっすぐできていなくて、大根の桂剥き。
だから、集中的にまっすぐにしようと思って。

先生に「平行にしてみろ」って言われたので、剥き方を机と大根を照らし合わせて、包丁は直角に持つってやり方にして、とにかく体に染みつくまでやろうと続けた結果、まっすぐにできるようになったんですね。

意識をしていれば、その分だけ上手くなっていくのだなって。

授業の中で、先生からどんなことを指導されることが多い?

大きくいえば、段取りのところですかね。

やったことのないことを沢山やりますし、それを同時並行でやっていく必要がある時に、なにを先にやるべきで、それぞれやることになんの意味があるのかっていうのが、分からない状況から始まったので。

まずは自分のなかで段取りをしてみる。

例えば、冷たいものを出したいときに、それを冷蔵庫に入れておけるスペースが空いているのかとかを、全部自分の中でシミュレーションをしたうえで、実践授業に臨んでいました。

そのなかで、「こうした方がいい」という指摘があった時に、最初に自分でシミュレーションをしている分、「あ、そっちの方がいいんだな」と納得できるとか。

答え合わせのようなことができたのが、自分のなかで良かったです。

シミュレーションっていつやってたの?

当日と前日です。
スケジュールが見えた時点で大まかに逆算するんです。

食材の量を確認したりとか、予約が同じ日に2件被っているのであれば、使う食材の何が被っているのかとか。だったら、先に分けておかないとまずいなとか。

そういうことを自分の中で考えていたので。

あとは、関西研修で実際に動いている厨房を見させて頂いたのも、自分の中では大きくて。見ないでもどこになんの食材があるのか把握しておいた方がいいっていうのは、印象に残っていて。最初はメモ書きとかしていたんですけど、メモがなくても食材がどこにあるのかわかるようになろうと思いました。

体感としてやって良かったなと思うのが、離島キッチン海士に入ったら、冷蔵庫の扉を一通り開けるようにしていたんですよ。なにがなくなりそうなのかとかは、自分の中で覚えるようにしていて、賞味期限が書いてるものも見るようにしていました。

なので、先生から指示を受けた時に、誰よりも最初に食材をとりにいけるように心がけていて。日々意識しているのが、ちゃんと実になっているなって感じて。それが良かったなと思います。

森塚って、「料理人として働けるようになること」の為には努力を惜しまないよね。

その危機感が4人の中で一番あったのかなって感じていたのは、私は大学に行ってなかったりとか、やりたい仕事があっても就けてこなかったり。

じゃあ、他の人と条件で劣っている時に、なにで勝らないといけないか。「使える人間」でないと切られてしまうという感覚が強くて。転職もしているので、それを強く感じていて。

だからこそ、この1年は学びにくるのは勿論のことですけど、感覚としては働いている感覚で1年を過ごしたいというのがすごくありました。1年間働いている感覚で過ごした方が、働いている人の目線に立てているので、学んでいるだけの感覚よりかはいいんじゃないかなって、いうのがすごくあったので。

そういう視点でも、先生に質問をしたりとか、農家さんとの関わりを意識したりした1年かなとは思います。

これからお世話になる就職先では、寺子屋で忙しいとされてる時期がずっと続く感じなんですよ。なので、実践授業の経験がないと、外に出た時にギャップに耐えられるかどうかっていうのが不安になるだろうなと。

一度、忙しい時期を経験したので、ビックリはしないなと。そういう意味では良かったです。

なるほどね。ちなみに、就職先はどこになるんだっけ?

就職先は「カフェひとあし」ってところです。

雰囲気が良いところなんだってね。

すごく雰囲気がよくて。
雰囲気が良いなと思ったのが、今まで私が経験してきた接客業の中では、ディズニーがどうしても忘れられなくて。その良かった時の部分が取り入れられている。

スタッフそれぞれが、「こうしたらお客さんが喜ぶんじゃないか」って考えているお店だなと。自分もマニュアルとかではなくて、「こうしたい」と思ってお客様に接することができたらいいなと思っていたので、それが自分の理想に一番近かったというのがあります。なので、路線は日本料理からずれるんですけど、学べることは多いんだろうなということで選びました。

就職したいお店を探すのは苦労した?

テイクアウトとか、お弁当・お惣菜をやっているようなお店で働きたいというのがあって、そういうところを探していたんですけど。

でも繊細さというか、物の扱いが大切じゃないというのが、お店があげている写真からでも見えてしまうと、やりたいなと想いながらも、そこには行けないなって。見た目はすごい良いんですけど、でも所々に見えてしまう。切り方とか盛り付け方とか。

あと、今までの自分は突っ走ってしまいがちで。
自分の向かっている方向はそっちだからとか、決めつけがちで。

自分の居心地が良くなるように環境を変えていけば、それで良いと思って進むと、たいがい今まで失敗するというか、体が壊れていくということが出てくることが多くて。

そこまでしてそこにいたいのかということもあったので、この1年自分の感覚というものを大事にしてきたので、それはちょっと崩さずにいこうかなと。

島食の寺子屋は、日本料理を教える学校だけど、それでも日本料理ではないというお店を選べたのは、自分の感覚を大事にできた良い証だと思う。
一方で、入塾当初から家族で料理屋さんをやりたいっていうのを聞いてて、どんな料理屋さんをやりたいというのは、この1年でなにか決まった?

