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2021年3月の記事一覧
the (River) Styx
起きるのが億劫だった。やることはたくさんあるのに、何も思い出せない。ただぐったりとベッドに横たわって、目を開けることもできない。
今日は何日だろう。何曜日だろう。何時だろう。どうでもいい、もう少し眠りたい。
「起きろ」
男の声がする。僕は目を腕で覆って、その指示を無視した。そうするしかなかった。僕に起き上がる力などないのだから。
「起きろ」
また男の声が指図する。僕は無視を決め込む。それが
Cinderella shoes
はじめて行くファッションビルは好きだ。何もかもが新しくて、店舗のスタッフも初々しくて、やる気に満ちている。
新品のペンキや什器の匂い好きだ。
〈できたて〉という感じがするからだ。
目新しいショップが並んで、見ているだけで飽きない。
「靴が欲しい」
フロア二階にわたって広がる真新しいシューズショップで足をとめた。
布、ゴム、皮、エナメル、プラスティック、色々な素材の匂いがする。シューズシ
ショッキング・ピンク
ショッキング・ピンクの髪を逆立てた隣人は不老処置も施さず今では珍しい老人という姿だ。
つまり皺がより、皮膚は弛み、シミがあちこちにある。
しかし彼女は誰よりもパワーとエネルギーに満ちあふれ、何より音楽を愛していた。
しかもパンクロックだ。
今は誰もきかない、攻撃的で激しい音楽だ。
息子と孫は素朴で「いい人たち」といった風だが、彼女だけは違った。
感情が高まるとドラムを一心不乱に叩き、叩