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もっとクールに。もっとエキサイティングに。バレーボールを信頼してほしい。

(写真FIVB)

私は(私たちは)、スポーツというものから、様々な恵みを与えてもらっています。楽しさや高揚感、ときめきや憧れ、感動や時には生きる財産や学び・・・。
そういったものは、一人一人の中にあるものとして、どれもがかけがえのない宝物になるものです。味わい方や感じ方、見方や楽しみ方は、人それぞれ違っていい。スポーツも、バレーボールもです。
感動や喜びというものは、いろいろなものから得られますが、スポーツ観戦のはらはらドキドキ感や、歓喜などは、他では代えがたいスポーツならではのものです。


私が欲していること。望んでいること。・・・

(※あくまでも個人の感想です)

日本で開催される、バレーボールの世界大会の醍醐味は、まだまだ十分に引き出されていないような気がいつもしています。

私が欲しているのは、日本で開催されるバレーボールの大会、世界大会や国内リーグにおいて、誰かと歓喜や興奮、感動を分かち合えるという経験であり、一人一人が自分の楽しみ方をもちつつ、それぞれの感情を移入して味わえるということです。そして、いつの間にか自らその感情を表現している臨場感と高揚感です。

バレーボールというスポーツ競技を介して、老若男女すべての人々が興奮や感動を分かち合える空間であってほしいです。
多くの人々と、それらのエキサイティングな一体感を感じたとき、多くの人と喜びや感動をともにできたとき・・・。私たちがスポーツを、スポーツ観戦を通して経験し味わうことができるこれら「体験」は、一言だけでは言い表すことができないくらいのものがあります。

そして、バレーボールも大変素晴らしい競技であり、コンテンツです。

これまで、そして最近の出来事でも、私たちは、バレーボール以外の、様々な日本のスポーツシーンから、とてつもなく大きなパワーやエネルギー、感動や勇気をもらう経験をしています。そして、そんな経験ができるような伝わり方もあるのではないかとも感じます。

日本のバレーボールは、その点において、果たしてバレーボールがもつ魅力や醍醐味、真の価値を人々に伝えられているのだろうかというもどかしさと、他競技のようなもっとクールでエキサイティングな伝え方ができないものかという思いがこみ上げてきます。他でできることがなぜバレーボールはまだ未開発なのでしょうか。

〔日本のバレーボールももちろん素晴らしい〕

そして、日本のバレーボールも、バレーボール日本代表も、素晴らしい選手たちがたくさんいて、彼らが織りなすプレーや闘い(試合)の数々のシーンは、観るものを興奮と歓喜へと導きます。そして、そういった姿を楽しみにしているたくさんのファンが日本国内外にはいます。ひょっとしたら、日本人以上に、日本代表チームや選手を愛する人々が海外にいるのかもしれないと思えるくらいです。

かくして私は、必ずしも日本国内で開催されているバレーボールの世界大会や国内大会が、観るものをバレーボールの魅力にいざなう空間になっているのか・・・という物足りなさを時々感じてしまうのです。
それでも、今、そんな日本国内でのバレーボール空間も、いわば世界基準で盛り上げようという動きも出てきていて、ぜひこれからも新しい風が吹き込むことを期待したいという思いです。


日本でもバレーボールの魅力をもっと伝え広めることができるはず

日本人の中にも、海外のバレーボールチームや選手、海外リーグを熱くウォッチしたり応援したりしている方々も多くいます。私も、ほんの少し海外のプロリーグの試合を現地で観たことがありますが、選手やスタッフと、サポーターやファン、運営を含めた会場が何とも言えない一体感と熱量があって、そこにいる時間が大変意味のあるものであったと思える充実感を感じたものです。現地語を話せない私でさえも、その空間にいれば、瞬く間にその一体感の一部と化し、周囲の人々と興奮や喜びを分かち合え、友達になれた気分になれたものです。

うまく言葉に表現できません。
でも、日本国内でのバレーボール空間は、海外で味わえるような満足感には至っていないのは事実です。このもどかしさや苛立ちは、何というか他競技や海外への羨む気持ちに近いものがあるのかもしれません。
ありていに言うなれば、日本国内でもバレーボールをカッコよく、エキサイティングに、人々に勇気や感動を与えられるような伝え方や魅せ方ができないものかと思うのです。何か、人々の心に火をつけるような何かが足りないと思わけです。

テレビ局などのメディア各位には、我々視聴者や観戦者に、バレーボール中継に少しでも親しみをと工夫をされているのはわかります。しかし、スティックバルーンの嵐はいろんな意味で破壊力ありすぎて、バレーボールの迫力や観る者一人一人の楽しみ方やバレーボールに対する思い、感動の世界観を味わう余地を奪っているように思います。スティックバルーンを操る「楽しさ」もあるでしょう。会場がスティックバルーン一色になっている光景は圧巻なものであるかもしれません。しかし、他者に煽られて、観る人々が一人一人の感性や楽しみ方を主体的に発揮するよりも、何か同調圧力のようなもの方が勝ってしまっているのはもったいないと思っています。

