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2023年 浦島日記3 忘れないうちに記しておきたい毎日の小さなこと

7月のある日1

日本に帰ると、私の無印良品の手帳が真っ黒になる。
スペインでは真っ白なのが嘘みたいに。

予定がびっしり書き込まれたページを見て、友人が言った。

「手帳、日本帰省時だけでよくない?」


今回の帰省では、前半から病院通いで予定が埋まってしまっているが、少しばかり空いた時間に友人に会うことができたことは幸いだった。

懲りずに、9月はじまりの手帳を買った。
今回は秋からの大学院で、スペインにいる間も手帳が真っ黒になる予定だ!


7月のある日2


「電気屋さんどこ?」

昼間、商店街を歩いていたら声をかけられた。

私はこういうとき声をかけられやすい。本来であれば、道を聞く場合に絶対声をかけてはいけない人物なのに、初対面の相手にはどうもそれが伝わっていないのだろう。なんでも知っているように見えるのだろうか。それはそれで光栄だが、情報としては正しくない。

このあたりで近くにある電気屋さんはどこだろうか。
ノジマ電気があった気がする。

「そうそう、ノジマ!」

携帯で調べると、私に質問をしたセニョーラが歩いてきた方向と真逆だ。

「わからなくてここまで歩いてきたんだけど、全然わかんなくてねー!いやー困った!この街は広いねー!」

東北あたりの訛りが感じられるその人は、駅から20分ほど歩いてきたのではないだろうか。そして、その20分間で声をかけたのは私が初めてか。

妙な責任感をおぼえ、ノジマ電気への行き方を頭の中で慌ててシミュレーションする。

「ええと、この道をまっすぐ行ってですね。その後で、お寺が見えたら右に曲がっていただきまして。その後は大通りを道なりに行くと…」

セニョーラの顔が曇り始めた。

ああ、これはいけない!

「すみません!、ややこしいですよね。もう一回最初から!ええと、ええとですね、この道をですよ…」



30秒後、私はセニョーラと一緒に道を歩いていた。

私のめちゃくちゃな説明で彼女を余計に迷わせてはいけない。それなら、一緒に行った方が早い。このとき夫も一緒だったため、私、セニョーラ、夫の順で一列になって歩いた。


「いやあ、いい人たちに出会ってよかったわー!友達と電気屋さんで待ち合わせててね。でもこの街広いからわからなくなってねー!それにしても暑いね!」

歩くこと20分ほど、かなりのゆっくりペースでノジマに着いた。


とても気さくで、話し方も含めてスペイン人みたいなセニョーラだった。
無事にご友人と会えていることを祈る。

7月のある日3

最近は、パンツとかズボンのことを「ボトムス」と呼ぶらしいことを学んだ。

昭和生まれには少々気恥ずかしい。


それはそうと、今回友人から受け取った私の服装に対するコメントがなかなか面白かった。

「今日はちょっと裸の大将みたいだよ」、「ちょっと体操服みたいだから、ネックレスでもつけたら」、「遠足に行く小学生みたいになってるけど大丈夫?」

いずれも短めの「ボトムス」を履いていたときのことである。その色、まっきいろ、ピンク、黄緑など。そこへ白いTシャツやら適当なものを「ボトムス」の中に入れて履いている。荷物が多い日はリュックを背負うことが多く日焼けしているせいもあってか小学生男子のように見えるのかもしれない。友人のコメントは言い得て妙である。

そんな私が「ボトムス」なんて恰好つけたところで無理している感がありすぎる。

堂々と「パンツ」と言うことにした。

すっきりした日。


8月のある日1

ショッピングモールで買い物をしていると、今にも泣きだしそうなのをこらえているような子どもの声が聞こえた。

振り返ると、4歳ぐらいの男の子が顔を真っ赤にしてお店の中を走っている。

迷子だろうか。

数分後、またその男の子が視界に現れた。


「どうしたの?大丈夫?」

声をかけた瞬間に、男の子がわー!と泣きながらやってきた。


私は子どもがいないので、こういうときどうしていいのかわからない。
ただ、自分も子どもの頃よく迷子になったので、彼の不安な気持ちはよくわかる。

万が一、「短いパンツを履いた怪しい大人による連れ去り」などと思われては大変なため、男の子の注意をひきつつ店員さんのところに連れて行った。

店員さんがどうしましょうかと私に聞くため、私に聞かれてもなあと思っていたところ、お母さんが現れた!

ほっとして、買い物の続きに戻った。

迷子体験が男の子のトラウマになっていないことを祈る。


8月のある日2

思いのほか塩分の多い夕飯を食べた次の日の朝のこと。

「今日は仏像みたいですねえ」

なんて夫が言ったものだから、面白いやらくやしいやらで感情が忙しかった。



こういうなんということのない毎日のできごとこそ覚えておきたいものだ。


最近思うこと。

結局のところ、アンダルシア田舎も東京も同じような気がしている。
みんな人間だ!


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