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第7章 炭素税をめぐる政治動向

炭素税と菅政権

こうした炭素税(環境税)創設の動きは、小池さんが環境大臣時代からあるが、表舞台には出てこない代物だった。ところが菅政権誕生によって一変、炭素税の実現が本格的に現実味を帯びてきた。


もともと菅さんは、「憲法改正のテーマはまず「環境権」」などとBS朝日番組で語っていたことからも、もともと環境に対し関心があったことがうかがえるが、

統制派(増税派)も、同盟国アメリカでバイデン政権誕生が確実になったことを"天祐"として、菅政権に対し「協調」を働きかけたかと思われる。

それは、バイデン大統領就任演説前にも関わらず、菅首相の施政方針演説は、バイデン政権の環境政策と足並みを揃えるかのような(グリーン社会の実現)項目が登場し、小泉さんの指摘通り「『グリーン社会実現』の位置づけが『デジタル』よりも前に来て」いることからも推測できる。

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バイデンは大統領就任演説を終え、最初の仕事の一つとして、パリ協定に復帰する文書に正式署名したことからも、環境に対し強い関心があることがわかる。(米国のパリ協定復帰について(小泉環境大臣談話))

バイデン大統領と菅首相はシンパシーが合うようで、両者とも増税を経済成長の柱という認識です。

Bidem
"Raising taxes, the studies show, will not slow the economy at all. It will make the economy function better and will create more energy."

環境を錦の御旗に国民に負担(増税)を強いる国際環境は、統制派にとって都合の良いものとなった。

なにせ「エコと言えば国民は黙って金を出す」「国民負担が大きくなろうが、失業しようが構わない」という風潮が、超大国アメリカを筆頭にできたからである。

(環境における日米の動きは、環境のためなら失業者なんて気にしないケリーさんに注目することをおススメ)

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FOX NEWS Daily Caller 浅川芳裕さん

こうした脱炭素化のバスに乗り遅れまいと、菅首相は炭素税の導入検討を梶山弘志経済産業相と小泉進次郎環境相に指示。

政権の意向を受けた環境省は、炭素税導入に動き出し、市場経済への官僚の干渉が強まっていく現状にある。

菅さんを既得権益を打ち壊す政治家と評価する声もあるが、炭素税においては統制派と定義するほかない。

小泉さんにしても土居丈朗さん(慶應義塾大学経済学部教授)にしても、安倍政権と比べ、菅政権の施政方針演説を評価していることからも、妥当かと思われる。

施政方針演説も読み方によっては、さらなる増税、負担を国民に課す内閣を目指すようにも読み取れる。

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消費増税論議において増税を主張し、保守陣営に影響を与えた熊谷亮丸さんが内閣官房参与にいらっしゃることも個人的には気になるところだ。

それを裏付けるように、自民党前総裁安倍前首相が何度も国会で「リーマンショック級があれば消費税増税はしない」と答弁していたにも関わらず、ことごとく、減税については否定している。(日銀審議委員にリフレ派野口さんを提案してるが...

は原田泰『日本国の原則』日本経済新聞、2007年。

成長戦略としての増税

コロナ禍中であっても規制、(炭素)増税にむけて着々と進める菅内閣。衆議院議員石原ひろたかさんは、有権者に「何度も申し上げていますが、コロナ禍、増税などあり得ません。以上です。」と返答しておりましたが、

菅政権は、たとえ政府による自粛要請による不景気下であっても、増税に向けて着実に動いています。

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むしろ石原さんは、炭素税推進派の認識を勘違いされているかと思われる。どういうことかというと。
小泉さんたちは、炭素税を設けることで、コロナ自粛による不景気からのリカバリーを計画しているんです。

つまり、コロナ禍で国民が苦しんでいることを承知で、むしろそんな環境下だからこそ、増税に動いているんです。
炭素税反対の方も、ここを読み間違えてはいけないかと思う。

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しかし、不景気における増税など、国民の怒りを買います。
そのため炭素税の旗振り役でもある環境省は、コロナ禍における増税批判を何としても避けようと、

