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駒沢「花の店 凜」穂積さん


1. お花屋さんとして働き始めたきっかけ

ーーもともとお花を好きになる環境がありました。

もともとお花が好きで、お花屋さんで働くようになりました。両親がお花好きで、家でお花を育てていたので、小さい頃から興味がありました。もちろん色や形も好きだけど、やはり香りで癒されるということを小さい頃から感じていて、保育園の頃に書いた文集には、「お花の香りが好きだからお花屋さんになりたい」と書いてありました。こんな感じでもともと土台に、お花を好きになる環境があったんです。

でも、すぐお花屋さんで働き始めた訳ではなくて、短大を卒業した後は流れで一回銀行員になりました。しばらく働いているうちに、この先ずっと働いていくのであれば、銀行員は自分のやりたいこととは少し違うなと思って、休んでいた時期がありました。それが20代半ばくらいなのですが、その期間に、せっかくなら手に職をつけて好きなことをやりたいと思うようになり、お花屋さんでアルバイトを始めました。そうしたら、ものすごくハマって、自分にぴったりだなと思ったんです。そこから、もう25年くらい花屋をやっています(笑) 


2. 自分のお花屋さんをやろうと思った理由

ーーたまたま私の同級生が、手伝ってあげるから自分のお店をやってみれば?と言ってくれたんです。

銀行員を辞める時は母だけが賛成、その他の全ての周りの人は心配してくれていました。そうまでして始めた新しいことだから、独立できるくらいの実力をつけたいなとは思っていました。でも当時は本当に自分のお花屋さんをやるとは夢にも思ってなかったです(笑)

自分のお店をやろうと思ったのは、
たまたま本屋さんで雑誌を読んでいた時に、南青山のLe Vesuve(ル・ベスべ)というお花屋さんを見つけたことです。そのお店が作るアレンジがすごく好きで、こういうお花屋さんで働きたいなと思っていたのですが、こういうところに入るには銀行をやめてお花屋さんに関する勉強をしないといけないなと思い、幾つかのお花屋さんを転々として修行をしました。そして、最後にその1番働きたいと思っていたLe Vesuve(ル・ベスべ)に就職することができたんです。でもそこで働けるようになって、次は何を目指そうかと考えた時に、たまたま私の同級生の女の子と男の子が、手伝ってあげるから自分のお店をやってみれば?と言ってくれたんです。

なので、自分がやりたいと思って始めたというよりは、周りの人たちが、今だったら手伝えるというタイミングだったので、そこで初めて、自分のお店をやってみたいと思うようになりました。未だにその女の子は経理の部分を担ってくれています。お花屋さんを始めるには一人だとなかなか大変なので、本当にありがたいなと思っています。

お花の説明が丁寧に書かれていて、見ているだけでも楽しい店内
お店の裏には、たくさんの説明カードが用意されている



3. お仕事のこと

ーーなぜ世田谷のこの場所でやろうと思いましたか?

世田谷区は、生活にゆとりのある方が多いのかなと思ったのと、なにより世田谷には世田谷花卉市場があるので、とにかく市場が近いところが良いなと思ったのが1番でした。そこで、用賀〜三軒茶屋の間でお店をできる場所を探しました。そして駒沢に空き店舗が見つかって、この場所に決めました。


ーー生け込みや植え込みで大事にしていることは?

特に入口でずっとあるものだから、お店の雰囲気だったり、こういうお店だっていうふうに見せたいものを置かなければいけないと思うんです。もちろん強いものや長持ちするものは必要だけど、それ以前に、そのお店がどういうふうにお客さんに見てもらいたいかをヒアリングして、作って行くことを大事にしています。


ーーレッスンはどのような形でやっていますか?

レッスンは、コロナ禍になってから、花材をお届けしてご自分で好きなように生けていただく形が多くなっています。

以前は近所の高級老人ホームさんとか集合住宅の奥様が集まるところなどで、お花のアレンジをしたい方がいらっしゃればレッスンをしていました。今のコロナ禍だと直接教えるのは少し難しいので、花材だけお届けに行っています。

そこでのお年寄りの方や奥様は、お花についてしっかり教わりたい、というよりも自分で好きなようにやりたい、と思っている方が多いので、しっかりとした花材を取り合わせしてあるものをお送りするととても喜んでくださいます。


ーーブライダル関連のお仕事もされていますね 

ブライダルに関しては、ブーケブートニア贈呈の花束、頼まれればメインテーブルもゲストテーブルも一式やったことがあります。

特に提携している式場とかはなくて、たまにふらっとお店に相談しに来てくれて、ブーケなどを頼んでくださる方がいたりします。でも今はコロナのこともあって結婚式が減っているので最近はあまり入らなくなっていますね。来ていただいたら、ドレスの写真を見せてもらったり、どんなイメージなのかをお聞きしたり相談したりしてお作りします。最近は、結婚式場と提携しているお花屋さんでないと手数料がかかることが多いので、大体ブーケとブートニアくらいまでを担当することが多いです。


