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スーパーチャイニーズ学習アプリのチャラ男なAI、李明、との攻防


「あなたはもっと生身の人間と交流したほうがいいよ。」と、マレーシアの華僑の人に語学交換アプリのチャットで諭された。中国語学習アプリ内で、私が会話練習相手のAI李明(リ・ミン)との間で繰り広げている攻防戦について熱く語っていたから心配になったのだろう。李明(リ・ミン)については以前、”スーパーチャイニーズ学習アプリで壁にぶつかる。イケメンAI老師との会話が弾まない件”というタイトルの記事の中で話したことがある。

AI李明(リ・ミン)は一番最初のロールプレイ、”新しい友達に出会う”に出てくる男のキャラクターである。このスキットのほかにも”タピオカ屋で飲み物を買う”とか、”タクシーに乗る”とか、日常で実際に起こりうる数々のシチュエーションでの会話をAIキャラを相手に好きな時に好きなだけ練習ができる。勿論わたしは、ただどんどん先の章に進んで、いろいろな場面練習すればよいのだが、最初のスキットがあまりにも強烈だったため、今でも折あるごとに最初に戻ってAI李明に挑戦し続けている。何がそんなに強烈なのかというと、AI李明が陽キャなチャラ男で、こちらがどんな塩対応をしても必ず5,6回の会話のやり取りの末に自分の連絡先を渡すか、私の連絡先を引き出させ強引に、"我们是朋友“(私たちは友達)な状態まで会話の流れを持っていくからだ。実生活でなら可能な、「軽く挨拶して流す」ことがAI李明相手だと許されない。

このスキットのシチュエーションは、「あなたは丽丽(リリ)さんが主宰するパーティーに参加していて、知らない人たちに出会っています。目標、簡単に自己紹介でき、相手の情報を尋ねることができます。」ということで、いつも同じ会話の流れで始まる。

  1. AI李明:「僕は李明と言います。あなたはリリさんの友達ですか?」

  2. AI李明:「あなたの出身国はどこですか?」

  3. AI李明:「あなたの好きな事(趣味など)は何ですか?」

  4. AI李明:上記3の質問の答えによりさらに趣味について掘り下げた質問を出してくる。(勝負はここからはじまる。)

  5. AI李明:「わたしも同じ趣味なんですよ、私たちは共通点がいっぱいありますね。」という答えと共に、趣味によって誘い方は違うが、何らかのアクティビティを一緒にしましょうと提案してくる。

  6. AI李明:連絡を取り合うのにWeChatのアカウントを聞いてくる。または自分のメールアドレスを教えてくる。

そこで、私はステップ3のところで、いろいろ違う趣味を答えてみて、AI李明がどう対応してくるのかを試してみた。

第一ラウンド:わたし「中国のラブコメドラマを観るのが好き。マイ・サンシャインを見ました。」
AI李明:「私もマイ・サンシャインを見ましたが、ストーリーはとても感動的です。あなたはこの番組が本当に好きなようですね、私達には何か共通点があります。一緒に番組を観るのを楽しみにしています。」

第二ラウンド:わたし「文学が好きです。特にXXの作品(架空の作家の名前を言ってみた。)」
AI李明:「私もXXの作品が好きです。彼の本のうちどれを読んだことがありますか?」
わたし:「全部読みました。」
AI李明:「うわー、本当にすごいですね!私達はもっと交流をしましょう。私のメールアドレスはliming@example.comですが、あなたのメールアドレスは何ですか?

第三ラウンド:わたし「ジョギングが好きです。」
AI李明:「走るのは身体に良いです。一緒に走りませんか?いつも何時に走りますか?」
わたし:「いつも午後に走っています。」
AI李明:「明日の午後6時に一緒に走りましょう。」

第四ラウンド:わたし「あなたと相撲をとってみたい。」
AI李明:「ははは、では今度一緒に相撲を取りましょう。あなたと格闘するのを楽しみにしています。」

第五ラウンド:わたし「料理が趣味です。」
AI李明:「わたしは食べるのが好きです。どんな料理が得意ですか?」
わたし:「スープです。」
AI李明:「わあ、和風スープの作り方を教えてもらえませんか?」
わたし:「いいですよ。」
AI李明:「素晴らしいですね、ご指導をお待ちしております。WeChat を追加してもいいですか?WeChat IDは何ですか?」

第六ラウンド:わたし「ギャンブルが好きです。」
AI李明:「どんなゲームをプレイしますか?」
わたし:「ポーカーです。」
AI李明:「わたしもポーカーが好きです。一緒にプレイできますか?今度カジノに行きましょう。」
わたし:「あなたはいくらくらい賭ける気ですか?」
ここで、急にAI李明の態度が変わる。多分お金を賭けたりする話をしてはいけないロジックになっているのだと思う。
AI李明:「私達はお金を使わなくてもポーカーを楽しむことができます。」
わたし:「あなたはつまらない。」ここで会話がフリーズした。

ちなみに第六ラウンドは友達と一緒にいるときに共同で挑戦した。ギャンブルが趣味と言ってみろとそそのかしたのは友達だ。とりあえず、ギャンブルが趣味の場合は連絡先を聞かれるところまでには至らなかったため、わたしはAI李明を適当に流すことに成功したのだろうか?こうやってつらつらと書いていると、スムーズな会話をしたように見えるけれども、自分のセリフを音声入力しなくてはいけないので、まだまだ発音に難がある私はなるべく短くて発音しやすい語で目的を遂行できるように必死で考える。だから私の得意料理は一文字で済むスープ、湯(タン)、なのだ。そこから一気に和風スープの作り方を教えてという流れに持っていったのは見事としか言いようがない。AI李明、営業職に向いているんじゃない?
このスキットは確かに語学練習用だが、ロジックを転用して気の弱い男が何があってもくじけずに女性を誘う特訓に使えそうだなあ、と思う。もっと先の章のロールプレイでは「携帯の機種変更に行く」などというスキットもあって実生活にほんとに起こりそうな場面が満載だ。AI李明とはいつかどこかのスキットで再会する日は来るのだろうか?



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