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GFR Fundを立ち上げてからこれまでを振り返る

Teppei Tsutsui

GFR Fundはシリコンバレーを拠点とし、メディア・エンタメ領域に投資を行うベンチャー・キャピタルファンドになります】

2016年頭にGFR Fund(当時はGVR Fund)を立ち上げて丸6年が経ちました。最初の1~2年は無我夢中で、シリコンバレーでの投資を始めたのもそのわずか1年前、ファンドを運営するのも初めて、資金調達も初めて、当時のフォーカスだったVR/ARも新しい領域、と初モノづくしで、ゴールが見えないまま、目先の50m, 100mを全力疾走し続けていた気がします。

少し先が見えてきたのは2号ファンドを立ち上げた2019年頭ぐらいだったかもしれません。1号ファンドを立ち上げて3年後。ただ2018年にスタートした2号ファンドの資金調達は本当に苦労しました。我々の投資対象はシリーズAよりも前のシードステージなので、2年間では投資先はどこもまだ結果が出ていません。1号のパフォーマンスが示せない中、我々がアピールできるものは単純に投資したという実績、メディア・エンタメ領域へ投資戦略をシフト、そしてゲーム業界出身という運営しているメンバーのバックグラウンドぐらいでした。

幸いにも1号を支えてくれた既存の投資家複数が2号にも投資をしてくれましたが、あとは本当に私個人の知り合いをつたってかき集めた感じでした。その中には、ものすごい久しぶりに再会した大学の先輩もいます。後でその先輩に、なぜ投資をしてくれたんですか?、と聞いたら、「ラクロス部(その方はラクロス部の先輩)で唯一、筒井が他の先輩の言うことに反論していたから」と。良くそんなことを覚えているなー、と意外でしたが(本人は覚えていないので)、何というか、昔からの自分の言動が将来、繋がってくるのだな、と実感をした話でした。その先輩には感謝しかありません。

そんな苦労をして2号ファンドを立ち上げた後は、2つ目のファンドだったこともあり、少しは先が見えていた気がします。ただ、ほんの少しです。やることがわかったぐらいで、結果が出ている訳でもなく、既に投資をした起業家を信じてサポートし、再び新規投資を続けるしかありませんでした。

恐らく少し自信ができた、ふわふわした感じではなく、地に足がついてきた、と感じたのは2019年12月に1号ファンドの投資先 Streemが買収され、初めてまともなリターンが出た時かもしれません。買収後、我々が投資を決めた後に紹介して、その後、投資をしてくれた投資家から以下のようなメールが届き、とても嬉しかったのを覚えています。

紹介した投資家からのありがとうメール

2020年頭に始まったCovid Pandemicは否が応でも我々にも影響を与えました。リモートワークになるのは当然ですが、もっと厳しかったのは物理的に起業家と会わず、オフィス訪問もできずに投資決定をしなければいけない状況に追い込まれたことです。シード投資はやはり起業家チームへ賭けることが大きいため、起業家と会う、オフィスやチームの雰囲気を体感することは重要な意思決定要素の1つでした。それができなかったことで、約半年は新規案件が1つもできませんでした。

結果的に巣篭もり消費的な観点で、我々の投資先であるゲームやVR、エンタメのコンテンツは消費が増え、いずれも好調だったのは幸いでした。その追い風もあり、2020年終わりには投資先 Loom.aiがRobloxに買収され、これも小さな自信の積み重ねとなりました。

そして、またあっという間に1年が経ち、もう既に2022年頭です。既に2号ファンドからも新規投資を終え、今年は3号ファンドを立ち上げる予定で、幸いなことに、それも大分、目処が立ちました。ファンドは3号が立ち上がって漸く一人前と、昔、誰かに言われたことを思い出しました。確かに1号、2号は戦略や勢いである程度は集められますが、3号は過去のファンドのパフォーマンスが出ているので全くごまかしが効きません。GFR Fundも漸くそのステージに辿り着いたことを嬉しく思います。

