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第4話 職業を見つけることの容易さ、苦しさ



【課題】 自分の職業はなんですか?

 「専門職」 対 「なんでも屋」

皆さんは、
「私の職業は〇〇です」「私は〇〇のプロです」
と一言でいえますでしょうか?
即答する方、沈黙する方、様々いらっしゃると思います。

現代では、ひとつの仕事で専門的に突き進むよりも、専門以外の分野での活躍もある方が、なんとなくカッコいい、効率が良いなどと評価されている気がしますが、私は一つの道に突き進む方を尊敬しています。

「専門職」を持つ事ことは覚悟を伴います。私が今まで出会ったプロの方の口からはこの言葉をよく聞きます。
「自分にはこれしかないから」
自分の専門の決め手は、得意であるとか、評価されるとか、お金がもらえるとか、ではなく、誇りはどこに見出せるのか、最後の砦となり得るのか、ということだと思います。

   劣等感がエネルギーの源

私の話をすると、何をやっても中途半端な人間です。何をやっても70点なイメージで、1つのことで道が開ける気がしない。そこで、他のことも並べてやることで心の空洞を埋めるしか方法がありませんでした。
70点 × 3種類=99.999…点
な感じの計算です。100点には慣れません。所詮、逃げの一手だからです。
しかし逃げでもエネルギーはエネルギーです。

負の要素はエネルギーを生み出すものだと思います。今の自分や環境に満足したら、というより不満がなくなったら人生おしまいです。虚しさを感じなくなれば人は人間らしさを失うと思います。
安部公房の「砂の女」は見事にそれを描いています。大好きな本です。

一週間も辛抱していると、さほど読みたいと思わなくなった。
一か月後には、そんなものがあったことさえ、忘れがちだった。
・・・・・

べつに、あわてて逃げだしたりする必要はないのだ。
逃げるてだては、またその翌日にでも考えればいいことである。

「砂の女」安部公房 より




【取組み】 できることをするしかない

   空間の取り合わせ

苦肉の策で生まれたのが、「寺子茶屋」です。
私が独立した33歳の頃から、ピアノ教室を土台に、飲食サービス、そして茶道と、一つずつ教わり育てたものを取り合わせたものです。
寄せ集めではゴミとなってしまいますが、きちんと関係性も持たせて配置することで、ひとつの空間が生まれるはずです。

   寺子茶屋の構成

① 寺子屋(学びの場)
ピアノ教室、ピアノレンタルスタジオ、茶の湯教室、茶花教室、書道教室、着付教室、日本語教室

② 茶屋(休憩の場)
発酵食料理屋、自家製酵母パン教室、ワイン教室、食育

①+② = 人が右往左往する空間
寺子茶屋全体としては、好奇心と人が持っているエネルギーがあっち行ったり、こっといったりと、右往左往する空間でありたいです。

店舗内はこん感じ(8月現在)


【結論】 苦しさを伴い「好き」が「砦」となる。

好きになるのは容易です。しかし、苦しさを伴っていない楽しみがあるとしたら、それはただの娯楽です。ピノキオに出てくるお菓子の世界ですかね。たまになら息抜きとなりますが、継続すればいずれ頭にロバの耳が生えてきて人間を失うかも。
このブログ第3話では、「イメージ(理想)」「信用」を無くすと、人間を失うと書きましたが、「届かぬ理想を追い続けること」も、また人を人たらしめるものだと思います。
私にとって最後の砦となるものは「教育」です。教え教わることです。人が何かを出来るようになっていく姿を見るのが好きです。

以上