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痛い風のこと vol.3

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あらすじ:GW最終日に発生した左足親指の痛み。痛みの発生が夜中だったため、とりあえず寝ることにしたが......。

家でしめ飲みをしている時には、まだ酒が残っていたのか、そこまで痛みは強くなかった。
しかし、痛みで目が覚めてみると、生半可なものではないことに気づく。あるいは折れているのではないか。そう疑ったほどだ。

時刻は午前3:00。救急車を呼ぼうか真剣に検討するが、そこまで腫れていないので、折れてはいないだろうと思いとどまる。そこからは、この痛みの原因が何かスマホを片手に検討した。
「やっぱり痛風だな」と思う。

今までの不摂生が原因だと思い、落ち込んだり反省したりしてたのだけれど、どうも腑に落ちない。なぜなら僕はここのところ酒量も制限していたし、筋トレやジョギングにも励んでいたのだ。ゴールデンウィークはやりすぎたのは認めるけれど、それにしたって......。

そういう気持ちでネット上の様々な記事を見ていくと、飲酒量もプリン体の摂取も、一つの要素ではあるけれど、基本的には体質の問題で、遺伝病だということがわかってきた。贅沢病と言われていたのも過去の話とある。
ほっとしたような、対策のしようがないような、微妙な気持ちに襲われたが、まあそれなら仕方ない。ともあれ痛風は自己診断である。早く医者にかかりたいが、深夜だし、明日(5/6)も休日だし救急病院にいくしかないだろう。
最寄りの救急病院を調べて、ただひたすら朝を待った。寝ようと思ったが痛すぎてそうはいなかい。
痛み止めは以前に風邪のときにもらったロキソニンがあったが、あるWEBサイトにはバファリンのようなアスピリン系の痛み止めは、発作を悪化させる恐れがあるとのことなので、思いとどまる。
ロキソニンは他のサイトではむしろ推奨されていたのだが、こういうときに素人判断は禁物だ。

ネットサーフィンをしたり、本を読んだりして気を紛らわせながら朝8:00を待った。この時間なら電話が通じる。
やっとの思いで、救急病院に電話すると、今日(5/6 休日)に来院しても、痛み止めをわたすことしかできないと言われてしまった。診察は7日以降にしか行えないと。

「ロキソニンは有効なので、もっているなら飲んでいい。それ以上の治療はできないし、痛風なら安静が一番です。」
と対応してくれた看護師の方は言った。

さっそくロキソニンを飲むが、痛みは変わらなかった。今思うと痛みがピークに向かっていっていたので、ロキソニンを飲むことで変わらないレベルに抑えられていたということだろう。

なんとかもう1日耐えて、近くの内科に足を引きずりながら向かった。、診断結果は2日後に出るとのこと。
まだ原因がわからないのかと愕然としていると

「これは痛風だとおもいますよ。痛みは1週間くらいでひくでしょう。」
医師はこともなげに言った。

えええええ

こんな痛みが一週間も続くの? 今週のスケジュールを思い返し、頭が痛むのを感じた。

その日はタクシーで出社し、ゴールデンウィーク中に溜まった仕事をなんとかこなした。その次の日には痛みが増すのを感じたが、この日も気合いで仕事をこなす。そのあくる日、5/9はとうとう検査結果が出る日だ。
結論から言うと、痛風で間違いなかった。尿酸値は8.5。危険水域を大きく超えている。
医師から痛風治療の冊子と、病気の原因の説明を受ける。ネットで調べたことと大差ない。
「ご家族の方で痛風持ちはいますか?」

父は痛風持ちで、のちに尿管結石をやっている。ご存知の方も多いと思うが、尿管結石は痛風の後に尿酸値が高い状態が続くと罹る病気である。

そこまでは知っていたのだが、後日母親に親族の痛風について聞くと父方の祖父も痛風だったとのこと。
ある意味サラブレッドである。

追加のロキソニンをもらい、帰宅した。この日は自宅作業にすることにした。2-3日で痛みが治る方向に向かうという話もあったのだが、僕の場合むしろ痛みは増していたのだ。
こうなっては安静にすることを最優先にするしかないだろう。次の日に入っていたミーティングをキャンセルして、5/9(木)-10(金)は自宅作業にした。
(関係者の方々、誠に申し訳ありませんでした。)

5/11(土)を迎えた。痛みがきてから6日が経過したことになる。痛みは相変わらず。あるサイトでは、痛みは1-2週間続くとある。2週間続くのは困る。
祈るような気持ちでさまざまな対策方法を調べてみると、鍼灸が効くという情報をいくつか見つけた。
藁にもすがる思いで、近くの鍼灸と整体をやっていてるところを予約した。

西洋医学的にやるべきことはやっている。頼れるとしたら東洋医学だろうと思った。最悪効果がなくても、悪くなるようなことはないだろう。

鍼は患部だけでなく、腹、背中、首、頭にも打つとのこと。全身のバランスを整えることが重要なのだという。幾つかの部位でずーんと重みが走るのがわかる。疲労や問題がある部位なのだろう。

そしてとうとう患部へ鍼を打つ。氷の鍼で刺されたような鋭い痛みが走り、思わず声をあげてしまう。

「すぐにおさまりますからね」

と担当の鍼灸師は言う。実際にその通りになった。
その後、鍼の近くに灸をして、治療は終了となった。正味1時間である。

痛みが劇的に改善することを期待したが、そんな奇跡は起きなかった。鍼灸院から帰る際に「すぐに治るってことではないので、痛みがあるうちは週1くらいで来てください」と言われた。

そうだよな。そう、うまくはいかないよな。と落ち込み加減で家路についた。
やはり病気に抗おうというのは無理があったのだと。

帰宅すると、強烈な眠気に襲われた。刺し返しというやつだろうか。体がだるい。ロキソニンだけ飲んで少し仮眠をとった。

2、3時間眠っただろうか。久々に深い睡眠を取れた気がした。
喉が乾いたので、冷蔵庫まであるいていき、水を飲む。
ここでふと気付く。

「あれ?俺普通に歩いてない?」

まだ左足の付け根を踏ん張ると痛みはあるが、問題なく歩ける程度に回復していたのだ。

「痛みは一週間ほど」という医師の言葉からも、そろそろ良くなっても不思議ではないタイミングではあるが、寝る前までは歩くのもに苦労していたのである。
何が功を奏したのかは厳密にはわからないが、鍼灸の効果と思わずには言われない。歩ける喜びを噛み締めつつ。鍼灸師の方への感謝が溢れてきた。

やはり動いてよかった。

僕のたいしたことのない人生経験のなかで、一つ言えることがあるとすれば
「たいへんなときこそ、じたばたしたほうが良い」ということである。

事業がピンチのときや、事業がピンチのとき、売り上げがやばいときや売り上げがやばいとき。要はそれしかないのだが、じたばたすると自分の狙いとは違うところからにせよ、なにかしら良い変化が起きた。

また、僕の痛風の話と絡めるのはおこがましすぎるし、不謹慎な気もするが災害時に生き残るのも「じたばた」した人だという。

今回もそのおかげーーそう僕が思っているだけかもしれないがーーでなんとか難局を乗り切れた。

これを書いている現在は、痛みはピークの1-2割程度に減少している。少し足はひきづっているかもしれないが、ほぼ問題ないレベルである。

これからもじたばたしつつ、なんとか生きていきたい。そしてまた発作が起きぬよう、しっかり対策していきたいと思う。

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