以下は今月頭に、GFR Fundの投資家の方々に送ったメールに、多少の編集を加えたものになります。3号が立ち上がり、また新たなスタート地点に立っただけなのは理解していますが、この6年間を少し振り返りました。


2021年はSamba TV(2号及びSPV I 投資先)の上場申請と、NikeによるRTFKT(2号投資先)の買収という、2つの嬉しいニュースと共に年末を迎えることができました。後述しますが、RTFKT買収ではきちんとリターンをあげることができ、正直ホッとしております。2号は2019年立ち上げとまだ2年少しなので、このタイミングで投資家の皆様に既出資金額のxx%弱をお返しできたことは今後、GFR Fundを続ける上での自信にも繋がりました。

性格上、自慢をしたり、ドヤ顔をするのは苦手なのですが、2016年頭に1号ファンドを立ち上げた時は、シリコンバレーで日本人が新たに立ち上げたファンドがどこまで通用するのか、恐らく周りも不安でしたでしょうし、正直、私自身も覚悟と楽観的な見通しだけのスタートでした。その後、古森とほぼ二人三脚でこの6年間やってきて、リターンもきちんと出せるようになり、VCとして他の投資家との付き合い方、ファウンダーとの接し方も大分、分かってきました。まだ成功と呼ぶのはおこがましいですが、少なくとも、ここまでGFRが来れたのにはいくつか理由があると考えています。

1つは投資テーマ選定です。1号はVR/AR、2号はゲーム・エンタメと、ある意味柔軟に、その時その時の旬なテーマで、且つ我々二人のバックグランドを活かせる投資テーマを選んできたこと。ファウンダーが市場を選ぶのと同様に、我々も成長産業を投資テーマとして選んできた訳です。領域を絞ることでそのセクターの”土地勘”を身に付けることができ、それが投資時の良い判断にも繋がりますし、投資家ネットワークを構築しやすいという副次的なメリットもありました。

2つ目は最初から自らの意思で投資判断し、愚直に投資先のサポートを行ったことです。初期に良くありがちな投資判断として、Sequioaが投資をしたから、a16zが投資をしたから、一緒に投資する、というのがあります。もちろん、それでうまくいくケースもあると思いますが、それは思考放棄でもあります。我々は敢えて自分たちで考えて、良いと思ったところには他が投資をしなくても投資をしてきました。それがRTFKTや、VRChat, Wave, Apprenticeといった、大きく成長しているスタートアップへの投資に繋がっています。また、投資をした後は定期的に連絡を取り、紹介をできる投資家・事業パートナーは必ず紹介をすることでファウンダーからの信頼を勝ち得てきました。そういうファウンダーからは、投資先候補として良いファウンダーを紹介して貰えるので、好循環ができつつあります。

3つ目にシリコンバレーのベストプラクティスを積極的に学び、それを自ら実践した点です。スカウト投資やスカウトファンドの設立はまさに最たる例かと思います。それ以外にも、レイターステージの案件に個別のSPV(Special Purpose Vehicle、特別目的投資会社)を使って行うことも早いタイミングから始めています。単に見聞するだけでなく、自らそれを実行することでノウハウも溜まってきますし、うまく投資機会を捉えることもできます。

最後に、チーム内での役割分担です。少人数で2つのファンド、50社の投資先をカバーするので、なるべく効率的に運営するために古森と私の効率的な時間の使い方を考えてきました。これまでは古森がソーシング中心、私が投資後のサポート中心でやってきていて、それがうまく回っています。古森は元エンジニアでプロダクト・データ分析系、私は元商社・バンカーで、ファイナンス・事業開発系とバックグランドが全く違い、相互補完的なのも良かったと思います。

と色々と書きましたが、もちろん、ここまで来れたのは我々二人の力だけでなく、LPの皆様のサポートがあってこそです。1号も2号でもほぼ実績がない中で、GFRにご出資を頂きまして、誠にありがとうございました。6年は1つの節目ではありますが、ファンド運用期間はまだまだ残ってますし、まだ十分な分配はできていませんので、これからも精進して参ります。

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