「ジョーカー」

ネタバレします。

【内容】
生活に困窮した売れないコメディアンのアーサーは、突発的に起こしてしまった殺人をきっかけに、悪のカリスマとして覚醒する。

DCコミックの「バットマン」のヴィランであるジョーカーの前日譚。

主演:ホアキン・フェニックス

【感想】
「狂っているのは、俺か、世界か?」
この映画のテーマともなっているカウンセラーに呟く心を病んだアーサーの問いかけが、なんとも切ない映画でした。
脳の損傷で興奮すると笑いが止まらなくなる演技が、とてつもなくやるせない、アーサーの悲惨な境遇を際立たせていました。
ホアキン・フェニックスの演技力ありきで成立している作品だと感じました。
そして、痩せこけた身体だけで、狂気を感じました。
困窮し追い詰められた人間と、絶望的な状況から
の彼に潜むダークサイドの解放。
基本はコメディーの形式なのに、それをずらしていくことで、シニカルで残酷な物語にすることで、より悲劇性が増していくという構成。
演技とは言え、ここまで狂気の状況に追い込んだら、精神的にやられないのかなあと、改めて観て思ったりしました。

あと、公開当時、アーサーが踊りながら降りて行った階段が、冒頭の方から映し出されていたりして、計算されたかなり象徴的使われ方をしていることに気付いたりしました。

お笑いの司会者役を演じるロバート・デニーロと主役のホアキン・フェニックスとの演技合戦になっている面もあり、そういう面で見所のある作品と感じました。

確かに良く出来ていますが、この作品が大ヒットして、アカデミー賞主演男優賞まで獲得してしまったのは、時代性を感じたりしました。
この後、世界的なコロナの大流行、アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件、ロシアのウクライナ侵攻など、公開当時に映画館で観た時とはまた違ってみえました。

続編も2024年に製作されるとのこと。
アーサーがよりジョーカーとして覚醒していく様を描いていく展開になるんでしょうね。
観たいような、観たくないような…

https://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/

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