見出し画像

世界を変える日本発ディープテック・スタートアップを100社生み出すために。

2020年、世界的なパンデミックを引き起こしている新型コロナウイルスは、スタートアップ企業に対しても危機的な影響を及ぼしています。

新型コロナの感染拡大に伴い、20年1~3月期の世界の投資件数は前四半期比で16%減少したといいます。スタートアップの資金調達件数と調達額も減少傾向にあり、 多くのプレイヤーが新しい領域への投資に慎重になっています。日本国内においても厳しい状況は変わりません。決まりかけていた出資が白紙になってしまった例も少なくないようです。

しかし、このような状況だからこそ、成長に向けた支援を止めてはいけません。

日本の大学や研究機関には、世界を変える可能性を秘めた技術シード(=ビジネス化の可能性を持つ先進技術)がたくさん眠っています。技術シードが世の中に出れば、社会に大きなインパクトをもたらし、この未曾有の時代の希望になるでしょう。

最先端の研究成果を基盤に、産業そのものを支えるテクノロジーを扱い、新しいビジネスを構築するディープテック・スタートアップ。まだ一般的ではない技術が当たり前に普及している世界を、ディープテックが拓いていくのです。

ただ、そこへ辿り着くまでには時間と資金が掛かります。いま、コロナ禍によって一時的にでもディープテックへの支援が止まってしまえば、5年後、10年後に実現したかもしれない未来が訪れるのはもっと先になってしまうかもしれません

tepアセット 2@2x222

私たちTEP(テップ)は、ディープテック・スタートアップのエコシステムをつくる団体です。

この「TEP Deep Tech Journal」では、これからの世界を変えていくディープテックの成長を支えていくために必要な情報と、日本のディープテックのエコシステムを強くしていくための情報を発信していきます。

ディープテックの発展が止まれば、あらゆるサービスは衰退してしまう

インターネットが普及してからおよそ20年。ECサイトやSNS、ソーシャルゲームや動画サイトなど、様々なITサービスが登場しました。日本国内でも多数のITスタートアップが生まれ、いくつもの企業が上場に成功しています。初期投資が少なく、事業化までの期間が短いITサービスは、投資対象としての人気がありました。

しかし、そもそもインターネット技術がなければすべてのITサービスが成立しないように、基幹技術なくしてあらゆる技術は成り立ちません。ディープテックの発展がなければ、その他のサービスもいずれ衰退してしまうのです。

高速通信やAIエンジン、CPU技術、バイオやエネルギー、先端素材などに関わるような基幹技術は、研究開発から製品化までの時間とリソースが膨大に掛かります。技術を事業化するリスクが高く、投資などのサポート体制はまだまだ不十分です。

VECの調査レポートによれば、国内のベンチャーキャピタル投資額のおよそ半分は「コンピュータ・ITサービス」で、工業・エネルギー・半導体といったディープテック系への投資比率は高くありません。

画像3

かつて日本は、技術立国と呼ばれました。いまも大学や研究室には、革新的な技術のタネが転がっている。にもかかわらず、世の中に出てこないまま、人知れず研究室で眠り続ける技術は少なくありません。

眠れる技術を活用したビジネスが実現すれば、世界は大きく変わります。超小型で安価な人工衛星、資源問題を解消する新素材、食糧問題を解決するバイオ技術、安全性の高い革新的な医療技術……、それらが当たり前の世の中を想像してみて下さい。

私たちTEPは、こうした「世界を変えるかもしれないテクノロジー」が本当に世界を変えるために必要な、技術と資金と人材とが適切に循環するエコシステムをつくっています。

日本経済を支えた自動車産業や電機産業に代わり、21世紀はディープテックが時代を牽引していく。そうした未来を実現するためには、日本発のディープテック・スタートアップが必要です。私たちは、世界を変える日本発ディープテック・スタートアップを100社生み出す覚悟を持っています。

