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シャッター商店街の再生が難しい理由

シャッター商店街という言葉で記事を書くと、メディアや学生からの問い合わせが来るのだが、私たちがやっているのはあくまで「シャッター商店街化を防ぐ」ためにできることを提案したり、実際に協会や自治体と協力して活動したりしているだけである。

本当は「シャッター化してしまった商店街」を再生したいと思っていたし、今でも諦めてはいないのだが、リサーチすればするほど、根深い問題があることがわかった。

2022年の初めに、東京のとある商店街を取材してきた。
台東区にあるいろは会商店街。
協会の副会長と、いづれお店を出したいという若者に店の有効活用についてを話してもらう企画。
とても明るく見えるテーマだが、実際のところは副会長から聞いた商店街の現状と、1ヵ月弱で商店街振興組合が解散するという事実でショックを受けたのを覚えている。

商店街を歩くと、お肉屋のおばあちゃんが店の前でコロッケを売っていたり、野菜屋のおじさんが常連さんと話していたりと、まだ数件のお店は営業していたが、副会長に見せていただいた昔の商店街の写真から比べると、圧倒的に賑わいがなくなり、お店の主人たちも高齢化しているという現状で合った。

取材を受けてくださった堀田副会長とぽこたんさん

店というのは、店の顔となる主人がいて、その人がいるから常連さんは通い続けたりする。
「おかえり、今日は何にする?」という総菜屋のおばちゃん。
「いつものね」と鮭を袋にいれてくれるおじさん。
「もう遅いからそろそろ帰るんだ」と笑いながら子どもたちに声をかける駄菓子屋の店主。
こういった馴染みある風景というのは、「店」ではなく「人」が主体となっているので、店主が年をとれば、街も静かになっていく。
後継者がいれば話は別だが、話を聞いたいくつかの商店街は、後継者についてはほぼ諦めているという声が多かった。

中小企業庁が出した令和3年度商店街実態調査報告書

また、こういった問題もある。
副会長をはじめ、複数の商店街の会長に同じことを言われた。
「昔からの商店街は、店舗兼自宅ってのが多いから、店を閉めても二階に住んでいることが多いんだよ。でも店を売っぱらってどこかに引っ越すっていったって、高齢者には大変な労力だし、そもそも売ったお金で住めるところって、いくつあるんだよって話。」

なるほど。

いろんな企業や自治体が、商店街活性化のためにいろんなアイデアを持ち寄ってくるらしいが、昔からの商店街の人たちが腰を上げないのは、そこが自分たちの生活エリアであるのも関係しているのだろう。

シャッター商店街の再生については、各地方自治体も様々な政策を試みていると思う。
これも前々回の記事同様、自治体だけでは解決できないし、商店街振興組合だけでも難しいと思う。
自分の街をよりよくするために、地域の人たちや企業がもっとシャッター商店街の問題に興味を持ち、一緒に再生していくことが重要になるのではないだろうか。


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