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スタートアップの経理。もしくは、経理未経験CFOのお気持ち表明。

はじめに

この記事は、スタートアップにこれから飛び込んでみたい経理の方が、安心して?適切な勇気を持って?飛び込めるように書く記事です。

私が経験したことしか書いていませんし、ファクトというより n=1のお気持ち表明の側面が強いかもしれません。
しかしながら、むしろこの「気持ち」を伝えることが、前述の安心や勇気につながると思い、筆を取る次第です。
(あと、当社も経理はもちろん積極採用中なので、たどり着いた方はぜひ応募してほしいです)

💡 本記事におけるスタートアップの定義
本記事において、スタートアップとは上場を目指している企業を指します。
もちろん上場を目指していなかったり、上場後でもスタートアップと呼ばれる企業もありますが、バックオフィスの特性が少々違うため切り分ける次第です。

フェーズごとにどんな方に来てほしいのか(経理未経験CFO個人の感想)

上場準備前

とにかく、決算を締められる人がほしいです。
経理だけでも大変なことはよくわかっているのですが、お金もない中、なかなかバックオフィスの人数ばかりを増やすこともできず、経理以外のこともやってほしい会社が多いかもしれません。

また、経理業務自体をほとんどゼロから立ち上げることになるので、経理を行うためにも、情シス的な動きをはじめとする、業務基盤の整理が必要になってきます。

どこかで経理を1~2年経験していて、経理以外もやりたい!という方なら、十分歓迎されることと思います。逆に、経理未経験の場合はその他バックオフィス経験が豊富な方であれば採用される可能性は十分にあります。その場合会社にとっては経理担当者を追加で将来採用することを前提の採用をすることになります。

n-3期(上場まであと3年)

部門も増えてきて、予算の概念ができているころでしょう。
いわゆる部門別会計など管理会計をやりたくなるので、決算をしめられるだけでなく、その後の経営企画的業務も行える、もしくはそれを想像して勘定科目や部門の設計をできてほしいです。(理想は…)
引き続き、(重ねて、経理だけでも大変なことはよくわかっているのですが…)経理以外のこともやってほしいと思っており、まだまだ業務設計やシステム導入も主導してほしいです。
これまで無理やり経理を頑張っていた方が1人で対応できる業務量を超えて、改めて"ひとりめ"経理を取ることも多いでしょう。経験が3~5年程度あり、経理以外の業務にも積極的な方が特に歓迎されるかと思います。

まだ、日常の仕訳を切る業務や、いわゆる総務的業務については外部に業務委託したり、それを目的にした二人目の採用が始められる頃です。完全な未経験経理としてスタートアップに飛び込みたい場合(あまりいませんが)は、このポジションで入ってもいいかもしれません。

n-2期(上場まであと2年)

上場の背中が見えてくる頃で、会社法に基づいて計算書類が作成されているかの監査が始まる頃です。また、翌期からの更に1段階レベルの上がった準金商法監査の準備期間でもあります。
監査を受けるからちゃんとやる、というわけではありませんが、外部への説明可能性がここで1,2段階上がることが多いです。新しい忙しさが始まります。

より分業が始められるのはこの時期です。
①日常の仕訳や、総務的業務担当
②経理マネージャー
③CFO
というフォーメーションには必ずしておきたいところです。
CFOが経理部長を務めたり仕訳を切っている状態があったとしたら、この時期までにはそれを終わらせておくべきです。

このタイミングの経理部長は、自称「器用貧乏」な人がむしろ好まれる部分があり、将来のCAO(Chief Admin Officer)候補と呼べるような方だと大変に理想的です。ここで飛び込む人は特に、自分自身の将来期待値を確認して入社すると良いかもしれません。(CFO?CAO?管理本部長?経理部長?)

なお、全フェーズに共通する話ですが、早いフェーズであればあるほど、上場まで至らない確率は上がっていきます。確実に上場経験を得たいのであれば、よりレイターな時期に入社することになりますが、会社が取りたい人材も変わってくるので、ご自身のご経験やスキルとも相談となります。

n-1期(翌年上場)

一定フォーメーションは固まっていますが、人も少ない中、準金商法監査が始まっているので猫の手も借りたい状況でしょう。
①~③それぞれを補強していくような採用がまずあります。

加えて、開示書類のドラフトがこのタイミングから始まり、また(四)半期報告の練習もしていく必要があるため、開示を主担当した経験者の採用を急ぐことになります。この時期から上場企業での経理経験者、特にマネージャー経験者が大活躍できます。
特にこのタイミングで経理の専門性を高い方を、一気に経理部長や管理本部長として採用する会社も多く、また少し会社も安定してきている頃ですので年収の大幅ダウンも避けやすいでしょう。

逆に、これによって上が詰まってしまって、これまで在籍していた方が、理想のキャリアを描けないケースもあります。
入社時には、こういった体制構築の考え方を経営者に確認しておくと、ミスマッチを防ぎやすくなると思います。逆に採用する側としても、必ずその方のキャリアプランを確認しておきたいです。

n期(上場する年!)

ととにかくやりきる1年ですが、あくまで上場は通過点であり、上場後の体制を見据える必要があります。

経理業務は一定整備されてきて、経理とその他管理で部長が分かれている状態を実現したいところで、理想はこういった管理職の分業がされていてほしいです。
① 経理部長 ※開示ができる
② 管理部長
③ 経営企画部長
※ ②or③をCFOが兼務する
これが達成できていない部分と、各チームのメンバーを採用していくことになります。基本的には5年以上経験者 and/or 上場企業経験者の採用が中心になるでしょう。

なお、経営企画的なこともしたいという経理の方も多いと思いますが、ここまで来ているとかなり分業が進んでいますので、もうすこし早いタイミングでの入社をおすすめしたいです。

さいごに

以上がコーポレートを管掌するCFOとしての感覚です。
企業フェーズに関わらず、上場前からM&Aを積極的にしている会社や、従業員規模が100名をゆうに超える会社もありますので、一概には言えないですが、一般的なスタートアップの感覚としてはこんなものかなと思いながらまとめました。

より正確には、転職エージェントさんなど、転職マーケット全体を見ている方の意見を聞くことが望ましいと思いますが、何か皆さんの転職検討(や今後の採用)の一助になれば幸いです。

最後に、偉そうに書いておいて、当社はまだ全然理想の体制にたどり着いていません!積極採用中ですので興味ある方は、ぜひ以下リンクをご活用ください🙏