胡麻行
見出し画像

胡麻行

離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」

気付けば年末で、12月に入ってから今日に至るまで、本当にあっという間でした。実践が立て込んでいた時期よりも、遥かにゆっくりとしたペースで日々が進んでいるはずなのに、なにかに焦ってしまう。

季節のことを追うにも、とても時間と手間がかかって、全てが全てに手を回そうと焦ってやっても、まだまだ追い付きません。野菜も育てたことのないものが、まだまだあると感じる。

海士町の図書館にシードライブラリーというコーナーがあって、そこでは野菜の種を借りて、種ができたらまた返却することができます。ここ2年ほど、シードライブラリーから借りた種で野菜を育てて、種を返却できるように試みてみたものの、発芽のタイミングで虫に食われてしまったり、夏場の雑草の勢いに負けたりと、頓挫の繰り返しでした。

それが、今年に関しては、なぜか上手くいって、その中で一番嬉しかったのは胡麻。胡麻がどのようになっているかなんて見たことなかったので、実際に育ってきてはじめて、どのようになるものなのかを知った。

そして、胡麻の場合は育ってからが大変でした。
鞘のようなものの中に、いわゆる食べる胡麻があって、ネットで調べてみると茎全体の3割程度が茶色くなって、鞘に割れ目が入り始めたら収穫時期と書いてあるけれども、いつまで経っても自分の畑の胡麻は青々としている。島の中を運転している際中に、胡麻を軒先で干しているの場面に遭遇すると、より一層に心配になる。

画像2

なおかつ、ネットに書かれている干し方についても疑問が湧く。茎の下の方から段々と鞘が割れてくるのは、ネットに書かれている通り確かにそうなるのだけど、干していると胡麻が割れている鞘からパラパラと地表に落ちていく具合になっていて困る。
折角できた胡麻が落ちていくのはもったいないので、天日干ししている下に大きなボウルを置いて、いつ落ちても大丈夫なようにしてみる。天日にあたると割かし乾燥するスピードが早いけど、そんな時に限って曇り空が続いて天日干しも進まない。

画像3

最後の関門は、しっかりと乾燥して鞘が割れても、まだまだ鞘の奥の方に落ち切っていない胡麻たちが。。ひとつひとつの鞘を手で開いたり、くしゃくしゃしごいたり、ほぼ半日かけて全ての胡麻を収穫することができました。

画像5

その横で寺子屋の生徒が金木犀の花を摘むかどうか迷っていた。他の生徒の誕生日ケーキのシロップに使うだとか。

画像4

「今日は忙しいから明日にしようかな。。でも、やりたいな。。」と生徒。

こういう時は、その日にやらなかったら、絶対にやらないままで終わるよと伝えて、地味な作業仲間へと引きずり込んでやった。

気付いたら一日終わってしまっていたけど、ネットの情報に頼る時は頼りつつも、1年ずつ自分で手を動かしていかないと、体得していかない類のものにも感じた。

ひとつでも多く、自分の言葉で話せることが増えていけばいいなと思う。

この胡麻が、先日の離島キッチン海士の夜会席に、みかんのコンポートと一緒に登場してきていた。自分の育てた食材がどのように料理されているのか、ソワソワ気にする気持ちも少しわかった気がする。

(文:島食の寺子屋 受入コーディネーター / 恒光)

離島で和食を学ぶ「島食の寺子屋」
島根県の北、隠岐諸島のひとつ中ノ島(海士町)にある料理学校「島食の寺子屋」。 海へ山へ里へと、食材の現場に足を運び和食を学んでいく。四季を通じて学ぶ1年間コースに通う生徒たちの日記です。 【島食の寺子屋HP】https://washoku-terakoya.com/