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初めてのインスタントポット: ロックダウンがきっかけで冷凍庫を買ってから塊肉を捌いて牛脂を採るようになった話

 コービッド19のロックダウンの最初に焦ってチェスト型冷凍庫を買った。

 それで冷凍保存できるスペースが増えたので肉を塊で買って自分で用途別にスライスして保存するようになった。

 牛肉を捌くたびに大量の牛脂が残る。牛脂の使い道といえば子供の頃実家ですき焼きをするときに最初に鍋に入れて肉を焼くのに使ったくらいしか思いつかない。動物性脂肪は健康の敵という昨今流れの逆を行くようだがヘット(精製した牛脂)を採って調理に使ってみることにした。昭和ひとけた代のうちの母はヘットと呼んでいたけれど、いまの若い世代にもヘットで通じるのだろうか?ちなみに以前アメリカ人の夫の家族にはヘットという言葉が通じなかった経験がある。「ラードは豚の脂でヘットは牛の脂だとうちの母が言っていたけれど」いう私に、ラードは聞くけどヘットは聞いたことがない、牛脂といえばビーフタロー(Beef Tallow)だねえ。」と言われて私の頭に”ビーフ太郎”というイミフな言葉がインプットされたのだった。

 調理器具もなにもかも脂まみれになりそうだから、なるべく簡単にヘットが作れる方法を検索する。あった、あった。インスタントポットで作る方法が。簡単そう。

 やり方を調べていて、牛脂を一度冷凍してからフードプロセッサーや肉挽き機で細かくしてから加熱すると一番効率よく脂が採れるという情報が多かった。私は面倒だからそこまでしないで適当にザクザク切った状態でよしとした。底が焦げないように水を半カップ入れて圧力レベル強、1時間でセットする。

 調理後は自然に圧が抜けるまで放置した。中はこんなでろでろした状態。金属のざるで固形物と脂をざっと分ける。

 この部分の手順がうろ覚えなのだが、漏斗がプラスチック製のため、脂がすこし冷めてから、最初に半カップ入れた水を混入させないように、上澄みの脂だけを大きなスプーンでそっとすくうようにしてコーヒーフィルターで漉しながら瓶にいれた、と思う。

最初は黄色っぽい脂。
冷えるとベージュ、最終的には白に変わった。

 塩と水を入れて加熱⇒冷却⇒固くなった脂肪と水を分ける、の精製プロセスを繰り返すと常温保存可能なヘットになるらしいが、面倒だから一回で終わりにして冷蔵庫で保管している。冷蔵すると脂肪がガチガチに固まるので使うときに必要な分をナイフやスプーンで削る。使い方はいたってシンプルで、炒め物や目玉焼きのときにフライパンにひく脂として使っている。

 ちなみに最初に脂を漉したときに出たデロデロした肉カスと水と脂が混ざった液体は裏庭のコンポストに投げ入れた、と友達に話したら、野鳥にあげればよかったのにと言われてなるほどと思った。ホームセンターに行くと牛脂と鳥の餌を混ぜ合わせてブロックにしたものが野鳥の餌として売られている。特に冬季は極寒で外の食べ物が極端に少なくなるから鳥にあげればよかったと後悔した。でもきっとコンポストに放った分はアライグマかないかが食べただろう。無駄になってはいない。みんな土に還る。


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