ペイントイットホワイト
いぬうた市の屋外の気温は今日も高く、
空は青い空に白い雲がところどころ、
ぽっかりと浮かんでいて、
日中の今はセミがミーンミーンと鳴いています。
そんな中、ぐーちゃんといえば、
家のクーラーの効いた寝室で、お昼寝の最中です。
ミーンミーンというセミが合唱を繰り返す中、
時おり、隣りの家でガチャガチャと、
金属がぶつかる音がします。
きゅん君が言うには、隣りの家で、
外壁の塗り替えを行うそうで、
その準備として足場を組み立てているそうです。
「この炎天下の中、実に大変なことね。皆さん、熱中症にはくれぐれも気をつけて。水分補給はこまめに行って、塩分も程よく確保して下さいね。ぐーもこのがっちり涼しいこの場所から応援してますから」
と、半ば夢の中から、そんなことを思う、ぐーちゃんです。
すると、ミーンミーンというセミの鳴き声と、
ガチャガチャという作業の音が、
同時にどんどん大きくなってきました。
どうやら、ぐーちゃんに近づいて来ているようです。
ハッと、ぐーちゃんが気付くと、何とセミたちが飛びながら、ぐーちゃんの周辺を取り囲んで、
足場を立てているではありませんか。
ぐーちゃんは大変びっくりして、
「ぐーに足場は必要ないわ!足場が必要なのはお隣りのおうちのはずよ!」
と、辺りにいるセミに訴えると、
「いやいや、おたく、だいぶ黒く汚れてますよ。ここはすっきりと白く塗り直すことをオススメします」
その中でひときわ大きいセミが言いました。
ぐーちゃんは、一瞬、白くなれると聞いて、
心が動きかけましたが、
すぐに、黒い自分のプライドが発動して、
「失礼ね!これは汚れじゃないし!ぐーは好きで黒でいるから余計なお世話よ!」
と、親方らしきセミに怒鳴りました。
そして、ぎゃーっ!と暴れて、組み立てられた、
足場をなぎ倒していきました。
恐れをなしたセミたちは、ミーンミーンと、
ぐーちゃんから離れ、飛び去ります。
それでも更にベッドの上をジタバタしていると、
置いてあったクーラーのリモコンに前足が触れてしまい、
うっかり電源を切ってしまい、
寝室内はたちまち暑くなって、ぐーちゃんは、
「暑い!暑いわ!もしや、嫌がらせに白いペンキではなく、カラシを塗られたのでは!」
と、うなされたまま、
辺りは相変わらずセミのミーンミーンという鳴き声と、
隣りの家のガチャガチャという足場を組み立てる作業音が入り混じった中、
ぐーちゃんのさんざんなお昼寝タイムは続くのでした。
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