椎茸とのお付き合い4年目
毎年恒例となっている、椎茸の原木担ぎ出しを手伝いに行ってきた。
山の斜面の途中で伐採されて、丸太の状態になっている原木を、斜面を登りながら担ぎ上げて、ひたすら軽トラに積んでいくという冬の風物詩。
原木に大小あって、大きいものだと元気が売りの大学生2人がかりになっても、ひいひい運ぶような代物。大人(おじさん)達は、体力がない分、ガッツでやり切るしかない。掛け声というより、もはや叫び声を上げながら運ぶようになる。女性であっても、自分よりも太い原木であろうが、引きずりながらでも運ぶ。
この苦行に誘ってくださる椎茸農家の福井さんと出会ったのは、農業なんてまったく関係ない場所だった。
島食の寺子屋校舎がある崎地区では、4年に1度「崎村だんじり祭」が開催される。島のお祭りでは、直会(なおらい)という、神事のあとに準備されている宴の場があって、だんじりの担ぎ手として来ていた福井さんもそこに参加していた。島のお祭りは荒々しいし、その後のお酒もこれまた荒々しい。
みんな酔っぱらっているので、お互いにお酌をして自己紹介をしつつも、お酌をしたその場から相手の自己紹介が頭から抜けていくような、そんな飲み会である。
そんな中で福井さんと初めて会った。出会ってすぐに「お前のガールフレンドを賭けて卓球勝負だ!」と言われ、泥酔状態で卓球を打ち合った。当時はまだ生真面目だったので、卓球に勝つことのみ考えてしまい、福井さんを完膚なきまで打ち負かしてしまった。
あれから6年経った今でも、そのことをネタにされる。「ありゃ、ないぜ」と。
そんなふざけた出会い方をしたからこそ、ビジネスライクな生産者との付き合いにならなかったのかなとも思う。島らしい、人との知り合い方のひとつであることは確かだ。
福井さんとの原木担ぎも4年目。しんどくて息が乱れて、山の空気を存分に吸い込む。木の匂い、落ち葉の匂い、土の匂いが混ざった記憶が、毎年刻み込まれる。椎茸は山の産物だと、毎年確認している。
(文:受入コーディネーター 恒光)