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半衿の魅力はチクチク縫う達成

今日は着物の半衿の話。

京都には、半衿だけを売る、半衿専門店があるそうだ。オンラインでも刺繍や「楊柳(ようりゅう)」、レースの半衿を買うことができる。

今回は手堅く「源氏香(げんじこう)」の「地紋(じもん)」。白地に浮き上がる地紋を、帯の裏地と同じにしたのだ。洋服ではやらない、秘密のおしゃれ。きゃー

模様には、縦の線が五本。「源氏香」は同じ香りを当てるゲームで、五本の縦線を横線で繋ぐと、同じ香り。

結んだ縦線がコの字やヨの字を下へ向け、重ねて合わせたところに、シュッと縦線を書き添えたようなこの図案は、五十二種類もあって、『源氏物語』の巻号を示すそう。

私の半衿には「胡蝶(こちょう、二十四帖)」や「野分(のわき、二十八帖)」があり、帯の裏地は「蛍(二十五帖)」であった。雅なことである。

ちなみに差し込み式の衿芯は使わず、半衿を縫った三河芯を長襦袢にくっつけているので、大変、ピシッと仕上がる。しつけ糸が絡むのに悩んでいたが、着物YouTuberの房氏のアドバイスを取り入れ、ナイロン製のミシン糸を使うようになった。

さて、まち針で三河芯にとめた半衿を、端から縫い初めたその時。

ぷす。

細く短い絹針が、硬い三河芯でなく、私の指先に刺さった。そして、指先から滲んだ血が小さなシミを作ってしまったのだ。

清らかな白地に赤い点。あゝ私の「源氏香」が。雅よ、何処へ。

即座に手拭いを二本用意し、着物YouTuberの某氏が薦めていたウタマロ石鹸を水で伸ばして、手拭いに染み込ませた。

シミを叩くと、赤いシミは下に敷いた方の手拭いへ移っていった。まぁ、不思議。汚れたザルを水洗いするイメージで、繊維の付着物が流されて、真っ白な半衿に戻ったのだ。

ちなみに、ベンジンで汚れを取るやり方も覚えて、着た後に試してみたが、これ程の快感は得られなかった。脱いだら即、ヤルのが大事だ。

今後はお出かけ後のメンテナンス時間をスケジュール内に確保しておこう。おこう、おこう「源氏香」。

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