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オーブンを買うと決めたときに思い出したこと

家にいる時間が長くなると何か作りたくなる。

今私たちが住んでいるところも、スペインだから一応オーブンはついている。でも、こわれている。内見時に「オーブンもあるから、よかったね」と言っていたのだけど、こわれているとは聞いてなかった。

スペインで家を買うまたは借りるときには、いろいろ注意しないといけないことがある。オーブンが実はこわれていたなんてのは序の口だ。不動産屋さんと大家さんの笑顔にだまされてはいけない。

スペインに来てから何度か引っ越ししたけれど、2年ほど前に住んでいたピソでは半年ごとに家賃が上がった。家賃、電気、水道料金は毎月大家さんに現金で手渡し、その後、大家さんが各会社に支払うという不思議なシステムだった。

契約前にこういったことは知らされておらず、契約書にサインをしてから、不動産屋さんが気まずそうに言ったのを覚えている。不動産屋さんと大家さんは友達で、外国人の私たちの足元を見ていたのかもしれない。

そのピソには1年ちょっと住んだが、途中から電気・水道会社から「料金未納のため、〇〇日までにお支払いが確認できない場合は、サービスをストップします」という通知が届くようになった。

毎月家賃や電気代などを前払いで払っている私たちは驚いて大家さんに連絡した。単に会社に払うのを忘れていただけだ、心配するなという。多分嘘だ。いずれにしても、そんなことでは謝らないのがスペイン人だ。しかし、その後も電気・水道会社からイエローカードは毎月送られてきた。

しばらくして、大家さんが「次の契約の話をしたい。家賃を上げる。契約は半年間。土地の値段も上がってきているし、今の家賃じゃやっていけないから」と笑顔で言ってきた。その瞬間、引っ越すことを決めた。

最初に払ったデポジットは、通常問題がなければ全て返金となる。大家さんは返したくなかったようで、「すみからすみまで掃除しなきゃいけないし」、「修繕しなきゃいけないところもあるかも」と言う。

それではデポジットから清掃・修繕費用を引いてくださいと言うと、この家はクリーナーを雇わないといけないレベルの汚さである、クリーナーを雇うにはお金がかかる、そうすると簡単にデポジットの金額ぐらいになるかしらねと言っていた。

不動産屋さんに相談したら、お互い大人の話し合いで解決してね(ハート)というメールが送られてきた。

最終的に、私は初めてスペイン語で怒る、ということをやった。外国人、そして女性ということでなのかわからないが、大家さんはいつも私たち夫婦と話すときに夫の顔しか見ない。しかし、今回ばかりは私の顔も見てもらおうと、契約内容に基づいておかしなところを話していくことにした。

大家さんはびっくりしていたが、初めて私の顔を見てくれた。

部屋明け渡しのときにデポジットはほとんど返ってきた。

鍵を返すとき、「日本人の留学生とか知ってる人がいたら紹介して。次の住人がまだ決まっていないから」と言われた。さすがに誰も紹介できない。

今となっては笑い話だけど、当時は、家を出なければいけないわ、次に住むところを探さなければいけないわに加えて大家さんとのスペイン語でのバトルがあり、なかなか心が休まらなかった。

この経験から、私たちはピソを購入することに決めた。


そうだ、オーブンの話をしていたんだった。

購入したピソで、使えると聞いていたオーブンはこわれていた。

それから1年ちょっと経って、今回小さめのオーブンを買うことにした。

海外田舎暮らしで何もかも完璧なんていかないけど、まぁ何とかやっている。雨風をしのげる家があって、私たちは幸せだ。

さて、何を作ろうかな!

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