番組的な狭い企画の中で、浸透もしない選手のニックネームをつけるよりも、選手に対してアスリートとしてのリスペクトを大事にし、所属チームや出身校、出身地を表示ほしいです。そうすれば、Vリーグや大学・高校バレーも盛り上がります。日本のバレーボールを観ようというリピーターも増えるでしょうし、日本のバレーボール界全体の利益にもなります。もっと観衆一人一人の思いを主体的に表現しやすいようにしてほしいです。

「タレント」は日本のバレーボール選手の中にたくさんいます。いろんな才覚(タレント)をもった選手が日本にたくさんいます。何も、芸能タレントばかりに依存しなくても、多くの人々をひきつける魅力的な選手が日本にもたくさんいます。

そして、バレーボールには、日本も海外にもドラマチックな歴史があり、数えきれないほどの名勝負、伝説的な試合、名選手や名将がいます。そして世界のいたるところで、バレーボールの熱い空間が展開されています。それらをたくさんの人々が味わい、楽しんでいます。

日本でも、バレーボールが、クールにエキサイティングに、人々の心を覚醒させるようなものであってほしいのです。

確かに、日本のバレーボールの歴史の一時期の低迷期の中では、バレーボール以外の力を借りて、なんとか人々にバレーボールを観てもらえる「きっかけ」を作ることも必要だったかもしれません。

しかし、個人的な思いとしては、日本も、いや日本はもうすでにバレーボールは国民的スポーツの一つとなっており、その長い歴史の中で私たちのマインドの中には気付かない「バレーボール熱」は潜在的に備わっているのではないかと思っています。

バレーボールを人々に伝え、観てもらう以上は、提供するものはバレーボールであって、それ以上もそれ以下のものもないはずです。まして、バレーボール以上に、芸能タレントの露出を全面に打ち出し、その人気に依存をしているだけでは、バレーボールの魅力や醍醐味を味わうまでには至りません。


もっとバレーボールを、バレーボールファンを信頼してほしい。

(※あくまでも個人の感想です)

正直、日本では、野球やサッカーなどがテレビ中継されることが多く、バレーボールの露出はそれらに比して多いとはいえません。
昔と違い、情報ツールやメディアが多様化している現代社会において、必ずしもテレビ中継に頼らず、ファン自ら情報にアクセスすればよいという考えもあるかもしれません。

日本のバレーボールは、その歴史の中で1980年代以降競技成績では国際的に低迷してきました。しかしとはいえ、80年代90年代であっても今よりもテレビ中継の頻度はあったし、日本のバレーボール選手を追いかけるファンもたくさんいたと思います。それが、いつしか、気が付けばメディア露出が減ってきただけではなく、試合会場に足を運ぶバレーボールファンも減ってきたのかもしれません。

しかし、世界の中でも日本の中でも、スポーツではバレーボールの競技人口はトップレベルに多いスポーツであり、「する」だけではなく「みる」人々も大変多く人気があります。

私個人的にも、本格的にバレーボールの世界に身を置くことになってからは、次第に当時の野球やサッカー、そして現在のバスケットボールやラグビーとバレーボールとの比較において、日本でのバレーボール盛り上がりや取り上げられ方に違和感を強めていく自分がいました。その思いは、情報通信技術が上がった現代においては、海外の様子も容易に得ることができるようになり、ますます違和感や羨む気持ちが強まっていくことになっていきます。


日本はバレーボールの歴史をつくってきた。そして今も「ハイキュー!!の国」としてバレー愛は絶えていない。

私は、バレーボールの魅力を、バレーボール自体で伝えてほしいと思っている人間の一人です。
過剰なバラエティ的なアプローチで、あまたのファン層の拡大を試みるのも否定はしませんが、私は、「バレーボールはバレーボールで」伝え、盛り上げてほしいです。タレントや芸能人の力で注目を集めようとするのではなく、メディアには、「バレーボールはバレーボールで」勝負してほしいです。
ファンも増えてほしいし、サポーターも増えてほしい。それらの人々がすべて熱量となり、選手やチームにパワーとエネルギーを与えていきます。

もっとバレーボールを信頼してください。
素晴らしいスポーツです。それは世界中のバレーボールシーンや空間が証明しています。バレーボールを愛する人々の数は、世界の中でもとても多いです。その分世界中の人々とつながることもできるし、世界中の人と喜びや感動をシェアできることもできる、いろんな素晴らしい可能性をもったスポーツです。
ですから、日本でももっと「バレーボールそのもの」に注目してもらいたいです。日本や世界のバレーボールの素晴らしさをメディアにも伝えてほしいです。

もっと日本国内にいるバレーボールファンを信頼してください。
タレントのショーや前座がなくても、多くのファンが、バレーボールを観に来ることは証明されてきています。日本の他競技の空間がそうであるように、海外のバレーボール空間がそうであるように、日本のバレーボール空間も、きっと人々は、自分の思いをもってその空間で表現したいという願望や欲求があると思います。そういった人々の秘めたるものに火をつけてほしいのです。人々が自然発生的に応援や歓声をあげ、熱狂し、興奮の空間になるような環境づくりをお願いしたいのです。

(2023年)