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技術系スタートアップ支援のプロが選ぶ、これから伸びる技術系スタートアップ6社

変化する国内のスタートアップ環境

日本のスタートアップの資金調達額は、2021年上半期だけで3245億円と、5年前の同じ時期の約3倍に増加しています(スタートアップ情報を提供する「INITIAL」公表のレポートより)。起業後進国とも言われてきた日本ですが、こうした盛り上がりも追い風となって、起業数は今後も増加していくことが予想されます。

スタートアップは起業してから売上が上がるまでに長い時間が掛かってしまうことが多く、特に技術系スタートアップは売上をつくるまでの期間が長期化するケースがほとんどです。しかし、各種の助成金や補助金を活用することで、技術系スタートアップの成長できる環境も次第に整ってきています。


成長が期待される技術系スタートアップ認定制度「J-TECH STARTUP」

変化を続けるスタートアップ環境の中、TEPでは今年も「J-TECH STARTUP」認定企業を選出しました。この取り組みは、「技術をビジネスのコアコンピタンスとした事業でグローバルな成長が期待される技術系スタートアップ」をTEPが認定して支援するもので、2015年から毎年実施しています。

J-TECH STARTUPで選出しているのは、VCなどからの出資を受ける前の「シード」企業と、資本金が3億円以下の「アーリー」企業です。比較的若いステージの企業を対象にしている理由は、そうした若いスタートアップにこそビジネスモデルやビジネスプランをしっかり構築することの重要性に目を向けて頂き、そのビジネスに対してスポットライトを当てて、VCや大手企業からの注目に繋げたいという想いがあるからです。

今回「J-TECH STARTUP 2021」に選出された6社も、「事業の革新性」「経済的な発展」「社会的影響力」「事業の実行力」の面で優れていると判断された、魅力あふれるスタートアップ企業です。

2月22日(火)には第6回J-TECH STARTUP SUMMITイベントを開催し、認定企業には公開プレゼンをしていただきます。

イベントではパネルディスカッションも開催し、技術系スタートアップと大手企業のオープンイノベーション促進について議論します。ゲスト登壇者には、スズキマンジ事務所 代表(株式会社 デンソー 技術企画部 CX)の鈴木万治氏を迎え、日本能率協会KAIKA研究所所長の近田高志氏、TEP代表理事の國土晋吾に加えて、今年度のJ-TECH STARTUP 認定企業から、株式会社エマルションフローテクノロジーズ 代表取締役社長CEO 鈴木 裕士氏、株式会社MinD in a Device 代表取締役CEO兼COO 加藤 真平氏が加わります。オープンイノベーションを仕掛ける大企業側での判断軸や、一方でアーリーやシードのスタートアップが期待すること、成長に必要なことなどを双方の視点から語ります。

イベントは、参加無料のオンライン開催となります。スタートアップが未来をどう変えていくのか、共に探っていきましょう!

「J-TECH STARTUP 2021」認定企業のご紹介

【シード枠】ベンチャーキャピタル等からの出資前の企業を対象。起業予定者を含む

株式会社AiCAN
児童虐待対応支援システムを提供
「すべての子どもたちが安全な世界に変える」SDGs16.2に掲げられる児童虐待。児童虐待対応は「不完全不確実な情報しかない中で、迅速・適切に判断することが求められる」難易度の高い仕事です。AiCANは、児童福祉のドメイン知識とデータ解析スキルを持つプロ集団です。現場の課題設定の伴走、業務記録作成アプリの提供、アプリから蓄積したデータのAI解析とユーザーへのフィードバックによる意思決定支援を通じて、ワンストップで業務改善をサポートします。人とデジタルの力を融合することを通じて、子どもの安全に貢献します。https://www.aican-inc.com/

株式会社MinD in a Device
中長期的に人間の意識をデバイス(機械・コンピュータ)に移植することを目指す
意識に関する長年の研究成果に基づき、中長期的に人間の意識をデバイス(機械・コンピュータ)に移植することを目指す大学発スタートアップ企業です。実現に向けた第一歩目として、意識の源であると考える「生成モデル」を進化・深化させ、ヒトの認識機構を模す次世代AI「MinDエンジン」によってAIの真の力を超短期で解放するとともに、多くの産業に眠る知識・知恵の結晶化を目指します。http://mindinadevice.com/

株式会社Soilook
人の目には見えない成分由来の情報(漏洩ガス等)をカメラのように写す技術を提供

人の目には見えない成分情報の世界を見るカメラシステムの開発を行っています。2020年7月には製品の第一号機となる漏洩ガス検知カメラ(LIR-SGI_001)を作製し、成分情報を2次元で可視化する漏洩ガスの多成分同時判定システムSpectroGI(Spectroscopic Gas Imaging)による計測サービスをしながら研究開発と事業化を進めています。SpectroGIの技術と各企業の専門技術を掛け合わせた新たな装置・サービスの創出を目指した共同研究開発にも積極的に取り組んでいます。 https://soilook.com/

【アーリー枠】 VC等から出資を受け、資本金3億円以下の企業が対象。

株式会社アルガルバイオ
藻類の活用により社会課題などさまざまなソリューションを提供
東京大学での20年以上にわたる藻類研究資産をベースとして2018年3月に設立。企業との共同開発および自社開発の両輪で事業を成長させるビジネスモデルを推進。幅広い用途において藻類で社会貢献ができるよう、多種多様な藻類ライブラリーを保持。更に最適なスクリーニング・育種技術、そして培養技術を技術基盤とし、あらゆる顧客・市場のニーズ・シーズに対するソリューションを提供する「藻類のプラットフォーム」の構築を目指しています。 https://algalbio.co.jp/