今まではお店を開くということにこだわりすぎていて。形として。

でも、どんな形でも家族となにかできたらいいと思った時に、実店舗をもたなくていいんじゃないかと思うことがあって。

家族のなかの、誰かが就職したりとか、嫁いだりした時でも、継続していけるようにして、自分たちにとって最適な形になればいいなって。

ネットとかで販売して、月1でどこか間借りして、人に直接販売することができたらいいなって、ちょっとずつ変わってきました。

だいぶ、柔軟な計画だね。

それも寺子屋に来てから変わって。
わたし、柔軟性に欠けている方で。どっちかというと自分の考えを曲げられないタイプで。

「自分がこう」と思ったら、他人の意見とかも全然入ってこないんですよね。でも、色んな人の意見を聞いたりとか、どんなふうに周りの人がしているんだろうかとか見ることができたりとか、その人の純粋な意見を聞けるようになったりとか。

なので、柔軟性が増したのが今回パフェのお店を選べた一つの要因なのかな。たぶん枠にはまっていたら、わたしはがっつり日本料理のお店に行っていました。

柔軟性が出てきたのはなんでなんだろうね。

寺子屋は自分の感覚とドンピシャだったので、それを信じて入っただけなんですけど。
わたしの考え方って常に効率的というか、これがみんなにとってベストだとか。最善のものを出すということずっとしてきたんですけど、そこに自分の想いがあまり乗っかっていないというか。

でも、3人とのシェアハウス生活があったり。鈴木君含めて4人で料理の話をしたりとか。今まで、料理を話す友達とかも全然いなかったので、初めて同じ興味を持っている人と、色んな情報とかこういうお店素敵だねとか、そういう他愛もない話ができるのが、すごく良くて。自分がブロックしなければ、色んな情報とかが入ってくるんだっていうのが、わかって。

今年の生徒はみんな我が強かったしね。周りに振り回されていた?(笑)

自分は人見知りなところがあるので、自分の意見をすぐには言えなくて。この子はどういう子なんだろうっていうのを最初に見極める感じなので、なにも言わないでこの子たちはどんな感じにしていくんだろうかっていうのを見てて(笑)

自分が「こっちの方が良いのにな」とか思っていても、すぐには言えなかったんですよ。

「あー、そうだんだぁ」って聞くだけで。そこに「それ良いね、」って本当に感情がのっかることができずに、ただ見守るっていう状況が4月で。

4月一緒にいて、聞くだけじゃダメなんだって気付いて、自分も気になったら言っていかないと、自分の時間を過ごせていけないなと思ったので、「こうした方がいいんじゃないかな」とかいうのを言えるようになってきました。

じゃあ個性的な3人のおかげで、柔軟性が増えたわけだね(笑)

今は料理で誰を一番喜ばせたい?

そうですね。家族と友達と、今までお世話になった人。
寺子屋に来ることをすごく喜んで下さったんですね、前の会社の人が。

すごく良く送り出してくれたからこそ、それを形として帰していけたら一番いいなと思って。定期的に「どんな感じ?」「島、大丈夫?」とか連絡をくれるような関係を持てているのがよくて。

だからこそ、自分のお店を持ちたいなという気持ちも湧きましたし。あと、自分の技術が身に着いたら、もう一度島に戻ってきて、料理を作って食べてもらったらいいなとも思いました。

もし、あと1カ月を自由に寺子屋で過ごしていいよってなったら、なにしたい?

島外での就活から戻ってきたら何をやりたいかは、事前に考えていたんです。出汁の取り方をもう一度おさらいしたいとか。初歩的な魚の捌き方をもう一度確認したいとか。

でも、それが島に戻ってきてみると、変わっていて。

蕗を取りにいったりとか、自然の中に入って「今しかできないこと」を大事にしたいなって、帰ってきてから思ったんですね。だから、1年前の自分と違うなって感じたんですよ。

最後に、これからの生徒に一言お願いします。

1年の間に、季節が1回しかないっていうのは、頭では分かっているんですけど。どんなに体が疲れてても、周りを見て欲しいなと。

料理を学ぶ良い環境でもあるんですけど、それ以上に自然に恵まれたところと、あと人にも恵まれた土地なので。そこは、たくさん楽しんでもらいたいなということを一番伝えたいです。

また会えるから今度でもいいやっていうのもあると思うんですけど、でも誘われたら参加してみるっていうのは心がけていました。

出かけたり、人に会ったり、自然の中に入っていったり。
なにをするにもそれを優先しても後悔はないんじゃないかと思いました。

ありがとう。一年間お疲れ様でした!

ありがとうございました!

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