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夏着物ウォッチング@梅雨明けの紀尾井ホールより

教会の鐘の音を待ちつつ、聴こえてくるのは土手の並木から注ぐミンミン蝉の声。歩きつつ、思い出すのはお稽古中の曲の断片。目下、長唄三味線のお稽古は夏のお浚い会に向けて『鞍馬山』。天狗を相手に、修行を積む牛若丸の木太刀の音が、私の頭の中で、木霊する。

などと歩くウチに、ホールの入り口に到着。向かうは、客席数250の小ホール也。

どうにかして、三味線が上手くなりたい…。ヒントが欲しくて来るひとだけでなく、見聞を深めるため、伝統芸能に興味を抱くひとの群れが、そこにはあった。

とある流派のお師匠さんが兄弟子・弟弟子と共に開く長唄の演奏会。西洋音楽で言うなら、マチネのリサイタル? 師匠の世界を楽しむのが目的なので、皆さん、個性的なファッションを楽しんでいる。

着物のかたもチラホラいらして、ちぢみを軽やかに着こなしていた。流行りのクシュクシュの兵児帯や、男性用の角帯を絞めている女性もいて、客席の「着物を楽しんでます」という姿勢が、舞台の演者と共に、ホールの雰囲気を盛り上げていた。着物を着るって、誰かに向けたメッセージになるんだ。

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