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見方を変えれば、輝き方なんて簡単に変わる。

渡英前ギリギリのある日。
わたしはとあるYouTubeチャンネルにゲスト出演するため、収録に行っていた。一度、お仕事をご一緒したことがある方が、転職をされたらしい。その新天地で新しく作っているというYouTube番組に、ゲストで来ていただけないかと声をかけてくれたのだ。

どうやら、わたしのことを猛プッシュしてくれたらしい。

「絶対に、寺田さんを呼ぶべきだ!」と、社内で声をあげてくれたのだという。なんということだろうか。一つ一つの仕事に対して、できる限り誠実に向き合っていきたいと心がけてはいるが、こんな実り方をしてしまったら、過去の寺田を褒めるしかない……!

ありがとう、過去のわたし!

現場に行く。
そこにはディレクター兼、出演をされている中山さんと、カメラマンさん。そしてもう1人、とても若そうな女性の方がいた。アシスタントさんなんだろうか。現場の隅っこに立っていて、ニコニコした笑顔が印象的だった。

キャリア転職やキャリアの構築に悩む方、何者かになりたいけど、なれずに悩む方の力になるためのチャンネル。

わたしは就職をしたことがない。だからキャリア転職など、考えたこともない。そんなわたしが与えられる学びなど、あるのだろうか……? 内心ビクビクしながらも、収録が始まったのでした。

わたしなりの答えを、精一杯、言葉にしてみた。

すると、どうだ!
わたしが言葉を紡ぐたび、その女性が、コクコクと頷いてくれているではないか。適当に首を揺らしているんじゃない。言葉を聞いて、心を動かし、頷いてくれているのが、横目でもハッキリわかったのだ。

とても嬉しかった。誰かに対してお話をさせてもらうことは多いのだけど、頷いてくれるって、すごく嬉しいんだよな。

わたしにインタビューして下さった中山さんも、たくさん頷きながら、まっすぐ目を見て話を聞いてくれた。もちろんそれも、すごく嬉しかった。でも収録を隅で聞いているだけなのに、あんなに頷いてくれてたなんて……

撮影が終わり、どうしてもお礼が言いたくなった。「すごく頷きながら聴いて下さって、ありがとうございました。」と。

すると彼女は、こう答えた。

「わたし、今年入社したばかりで。内容がドンピシャで。寺田さんのお話、刺さりまくりました」と。

……新卒1年目? ということは…… 22歳。 
わたしが今年デビュー20周年だから、デビューしたあの日…… 2歳だったっていう……

うーん、なるほどなるほど! そんなこともあるよn……

って、ええええええええ!!!!!
当時2歳だった子が、新卒で、働き始めているだと!? 

箱根駅伝で走っている子たちが全員年下になって驚き、10歳下の子と現場で会って驚いてきたが、ついに、20年前の赤子たちとも現場で会うようになってしまったか……

大人になってからの月日は、なんだかんだで、あっけなく過ぎていく。がんばるか、がんばらないか。楽しむか、楽しまないか。大半の時間は、たったこれだけで過ぎていってしまうから。

でも、子どもから大人になるまでの月日は、わけが違う。何かが育っていくまでの過程には、何事にも変えがたい、すごみがある。

そうか。わたしは、人がひとり育っていくに十分な時間を、芸能界という同じ世界の中で生きてきたのだな。

「芸歴20年」っていうのは、特段珍しいわけじゃない。だからこそ、「もう20年かあ」というくらいにしか、とらえていなかったんです。

でも彼女と出会ったことで、わたしの芸歴20年は、とてつもなく長く、かけがえのない20年であったことが証明された気がした。

見方を変えれば、輝き方は変わる。

そうか。自分の目に、輝きが足りないように見えてしまって悲しい時は、見方を変えればいいんだな。視点を変えれば、自分が変わらなくとも、キラキラと輝き出せるのかもしれない。

実際に「芸歴20年」を迎える前に、自分の20年が輝く視点を見つけることができて、本当によかったなと思ったのでした。

インタビュアーの中山さんと

まあ何が言いたいって、このチャンネルに関わっているスタッフさんが、総じてステキでした。

それにしても、当時2歳の子が働いているなんて、やべえ……

ほな、また。


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