ディープテックへの投資を止めてはならない

コロナ禍によるスタートアップの投資環境の悪化に伴い、TEPは関係各省に対し「提言書」を提出しました。

【提言1】 技術系スタートアップへの緊急避難支援
【提言2】 既存起業支援制度の窓口再開や審査対応の強化
【提言3】 政府系VCの積極的な投資
【提言4】 スタートアップ専用支援基金の設立
【提言5】 規制緩和の推進

私たちが提言書に込めたメッセージは、「ディープテックへの資金的支援を止めてはならない」ということです。

画像4

IT関連サービスと比べてディープテック・スタートアップのビジネスが軌道に乗るまでに必要とする開発資金は、およそ20〜50倍ともいわれています。たとえば半導体SoCの分野では、設計だけで30~50億円かかるのが一般的です。商品を量産するとなると、さらに工場費用などもかかります。

必要な資金とともに、時間が長くかかるのも特徴です。IT関連スタートアップなら5年以内に上場する企業も少なくないですが、ディープテックだと10年以上かかるという企業も珍しくありません。

もともとディープテック・スタートアップの置かれた環境はやさしいものではありませんでしたが、さらに厳しい時代となった中、速やかに打開策をつくっていかなければなりません。

一方、新型コロナウイルスによる世界の変化は、ディープテックにとってプラスに作用する可能性もあります。この半年間における世界の株式時価総額ランキングでは、2008年のリーマン・ショック以来の順位変動があり、ゲームチェンジが起きています。新型コロナウイルスの拡大が経済構造の転換を促すと見込まれ、新しい企業や技術への注目が高まっています。このことは未来への種をまくディープテック・スタートアップにとって、追い風になり得るでしょう。

ディープテックのエコシステムを強くしていくために

「TEP Deep Tech Journal」では、ディープテック・スタートアップのエコシステムに関わる人たちに向けた情報を発信していきます。

スタートアップにとっては、「どうしたらビジネスを成功に導くことができるのか」というヒントを。投資家などの支援する側にとっては、「どういう支援体制が必要なのか」を知るための情報を。そしてエコシステム全体にとっては、提言書で示したような「現在の課題や取り組むべきこと」を発信します。

以下のようなテーマで更新予定です。

・日本に眠る技術シーズのインパクトについて
・ディープテック・スタートアップの資金調達方法について
・オープンイノベーションの抱える難しさについて
・エンジェル投資家が考えていること。大学や研究機関が行っている支援の紹介
・これからが期待されるスタートアップ企業へのインタビュー

記事の更新は、1ヶ月に1本程度を予定しています。ぜひnoteやfacebookをフォローしてください。情報の循環によってエコシステムが強くなり、これからの時代を担うディープテック・スタートアップが出てくることを願っています。

【「J-TECH STARTUP 2020認定企業」募集中。10/30〆切】
TEPが主催する「J-TECH STARTUP2020」の認定企業を募集中です。
「J-TECH STARTUP」は、今後グローバルな成長が期待される国内のディーープテック・スタートアップを選定する取り組みです。

応募頂いた企業の中から認定企業を選出し、2021年2月開催の「第5回 J-TECH STARTUP SUMMIT」イベントにて認定証が授与されます。認定企業はイベントを通して、メディア掲載や投資家とのネットワーキング、専門家によるメンターやグローバル展開へのサポート支援などを受けることができます。

過去認定企業には、J-TECH STARTUPの認定後に大型の資金調達を行った企業や、業界やメディアから注目されている企業も多くあります。

ご興味のあるスタートアップの方は、ぜひご応募ください。
詳細は下記より。※応募〆切は2020年11月15日まで
https://www.tepweb.jp/event/j-tech-startup-2020/
TEPはディープテック・スタートアップのエコシステムビルダーです。技術をビジネスへブーストさせるため、さまざまな研究機関や企業、行政と連携しています。
お問い合わせはこちらから。 https://www.tepweb.jp/contact/



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?