「意識変革及び行動変容につなげる」として、炭素税を行動経済学でいうところのナッジ(自発的に動く動機)の一種と定義し、経済への干渉を正当化している。

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このナッジは、先ほども紹介したコンビニでのレジ袋削減試行実験にも採用されており、統制派が、レジ袋有料化の成功体験を踏まえて、増税への地均しをしていることが誰の目にも明らかであるかと思われる。

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経済産業省のサイトでもナッジは紹介。

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は原田泰『日本国の原則』日本経済新聞、2007年。

越権行為の常習犯 中井徳太郎環境事務次官

レジ袋有料化を省令で運用することは「逸脱」したもので、官僚の権限を肥大化させる危険性があると先ほども説明させていただきましたが、いまや炭素税増税の動向を読み解くには、消費増税の時と同様、官僚の意向を無視できないものになりました。

常識として、官僚は、税金の管理が仕事であって、「税」のあり方について意見することはあってはならないことです。

つまり、「憲法上の三大義務である納税は租税法律主義、国権の最高機関である国会で決めること」であり、「まさに選出された代表者の間で、国民の総意で決めて頂くということにつき」ます。「税に関しては価値観十人十色と言われる、どうしてもこれが正しいということはない」です。ましてや官僚の「分際」で税に関して発言すること自体、大問題なんです。
(「」内は参議院議員 浜田 聡チャンネルブログ 動画「財務省主税局長 矢野康治氏のご発言」より引用)

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しかし、そんな常識を破り、財務省出身の環境省中井徳太郎環境事務次官は、官僚の「分際」で炭素税導入について言及しました。

2:52~朝日新聞の記者の質問の回答の際、事務次官は炭素税について言及

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中井次官は環境市民団体との場においても、炭素税増税を要求していたほどの常習犯でありました。

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環境事務次官は、環境省におけるトップに位置してますので、炭素税を考える上で、中井事務次官の動きを追うこととします。

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中井次官は事務次官就任演説から炭素税を創設するうえで、留保すべきこととして、こんなことを言っています。

今はコロナ禍で経済が大きな影響を受けているので、時期は慎重に見極める必要があります。
経済への影響は十分配慮しないといけない。成長に資するというのがあくまで目的だ

一見、経済に配慮し、増税中止の余地があるように見受けられるが、実態はそうではない。

は原田泰『日本国の原則』日本経済新聞、2007年。

2人の増税主義者

炭素税導入について議論されているカーボンプライシング小委員会(カーボンプライシングの活用に関する小委員会)は、

終始「炭素税は日本経済を促進する起爆剤」という結論ありきです。

メンバーの中には先ほども紹介した、土居丈朗さん(慶應義塾大学経済学部教授)と、そして諸富徹京都大学大学院教授がいらっしゃることからも、委員会の議論は形式的なものでしょう。

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土居さんは、過去に東日本大震災の復興には増税が必要と提言された方で、リフレ派からは、しばしば批判の対象となることがあります。

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(いかなる選考を経て、土居さんが委員会の一員となったかは、現在不明です。しかし、消費税8%への引き上げの影響を検証した、集中点検会合にて「予定通り消費税率引き上げの必要性」を主張されていた増税派土居さんが抜擢されていることは、炭素税を考える上で大切な視点かと思いますので、紹介しておきます。)

そして諸富徹京都大学大学院教授は、財務省のお膝元、財務総合政策研究所にて講演された方でもあり、

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全国初となる「交通税」の導入を検討すべきとする答申案をまとめた滋賀県の税制のあり方を検討する審議会メンバーでもある方で、増税主義者です。

まず不景気だろうが、コロナ禍だろうが、何だろうが、間違いなく炭素税増税に動いています。

情報史学研究家の江崎道朗さん虎ノ門ニュース(削除されている場合はこちらの動画)にて炭素税を「中国に対する優遇政策」と厳しく批判し、環境省の廃止にまで言及されましたように、

この炭素税の問題は、日本安全保障にも関係がある懸念事項です。
何としても増税反対の声をあげなければなりません。

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(間違いがございましたら、資料と共にご連絡ください。文書校正もご教授お願いいたします。m(_ _)m

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今回のnote画像(GIF)デザインにいくつか質問がございましたので、ココナラを開設しました。
パワポや資料、広告、GIF等の作成ならお役に立てるかもしれません。これからも有益な情報を提供していきたく思っておりますので、よかったらお付き合いのほどお願いいたします。


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