株式会社エマルションフローテクノロジーズ
革新的な溶媒抽出技術「エマルションフロー」でレアメタル資源の安定供給を目指す
原子力研究から生まれた革新的な溶媒抽出技術「エマルションフロー」を活用した日本原子力研究開発機構発のスタートアップ企業です。エマルションフローは、低コスト、高効率、かつ高純度にレアメタルを分離抽出できる技術であり、それを用いたレアメタルリサイクルの水平リサイクルの実現により、脱炭素社会の実現に不可欠なレアメタル資源の将来にわたる安定供給を目指しています。https://emulsion-flow.tech


株式会社マテリアルイノベーションつくば
独自の複合材料により蓄電デバイスの刷新を目指す
株式会社マテリアルイノベーションつくばは、物質・材料研究機構の研究成果を社会に還元することを目指して2017年に創業した物質・材料研究機構認定ベンチャーです。独自のグラフェン複合材料の製造・販売、グラフェン複合材料を電極として用いたグラフェンスーパーキャパシタの製造・販売を目指して研究開発を進めています。小型で高エネルギー密度のグラフェンスーパーキャパシタで、蓄電デバイスを刷新します。 https://www.mitsukuba.com/

専門家が認定した技術系スタートアップの事業内容がわかる「第6回J-TECH STARTUP SUMMIT」開催

開催日 2022年2月22日(火)14:00~17:30

◇プログラム
14:00 開会挨拶
14:10 J-TECH STARTUP 2021認定企業プレゼン(シード枠)
   株式会社AiCAN
   株式会社MinD in a Device
   株式会社Soilook
14:40 J-TECH STARTUP 2021認定企業プレゼン(アーリー枠)
   株式会社アルガルバイオ
   株式会社エマルションフローテクノロジーズ
   株式会社マテリアルイノベーションつくば
15:10 オープン・イノベーション事例紹介
   シリコンバレーの3年間で学んだこと
   ~文化や組織の違いを乗り越える翻訳者になる~
15:35 パネルディスカッション
17:00 認定書授与式

▽申込はこちら

◇パネルディスカッション 登壇者一部

パネラー:

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鈴木 万治氏 スズキマンジ事務所 代表(株式会社 デンソー 技術企画部 CX)
1986年、日本電装株式会社(現株式会社デンソー)に入社。 宇宙機器開発、R&D、CAE、モデルベース開発、EMC、 故障診断など、ほぼ4年毎に異分野の全社プロジェクトを担当。 R& Dからアフターマーケットまでの全ての開発のライフサイクル、 またメカ・エレ・ソフトの各分野の実践経験、 スキルと人脈を持つ。 2004年にCMUとINSEADでビジネスの基礎を学ぶ。 2017年から2020年までSilicon Valley Innovation CenterのVice President, Innovationに就任。2018年からは、 シリコンバレーと中国の両睨みのため、 电装中国投资有限公司の创新推进事业部总经理も兼任。 2020年7月に本社に帰任。2021年1月、 59歳の誕生日に、デンソーの枠外でも価値提供を可能とすべく「 スズキマンジ事務所」を開業。価値創造の伴走者。

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鈴木 裕士氏 株式会社エマルションフローテクノロジーズ 代表取締役社長CEO
日本原子力研究開発機構の元研究者。NEDO が主催する高度専門支援人材育成プログラム(NEDO SSA)の2期生。原子力研究から生まれた新規溶媒抽出技術エマ ルションフローの社会実装を目指し、その開発者である長縄弘親(弊社取締役CTO)らとともに株式会社エマルションフローテクノロジーズを設立。従来の溶媒抽出技術に代わる新しい技術として「エマルションフロー」を世界に普及し、脱炭素社会の実現に不可欠なレアメタル資源の将来にわたる安定供給の実現を目指す。

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加藤 真平氏 株式会社MinD in a Device 代表取締役CEO兼COO
群馬高専卒業後、筑波大学第3学群工学システム学類に進学し流体力学・数値計算などの研究を行う。修士(工学)。同大大学院を卒業後、仏系メーカーに研究職として入社しグローバルプロジェクトのプロジェクトマネジメントを担当。モビリティ系スタートアップに参画し日本国内の統括や、東南アジアの現地法人立ち上げ及びローカルパートナーとの提携推進とMaaS事業化に従事。2014年、AI・ヘルスケア系スタートアップに入社し、社長室・室長としてBtoC事業・BtoB事業の収益事業の立ち上げおよび大手企業との資本業務提携を執行。その後、大学発技術ベンチャーの経営・大手企業との資本提携・オープンイノベーション推進を支援したのち、当社に共同創業者として当社参画。

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國土 晋吾 一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ 代表理事
インテルジャパンに入社し、半導体開発やテスト、ASSP の製品企画、マルチメディア事業の推進などに従事。1997年にNuCORE Technology社を米国シリコンバレーで共同創業し、同社副社長兼日本法人代表に就任。同社をMediaTek社に買収後、メディアテックジャパン執行役員。新規事業開発に従事して中長期戦略・事業計画を策定。2012年よりNS マテリアルズ取締役を務める。2009年にTEP(一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ)に参画。2014年にTEP 代表理事に就任。

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近田 高志氏 一般社団法人日本能率協会 KAIKA研究所 所長
一橋大学商学部卒業。北海道拓殖銀行を経て、1999年に日本能率協会(JMA)入職。
次世代経営者やリーダー育成プログラムの企画・開発を担当したほか、企業経営や人材育成、組織開発に関する調査・研究プロジェクト従事。2014年7月から2年間、経済産業省産業人材政策室に出向。2018年4月から現職。

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