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労働学生生活(5週目)電車のドアが閉まらない、ストライキ、グループ内のわだかまりと

あっという間に5週間目が終わろうとしている。

今週もきつかった。

月曜日は帰りの電車が動かなかった。
発車したと思ったら、すぐに停車した。
どうやら、ドアが閉まらないらしい。
係の人が入れ代わり立ち代わりやってきては、操縦室に入っていく。

しばらくすると、電車が動き出す。
とまる。
動き出す。
とまる。

これはどうなるんだろう。
そう思っていたら、全員降ろされた。

全然知らない駅だ。
隣の人に聞いたら、彼女も今からどうするのかわからないと言う。
アナウンスもない。

とりあえず、皆さんについていく。
ただ、前をゆく皆さんもわかっていない。
とりあえずホームの階段を上がって、電車があるホームに降りた。

電車がある。

どこ行きかわからないが、ドアは開いている。

乗っていいんだろうか。
皆ぞろぞろと乗り込む。

「すみません、この電車って〇〇にも行きますか?」

「それがわからないのよねえ。私もとりあえず乗っちゃったんだけど、いいのかしら」

「これは4号車だよね」

会話がかみ合わない。

先に乗っていた人たちがいるため、座席は空いていない。
真ん中の通路は人でいっぱい。
まるで年末年始の新幹線のようだ。

「この電車は〇〇に行きますか」

もう一度聞いてみる。

「そう思って乗ってるんだけどさ、私たちも」

誰もわからないのか…。

私も皆さんにならって出たとこ勝負とした。

結果的に、座席指定のチケットだが立ちっぱなしだったこととずいぶん時間はかかったが、なんとか自分の帰る駅に着いた。

もう、それだけでありがたい。

アンダルシア田舎にいると、ありがたいのレベルが変わってくるのだろうか。


そして、電車でいうと、あれは火曜日だっただろうか。
電車の会社から通知が届いた。今週金曜と、来週、再来週にストライキを予定しているので、あなたのチケットをキャンセルします。ご迷惑おかけしますよ、すみませんと書いてある。


ええ?

ははははは!

笑うしかない。

クラスメートに話したら、ちょうどいいじゃないの、その日は面白くないクラスだからと笑う。

しかし、出欠をとられるかもしれないじゃないか。

慌てて、先生にメールをする。

これはもう不可抗力だから、ひとまず金曜日は家でゆっくり過ごそう。

そんな風に思っていたら、木曜の夜、例によって遅れてきた電車の中でアナウンスがあった。

「突然ですが、ストライキやめました!」


ええ!


翌日のプランが大変わりじゃないか。

隣の席にいた人と顔を見合わせる。

金曜日、私を見たクラスメートたちが笑ったのは言うまでもない。

金曜日の行きの電車はがらがらだった。
トップの写真がそれだ。
おそらく、ストライキが中止になったことを知らない人が多かったのだろう。


先週の低空飛行が続いており、月曜は学校に行こうかな、行かないでおこうかなと気持ちがうろうろしていた。

結果的には行った。


先週は発言をあまりしなかったため、手を挙げるのがこわくなりそうだった。

でも、月曜クラスのディベートのとき、ユーロセントリックな考え方の学生たちのやりとりを聞いていたら、自然に手が挙がっていた。


自分でも、彼らにとったらどうでもいい、または変なことを言っているのはわかっていたが、スペインに住むマイノリティとして、こういう人間もいるのだということを知ってもらいたかった。

学生からの反応は特になかった。
先生だけがとても喜んでくれた。その後、先生からメールが届き、あそこでの君の発言はとても意義のあることだった、本来なら君が話したことについて学生同士でもっと議論がなされるべきだったと書いてあった。


鼻の奥がつーんとした。
メールを保存フォルダに入れた。


そんなわけで、まあどんなわけかわからないが、私はクラスで浮いている。

グループ内でも浮いているのかもしれない。
今週気が付いた。

あることがきっかけだった。
詳しくは書かないが、いろいろあって今はカルロスとはあまり話していない。
私は彼のやり方が好きになれず、彼は彼で私の言ったことが気に入らなかったのだろう。
新しくグループに入った女性はカルロスが言うことを全て支持している。

この女性については書いていなかったが、ちょっとやっかいな感じがしている。グループに入ったはいいが、何もしない。口は出す。指示要綱は読まない。宿題のテキストも読まない。当然、グループでの宿題もしない。アルバイトがあるからと、クラスにはあまり来ない。週末のグループワークにも参加しない。自分が困ったときには、嵐のようなメッセージを皆に送る。

水曜日のクラスは、グループワークが成績の8割を決める。

ああ、これが噂のグループワークというものか…。


深く考えないままノリだけで進むカルロスとのコミュニケーションがうまくいかないことを悩んでいたら、ロシオが言ってくれた。

「あなたが言ったことは間違ってない。私も同じ意見だから」

グループで意見がわかれると、あ、唐草もしかしたらスペイン語わかってなかったのかな?と、都合よく私の理解不足のせいにされそうになる。

それはごめんだ。

ロシオはそんなときに私をかばってくれた。

これまでの私だったら、対立を避けるために、まあいいよと言っていたかもしれない。しかし、自分の意見が求められるこの国では、意思表示をちゃんとしないと、意見の強い方に簡単に吸い込まれてしまう。明らかにおかしいこと、自分のゆずれないところはきちんと言わないといけない。


グループワークについてはロシオと私の負担が増えるだろうが、自分のやるべきことを少しずつやろうと思う。

でも、いいこともあった。

いつも隣に座っているクラスメートと少しずつ話すようになったことだ。

彼女が話してくる内容や話す雰囲気がアメリカにいる親友のそれらと似ている。

この間は個人的にメッセージを送ってきてくれたっけ。

また、修士論文のテーマについて話していたら、えらく興味を持ってくれ、自分が持っている本を貸してくれるという。絶対やってね、そのテーマ!と、22歳に力強く言われ、私も力強くうなずいた。

修士論文のアドバイザーは、K先生に決まった。

今週のチュートリアルでは、「タブーと言われたらますますやりたくなって」と言ったら、K先生が笑った。


今週もスペイン語の壁にぶつかることが何度もあった。
壁は言葉だけではないのかもしれないけれど。

でも、ぶつかりつづければ、壁もいつかは倒れてくれる。
または、倒れてくれなかったら、まわりこむか違う道をいってもいい。

明日はロバたちに会えますように。

皆さまもステイ元気で。


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