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『マルセル 靴を履いた小さな貝』(映画)

視聴環境:Amazon prime video

【内容】
ヨーロッパ圏の普通の家にひっそり暮らす貝のマルセルに、人間の男性がインタビューするという擬似ドキュメンタリー映画。


【感想】
実景の中で、ストップモーションアニメの貝が動いている…
ストップモーションと実写で人が普通に動いているのに、両方が全然不自然でなく同居しているのはすごいなあと感じました。
とはいえ、1時間半の映画として、観ているのはちょっとしんどい部分がありました。

動きはストップモーションのフレームを落としたカクカクとした味のある動きなのに、カメラは、実景の中で自然に表現される被写界深度や、手持ちカメラ的な揺れや画面のブレなど…
日本のアニメーションなどでもよく見掛けるような、わりとオーソドックスな手法を使って、実写とストップモーションアニメを馴染ませていると感じました。
3DCGと手書きアニメーションを映像として馴染ませてることが出来るのなら、実際のものを撮っているという点で共通している実写とストップモーションアニメを馴染ませることだって、無茶な話ではないんだなあと…

日本の感覚とは違った独特の感覚があるなあと思いながら観ていました。
例えば、マルセルのキャラデザインが、『寄生獣』のミギーみたい感じがあり、単純に可愛いデザインではなかったり…
マルセルが吐くシーンあるのですが、嘔吐物も可愛い感じで表現していたりして、なんか日本人にはない感覚だなあと…
というか、そもそもこの作家さんの独特なセンスによるところも多いのかも知れないですけれど。

本当に不思議なバランスの作品で、ドキュメンタリー的な表現の風景を切り取ったシーンとか、マルセルの祖母の貝の老いを描いていたり…

気になって調べてみたら、YouTubeで話題になって、ハリウッドで獲得競争になって、A24が獲得して作った作品なのだそうです。
こんなにある種プライベート映画のような肌触りの作品なのに、ハリウッド映画であるということに、映画というジャンルの懐の深さを感じました。

小さい子供が語る物語のような、そんな物語でした。

https://marcel-movie.asmik-ace.co.jp

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