4. コロナ禍で変わったこと

ーーコロナ禍になってお店の経営が厳しくなるかもと思っていましたが、意外にも違う需要が伸びたりしています。

スタッフ全員の働き方や仕入れ、お客さんの流れまでも変わったので、最初の頃はとても大変でした。働いてもらっているスタッフさんやスタッフさんの家族に迷惑をかけたくないというのが1番で、やはり体調管理もしなくてはいけないので、休みを多くしたり、営業時間を短くしてみたり、定休日を作ったりだとか、あと私自身がせりに出るの辞めてWebで相対で買ったり、セリ人の方と話して仕入れさせてもらったり、生産者さんに直接頼んで定期で市場にお花を出してもらうことも増えました。

お客様の流れとしては、
コロナ禍になると発表会などがなくなってしまったので、いわゆるお祝いのお花も全然なくなってしまいました。うちのお店は、街のお花屋さんとして、そういうお祝いの時があればちょっと寄ってくれるようなお客さんが結構な割合を占めていたので、その需要がなくなってしまったのは大きいです。その代わり、自粛期間が始まった時は、自宅用のお花をお買っていかれる方が増えました。特に若い人がお家に飾ってくださるようになった印象を受けます。新しいお客さんも増えたというのもありますね。

コロナ禍になってお店の経営が厳しくなるかもと思っていましたが、意外にも違う需要が伸びたりしているので、思ったほど大変ではなくて、周りのお花屋さんも潰れたところはないです。



5. 仕事をするにあたって、大事にしていること

ーーお互いの信頼を積み重ねていけるお客さんは本当に大切ですね。

長いことお花屋さんをやっていると、「いいお客さん」ってやっぱりいいな、と思います。お金をたくさん出す人がいいお客さんというわけではなくて、「うちのお花が好き」と言ってくれる方や、信頼してくれる方は、本当にありがたいなと感じます。

お花の値段やボリュームばかりを気にするのではなく、うちのお店で作るものを信頼してくれて、お金を払っているのに「お願いします」と丁寧にお願いして下さったりする方もいらっしゃるんです。そんなお互いの信頼を積み重ねていけるお客さんは本当に大切ですね。そして、その期待に負けないような丁寧なお仕事をしていきたいなと常に思っています。


私は一応経営者という立場でやらせてもらっているので、お客さんはもちろん、スタッフのみんなにも満足してもらえるように心がけています。とは言ってもスタッフにはたくさん我慢してもらっていることもあるし、もちろん何かしら問題は出てくるとは思いますが、そこをうまくつり合っていって、続けられる環境を作ってあげたいなと思っています。

お客さんに対しては、「またこのお店に来たい」と思ってもらえることを第一に考えています。

そうなると、私の仕事はリスク管理が多いなと感じます。お客さんにご迷惑をかけないように、とか、みんなが安全に働けるようにとかそう言ったところをすごく気をつけて日々仕事をしています。

でも、やっぱりそれよりもお花が好きだったり、作ることや接客も好きだったりするので、本当はそこをやりたいのですが、私がそれを一番にやっていたらお店が回らなくなってしまうので(笑) そういう意味では、やはりリスク管理が私の1番大事な仕事かなと思っています。


5. この地域で良かったこと

やはり生活に余裕がある方、センスの良い方、発信力があるようなお洒落な若い方が多い印象を受けます。そんなお客さんがお店で作ったアレンジなどを可愛いと言ってくださるとすごく嬉しいし、励みになります。


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花の店 凜

ADRESS :東京都世田谷区上馬4丁目7-7
TEL : 03-3795-1187
OPEN  : 10:00-18:30

https://www.hanaya-rin.com/

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「世田谷×お花屋さん」というテーマについて


私は現在、お花屋さんでアルバイトをしています。
お花屋さんとして働く中で、お花屋さんはお客さんとの対話が大事だと感じたため、そんなお花屋さんを経営する店主さんからみた「世田谷」はどんな街なのかを知りたいと思いました。
世田谷には、「世田谷花き」という市場があり、お花の仕入れがしやすいことから、個人経営のお花屋さんが多く集まっています。
そこで、私は、多く集まったお花屋さんの中から違う雰囲気のお花屋さんをいくつか訪問し、さまざまな視点を学び、普通に検索しただけではわからない、お客様への思いやお花屋さんを経営するにあたって心がけていることをお聞きして発信していきたいと思いました。


インタビュー:葉菜


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